「映倫審査基準の“今”が分かる作品でした。」土竜の唄 潜入捜査官 REIJI Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)
映倫審査基準の“今”が分かる作品でした。
見所は、
冒頭の部分的な紙芝居風の映像。
吹越満、遠藤憲一、皆川猿時による土竜の唄の場面。
そして、生田斗真と仲里依紗の体を張った場面。
それ以外は、普通。
…というか物足りなさもありました。
まず登場人物が多過ぎ。
警察、数寄矢会、蜂乃巣会と大規模な組織が複数登場するため、関連する人物も組織を説明する目的も含めて多数登場します。
原作を読んでいる方にとってはお馴染みのキャラなんでしょうが。
原作未読の私にとっては混乱を招くだけでした。
登場人物が多いことによって、主要であろう人物も描写不足になり彼等の行動に納得感が薄かったです。
また闘争場面が地味。
作中に複数の闘争場面が入るのですが、総じて地味。
本作独自の演出や闘争は無くワチャワチャしている殴り合いのみ。
数の論理ではない勝利の理由が明確に描かれていないため、何となく「主役だから」勝ったように見えてモヤモヤ感が残ります。
それから話の展開が中途半端。
原作が30巻以上出版されており未完、かつ次作も見据えた作りになっているため、非常に中途半端な部分で終了。
大きな全体に対して描かれる部分が少な過ぎる。
非常に大きく派手な箱を見せられて中身を観てみたら非常に小さな中身、といったガッカリ感がありましたね。
連続ドラマで更に続きの話を描いた方が良かったように思います。
ただヤクザに、人体損壊に、エロに、ヤクに。
三池映画的な要素(程度としては薄味ですが)に溢れた本作。
にも関わらずレーティングは「G:どなたでもご覧になれます」。
中盤のクレイジーパピヨンの場面や終盤の生田斗真と仲里依紗の頑張った場面。
これらの場面があっても「G:どなたでもご覧になれます」。
私が観に行った日も小学生・中学生が結構な数入っていましたが、彼等の興奮具合は相当なものでした。
…高校以上になると色々と見る手段を得てしまうので特段の興奮はないですが。。
そういう意味では映倫審査が世の中に寄り添ってきた、と言って良さそうです。
映倫審査基準の“今”が分かる本作。
映倫審査「G」のギリギリを知るためにも是非劇場で観ていただきたいと思います。
「G」か否か、自分自身の物差しで判断するのも面白いかもしれません。
オススメです。