「脂ののった「戻り鰹」を好む者もいます。」武士の献立 shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
脂ののった「戻り鰹」を好む者もいます。
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映画「武士の献立」(朝原雄三監督)から。
主人公・春は、優れた味覚と料理の腕は素晴らしいが、
性格がきついためか、1年で離縁されてしまった。
そんな彼女は、加賀藩の料理方の息子と再婚することになる。
嫁入りした家の姑は、彼女にこう伝えた。
「嫁入り2度目であろうとも、気にするつもりは
これっぽっちもありません。
江戸ではとかく『初鰹』をありがたがるそうだが、
脂ののった『戻り鰹』を好む者もいます」
離婚した人たちを「バツイチ」などと表現するけれど、
初婚は「初鰹」、再婚は「戻り鰹」という表現は面白い。
辞書によると「初鰹」は「初夏の頃、獲れる走りのカツオ。
江戸時代には黒潮に乗ってきたものが鎌倉・小田原あたりでとれ、
珍重された」とある。
逆に「戻り鰹」とは「秋に獲れる鰹。春から夏に北上した鰹が、
南下したところを捕獲したもの。脂がのっている」
若さや物珍しさよりも、脂がのった美味しい鰹を、
「再婚」に例えるあたりが、私のアンテナに引っかかった。
酸いも甘いも心得ている「バツイチ」と結婚する人たちは、
「戻り鰹」の美味しさを知っているんだろうなぁ、きっと。
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