「超一級のミステリー。超一級の哀切。」鑑定士と顔のない依頼人 ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
超一級のミステリー。超一級の哀切。
いやぁキツイっすねぇ。
トルナトーレ御大の作品にキツイって表現もどうかと思うんですけど。いや、ちょっと。本当、これはねえ。いや、キツイっす。
あの、こう、映画でも小説でも、物語への感度が高い人、感受性が強い人はかなり精神がヤラれちゃうんじゃないでしょうかね。数日間、心がドヨンと沈んでしまうかもしれない。
トルナトーレの過去作で悲劇映画の代表格と云えば「マレーナ」があるでしょ?あれなんかも相当にキッツイ内容でしたけど、あのキツさってほら、もう用意されてたというか、舞台設定が既に悲劇の片道切符的な物語だったから、何ていうか、ある程度の覚悟って出来たんですけども、今回はそういう判断材料が殆どないというか、全くの未知数でして。
まさしくミステリーなんですよね。
今このレビュー書きながらも、ミステリーの完成度っていうか、怖さっていうか、複線配置の妙味というか、舌を巻いてるのと同時に、実のところ、自分も現在かなり心がドヨンと沈んじゃってて。
こうして思い返してみても、主人公の悲劇はどっから始まってたのか?どっから破綻してたのか?とか、ずっと考えてるんですけどね。
実はもう冒頭、多分、最初からなんですよね、破綻してるのって。だから余計にキツイ。
まあ、何を以ってして破綻してると云えるのかは、観た人によるんでしょうけども。真相を見抜けなかったからなのか。はたまた、その人生が既に…なのか。
いやあ、もうね、うん。本当ね、終盤は観てるのキツかったです。
第一級の切なさですよ。
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