「アメリカ菌」カサンドラ・クロス everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ菌
衝撃的な作品でした。
テロリスト逃亡による疫病の感染拡大阻止、そして他国で細菌兵器を研究していたアメリカ軍の隠蔽工作。
当時の試写会ではブーイングだったそうですが、日本では良好な興行成績を収めたようで、評価が二分するのも分かる気がします。
IHO全体のセキュリティの甘さは勿論、生物兵器開発の割には開発担当の研究者も不在でお粗末な設備ですが、アメリカ部門を狙うテロリスト達の計画も稚拙です。ともかく感染したテロリストが長距離列車で逃亡、いかに感染拡大を食い止めるかというのが前半の焦点で、猛スピードでヨーロッパ大陸を走り抜ける疫病列車という設定にはゾクゾクしました。
乗客を一人残らず車内に閉じ込めたまま隔離するにはどうするか。乗客には車内の方が安全だと伝え行き先をポーランドのJanovに変更し、列車の窓や出入口を外から封鎖。抵抗する者には射殺許可の命令。ユダヤ系ポーランド人乗客の激しい動揺や、目的地そして列車の外観、どれもナチスの強制収容と重ねているのは明らかでした。
テロリストは死に、車内での罹患者隔離も済んだ頃、1948年以来廃線となったKasundruv Bridge 通称 the Cassandra Crossing を通過することが判明。この橋渡って大丈夫なの?というのが後半の焦点です。
アメリカ軍が、列車ごと全員見殺しにすることを予測して反撃に出る乗客達。ここで観客もアメリカ軍の思惑を察しないと、車内で軍人相手に銃撃戦を始めることが愚かに見えてしまいます。Mackenzie大佐も内心無事に橋を渡れる方に賭けているのかなと、性善説を信じて(^^;)観ていましたが、いやいや軍の上層部は本気で列車事故を起こす気だったんですね〜。
良識を見失った大佐による決断の正当化は、まるでホロコーストの責任を問われた軍人達の戦後の言い分です。そして命令に忠実なだけで何も判断を下さない車内の大尉は部下と共に列車もろとも川底へ。
著名人だからこそ専門外でも白羽の矢が立ってしまう脳外科医(^^;)。1000人も乗客がいれば、他にも医療従事者の1人や2人いそうですが。
原因菌は字幕で肺ペストと訳されていて、確かにpneumonic plagueと言っていますが、抗生剤ではなく?酸素で治るペストって??この「飛沫感染する疫病」は発症も早く治るのも早い。長期的には分かりませんが、曝露量が少なければ子供や乳児も(犬も)大丈夫!ある意味生物兵器として成功しているのではないでしょうか(゚o゚;;)?!開発担当者なら、願ってもいない貴重な人体実験!として、全てを「原因不明の病を持った」テロリストの責任にし、罹患者を強制入院させ治療法の研究も含めて長期的に観察するでしょうね。
計画通り、軽くなった先頭車両はぎりぎり橋を渡れるのかしらと思って観てましたが…、乗客達による作戦がなかなか上手くいかず、主要登場人物達も大勢の乗客も相次いで犠牲になるといった容赦ない描写がむしろ現実的に見えました。
著名な医師と小説家の(元)妻(3度目の再婚?!)の2人によってアメリカ軍の隠蔽工作は明るみに出るのでしょう。
お水はテロリストに飲まれ、ヘリからぶら下がった籠に乗せられ災難でしたが、唯一早々に助かったワンちゃん!(^^)
コメントありがとうございます。あらすじもネタばれにも、とても強い体質なので大丈夫です!Netflixはご覧になれますか?「伯爵」という映画、すごく面白かったです!
どうぞ佳いお年をお迎えください🎍
共感&コメントありがとうございます。
“午前十時の映画祭13”で劇場初鑑賞だったんですが、何故これがリストアップされたか判りません。ハリウッド作品に慣れきってたので、終盤の悲劇の連続には唖然でした。
あそこまでの大惨事になるとは・・落ちていく一等車の乗客たちを無造作に描いていて、川にも生存者が見えない、怖い描写でした。3人ハグがまるで意味をなさない・・