「タランティーノ…風?」サンブンノイチ くんぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
タランティーノ…風?
と言ってはいけない。というか品川監督が好きな映画に対する愛を込めた、とも決して言ってはいけない。「これ面白いのか?」見終わった後にこういうマイナスな疑問符がつく映画にあまりいい思い出がない。今回も同様であった。品川祐監督作品はこれまでも全て見ているが、軽率なお笑いネタ、意味のわからない伏線。と回収。どれも今ひとつな印象。ただ、毎作品目指すものがはっきりしていて、どういう作品が撮りたいのかは伝わってくるので、やはり次作は気になる。楽しみにしているのは確かである。そして今作。チーム犯罪もの、騙し騙されの策略どんでん返しもの、そして負け犬奮闘もの。
…どれも今ひとつだった。
始まってから早々、JJエイブラムスを真似たのかうざったいくらい画面がキラキラしていて、カメラが動き回る。ぐるぐるぐるぐる意味や意図のないカメラワークは本当に疲れる。
本編は殆どキャバクラの部屋に配置された登場人物の会話と、回想により繰り広げられるのだが、タランティーノ風の会話を意識したのか、その試みは、本当にくだらない会話と説明で、失敗に終わっていた。
騙し騙されも、如何なものかと思うくらい頭の悪い人たちが頭の悪い人たちを騙して、それもまた頭の悪い人たちの作戦でしたーみたいな。心底どうでもいい展開。後から後から言い訳みたいに説明が入り気が滅入る。
タランティーノやBTTFなどと、名前を劇中で言った時点で「あぁ、なんかだめかも」というワードが脳裏をよぎってしまった。
人物描写があまりにも薄く、感情移入が出来なかったのも、台無しになってしまった要因だろう。感情移入出来ない負け犬たちの人生取り戻そう話なんて、どうでもいいわ!
だが言う程悪いところばかりではなく、
前の作品とは明らかに見違えて見える工夫はそこかしこにあって嬉しい驚きもあった。
特に、中島美嘉の自分にけじめをつけるクライマックス。あそこの演出はよかった。
だが、追い込まれて爆発でもなく、夢、とか
じゃなくて、そっちをフィーチャーするんだ…などがっかりもつくが。単純に画としてかっこ良くはあった。
あと窪塚洋介君は最高。
グッと来たのはそこだけ。
あとは退屈で死にたくなった。
タランティーノ映画をほんとにちゃんと見てんのかな監督は…