「良き映画の後の切なさ。」鑑定士と顔のない依頼人 legocroksさんの映画レビュー(感想・評価)
良き映画の後の切なさ。
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本作は、主人公の対人間への傲慢な態度による復讐劇だ。
フェチを超え、気持ち悪いくらいの女性への偏見を持った
主人公のフィルムノワール。
あまりに悲しい結末は鑑賞時は想像以上であった。
しかし主人公の目線でなく、パートナーの絵描きの視点に合わせれば
見下されて過ごした人生は嫉妬や恨みが募っても仕方がないのだろう。
他人に対する態度、社内・街中でもほとんどの人に
人嫌いはあるが、配慮に欠けるところが
恨まれても仕方が無いのかなと思った。
凡人には、だ。
だが、当の本人にとって、人は信じられないもの。
そこを突かれ、見事にだまされた様は悲しいの一言だ。
鑑定士という鑑定の一流の目を見事にだまされた様は
滑稽なほどだが、老人であるが故に悲しい。
信頼をしていたロバート、ビリーにも
対等に話しつつも、どことなく見下しているところはあるし
感情が高ぶると容赦なく切りつける。
主人公に感情をいくら入れても、普通の人には
戒めを与えたくなるところがあり、
そういう人間の末路はやはりそれなりになるのだと
そう思い知らされるような映画であった。
ジェフリー・ラッシュの演技はとてつもなく存在感があり
クレア役のシルヴィア・ホークスの美しさは演出もあるが
決して美人ではないが、妖艶さが出て美しい。
鑑定士の映画に沿うように、美術品・そして洋服や
インテリアに至るまで細かい所まで配慮された美しい映画であった。
やはり、この監督は素晴らしい。
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