「どこまでも美しい男女たちの愛憎劇」危険な関係(2012) バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
どこまでも美しい男女たちの愛憎劇
これ以前から何度も映画化されていた18世紀フランスの有名な小説の中韓合作バージョンで、1930年代初頭の上海に舞台を移し変えている。監督が韓国のホ・ジノ、脚本が中国のゲリン・ヤン、主演が中国のチャン・ツィイー、韓国のチャン・ドンゴン、香港のセシリア・チャン、助演に中国のショーン・ドウ。全員中国人の設定で、チャン・ドンゴンも中国語で台詞をこなしてたんじゃなかったかな(あるいは吹替?)。
何しろ原作は18世紀の小説なんで今となってはさほど目新しいお話ではないんだが、ホ・ジノ監督が非常に丁寧かつお金をかけたスケールの大きい大作に仕上げていて、なかなか見ごたえがあった。どこまでも清楚で純粋でひたすら美しい聖女を演じるチャン・ツィイーはやはりすごい。こういう人物は下手すると嘘くさくなってしまうものだが、見事に演じ上げていた。彼女を落とそうとしてやがて自らも陥穽に落ち込んでいくチャン・ドンゴンもまた予想通りの素晴らしさだったが、なんといってもプライベートのスキャンダルで一時は再起不能かと思われたセシリア・チャンの悪女役での大復活がめでたい……と思ったが、結局これ以後はオファーが無かったのか実質的に俳優引退状態に。まあスキャンダルの性質が性質だけに仕方ないか。良く言えば見事な最後の花道になったってところか。
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