「パーツに気を取られていると、こっちもオールドマンの二の舞いに」鑑定士と顔のない依頼人 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
パーツに気を取られていると、こっちもオールドマンの二の舞いに
鑑定士オールドマンに自ら鑑定依頼をしておきながら、顔を見せないばかりかヒステリックな対応でオールドマンを怒らせる女性クレア。
怒りを覚えながらもクレアに惹かれていくオールドマンをジェフリー・ラッシュが微妙なリズムの変化で、ひたひたと盛り上がる感情を出す。派手さはないが見事だ。
オークションでの流れるような進行も本職のようだ。
物語は、正体を明かさないクレアと、彼女の屋敷で断片的に見つかるモノとが平行して、ラスト近くまで謎めいた展開で進む。屋敷を見つめるバーの女も意味深で、話がいったいどこに向かおうとしているのか見当がつかない。
終盤になって、やっと何が起ころうとしているのか察しがつくのだが、そのときには、カラクリのすべてまでを察知できたとしても、もうオールドマンに感情移入してしまっていて逃れられない。
メロディアスで情景を盛り上げるスコアで馴染みがあるエンニオ・モリコーネ。本作ではオールドマンの心の動きに合わせた控えめなサウンドで意表をつく。ジェフリー・ラッシュの演技と同じく地味だが奥深い味わいがある。
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