「この映画どこからがフェイクで、どこが本物なのか?人間の心の嘘を暴くのはあなた!」鑑定士と顔のない依頼人 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
この映画どこからがフェイクで、どこが本物なのか?人間の心の嘘を暴くのはあなた!
ハリウッドの大作映画に飽きた人には、最高にお薦めの映画。極上の芸術の香る映像と人間の愛の核心に迫るミステリー映画の決定版ですよ。
この映画は「ニューシネマパラダイス」「海の上のピアニスト」そして「マレーナ」を監督したジュゼッペ・トルナトーレ監督最新作。
人間の様々な愛の形を謳い上げる事では、右に出る者は無い、イタリアを代表する素晴らしい監督だよね。だから本当に期待して観たけれど、外れなしでした。
この時期様々な大作が立ち並ぶお正月映画の中で、この作品は、観た人の心の中に何時までも記憶に残る、大人のミステリー映画として、本当にゆっくりとじっくりと楽しめる映画であり、あなたの映画史の中でもきっと名作として忘れられない作品になると思う。
トルナトーレ監督が創り出す映像なので、画的にも綺麗で、重厚感溢れ、そして数々の名画が映し出される本作は、絵画美術界の裏側をじっくりと堪能出来るばかりではなく、そこへ、この映画の本題としての謎解きが加わってくるから、さぁ大変、見所満載です!
そして、そこにまたこの監督とは長年のコンビを組んで来たモリコーネが音楽を担当して、更に、臨場感をたっぷりと謳い上げてくれます!
この作品、ジェフリー・ラッシュ演じるカリスマ美術鑑定士ヴァージュルが、ある時、若い女性の依頼人から親の遺した財産の鑑定依頼を受ける。
その事から、彼は長年のキャリアを揺さぶられるような変化を強いられて行くと言う本格ミステリー作品です。
このジェフリーが、「英国王のスピーチ」とは全く異なる素晴らしい芝居を展開してくれているのも嬉しい見所。
そして、この映画の軸になる謎のヒロイン、クレアを演じるシルヴア・ホークスがまた綺麗で可憐、ヴージュルだけでなく、一目彼女を見たら、観客の誰もが虜になりそうです!
そして更に、名優ドナルド・サザーランドが加わり、この映画を極上の舞台劇のような気品溢れる作品に仕上げて行きます。
ラストの急展開、ドン転返しが有る為に、絶対内容については触れられないので、それが残念だけれどさ、それはあなたにも、この名作を是非映画館で確認してもらいたいと思ったよね。
そして、実はもう一人、この映画で注目すべきは「クラウドアトラス」「ワン・デイ」に出演していたジム・スタージェスが格好良いですよね!日本でもきっと彼のファンになる女性が急増しそうな気がするな。
その昔、閉所恐怖症の反対の広所恐怖症と言う外出が出来なくなる人の心理を巧く組み立てた「コピーキャット」と言う面白い作品があったけれど、この作品は更にあの作品を上回る面白さがある。何処までが本当で、何処からがフェイクの世界なのか?その境界線を是非映画館で見つけ出して下さいな、きっと後から、後から思い当たる様々なシーンに隠された心理を読み直す面白さが、この作品にはありますよ!