「夢と愛」鑑定士と顔のない依頼人 ブレイブさんの映画レビュー(感想・評価)
夢と愛
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この話はやはりオチをどう捉えるかで評価が分かれるところですね。
私としては、観終えた直後は後味の良い感じはしませんでしたが、後から本編に散りばめられた伏線を思い起こしたり考察したりするのが楽しめたので良しとしよう、と言ったところでしょうか。
私がオチを観てから特に違和感を感じたのは屋敷の調度品です。
一流の鑑定士であるヴァージルに鑑定を依頼する以上、それがいい加減なものである筈がありません。
あれだけの品を、一体誰がいつ揃えたのでしょうか?
普通に考えてビリーなのでしょう。
長年ヴァージルの相棒であった彼ならば、それなりのものを仕入れられるでしょう。
ですが、あれだけ夥しい数の家具や調度品を揃えた資金や時間はどうなのでしょうか?
ビリーの仕業であれば、オークションでの裏の仕事の分け前の殆どを注ぎ込んだのでしょうね。
長い時間をかけてコツコツと揃えたものなのでしょう。
とするならば、それは大層な執念の成し得る業としか言いようがありません。
その動機は何か?
ヴァージルの所蔵品の強奪とも考えられますが、それにしては迂遠で無駄が多いですね。
思うに、ヴァージルから愛を奪うのが最大の目的だったのでしょう。
ビリーはヴァージルに画家としての夢を断たれた、少なくとも本人はそう思っている。
だからヴァージルから愛を奪ったのだ。
しかもご丁寧にわざわざ彼に愛を与えてから奪うという念の入れようだ。
これが本当に正しいかどうかはわかりません。
ですが、こんなことを考えさせる余韻こそが、この作品最大の魅力なのでしょうね。
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