「違いのわかる女」武士の献立 ぷにゃぷにゃさんの映画レビュー(感想・評価)
違いのわかる女
食べるものの隠し味を当てられるって、あこがれるなー。私は鈍感なんで、おいしいとか、辛味、酸味くらいはわかっても、だしの味まではとても分析できない。その分析能力が特出した娘、春が加賀藩料理方の家に嫁ぐことに。その家では、後継ぎだった長男の急死のため、次男が家業を受け継ぐことになったが、料理にはまったく関心がない。勤めもいやいややっており、上達しない。夫となったその次男を、一人前の包丁侍に育てるのが、春に課されたミッションである。
出てくる料理がどれもおいしそう。おいしいものを食べると、みんな顔がほころぶ。そして、見せ場は饗応料理。次から次へと豪華なお膳が! いいなあ、こんなごちそうを食べられて。加賀(現石川県)には、うまいもんがたくさんある!
結婚当初は春に反発していた夫も、徐々に心が通うようになる。誤解から家を出た春を迎えに来るところは、こちらもホッとした。天涯孤独だった春に、安住の地ができた。良かった。
ストーリーには、包丁侍の成長と並行して、加賀騒動も描かれる。加賀騒動というのは全然知らなかったが、江戸時代の三大騒動のひとつらしく、当時は耳目を集めたものだったようだ。これをネタに、時代設定を変えたり、加賀の文字を当て字にして、歌舞伎や文楽が作られたくらい。加賀騒動を絡めたおかげで、物語が重層的になったと思う。
派手さはないが、しっかりダシをとった、味のある作品。
BS日テレ木曜特選時代劇を視聴。
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