「この映画の本編は長い前フリで、結局エンドロールの後のオチが言いたかったのでは?」人類資金 Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
この映画の本編は長い前フリで、結局エンドロールの後のオチが言いたかったのでは?
阪本監督が好きなので見てみたけれど、映画としてはあまり面白くなかった。
原作未読なので、人類資金と言うからには、超国家ファンドみたいなものを作って、悪いことをして儲けようとする投資銀行や、ハゲタカファンドみたいなものをやっつける話なのかと思っていたけど、まるで違っていた。
よく考えてみれば、10兆円程度のお金では何もできない。
すごいお金だけれども、日本の負債の一年分の金利程度のお金です。
これではこの映画みたいに、貧乏な国をちょっと助ける程度。
M資金で、世界が変わると言っていたけど、変わらないと思う。
うまく発展できたとしても、とられる方から、とる方に変わるだけ。
それどころか、お隣の国のようになってしまうかもしれない。
人類がどうのこうのというより、自分の国の心配しろよと言いたくなった。
この映画の冒頭で、「金は国家が発行する約束手形みたいなもの、国が負ければなかったことになる。」と言っていたけれど、まったくそのとおり、国債なども同じだと思う。
現在の日本は、大量にお金を発行して、そのお金で国債を大量に買っている。
大量の約束手形で、大量の約束手形を買うという、訳の分からない自転車操業状態。
これだけ大量の約束手形を際限なく発行していたら、ただですむわけがない。
世の中を約束手形であふれさせ、いつか不渡手形が出るだろうから、そうなったら倒産してなかったことにしようする、計画倒産としか思えない。
自らの借金を無視して、お金を訳のわからないことに使おうとするのはとても日本らしいけれど、もし本当にM資金があるのなら、訳のわからないことに使わないで自らの借金の返済に使うべきです。
焼け石に水と言えなくもないけど、変なことに使うよりははるかにましです。
見てない人はわからないかもしれないけど、この映画の本編は長い前フリで、結局エンドロールの後のオチが言いたかったのかもしれない。
その辺のところを考えると、原作どおりなのかもしれないけど、すごく真面目に作っていて、感動作にしようとしているところがよくないと思う。
途中をキューブリック風のブラックジョークというか、ブラックユーモアを織り交ぜながら展開していき、最後にあのオチだったらもっと面白かったかも?と思いました。
もし続編があるのなら、あのオチの後の世界を描いてほしいです。