「アイロニカルなジョークで投げかけるメッセージ」LEGO(R) ムービー hartzaさんの映画レビュー(感想・評価)
アイロニカルなジョークで投げかけるメッセージ
レゴの映画をフィル・ロード&クリス・ミラーが監督で撮ると最初に聞いたときから、
ずっと公開を楽しみにしていました。
公開が近づき、日本語のキミカワウィーネ予告動画を見て、『こんななのか?見に行くのやめようか…。』と思いました。
あれ企画して作らせた人は、この映画をなるべく人に見せたくないんじゃ…とすら思います。大人の事情?
映画はひどいアホ予告動画とは違い、大変面白かったです。
エメットの成長を『みんなちがって、みんないい。』的に描くんだろうなとは思っていましたが、
その描き方にアメリカ流の皮肉な毒っ気がある所がすごく好きです。
近年のヒット作の主人公が本人の決断や行動とはほぼ無関係に運命的に定められた『選ばれし者』だったり、
最初から非凡でさらなる高みを目指すタイプが多いこと、
そういうものの方が『受け』がいいことを指摘する声を見聞きしますが、
この映画もその事に疑問を投げ掛けていて、そこもいい。
子供をおいてけぼりにした、複雑で大がかりな『作品』を作ることが、
レゴで遊ぶ事の本質なのか?という疑問も描かれてます。
オタク的に何かを追求したり、物語世界を消費するのは楽しいけど、
それに閉じ籠んなよといわれたようで耳が痛かったり。
最後の、妹も一緒にと言われた男の子のリアクションがかなり秀逸。
お前もあんまり壊されるのは嫌なんじゃんwっていうブラックさが好きです。『 子供=純真無垢、きれい、正しい』で終らせてないところがいい。
プラレール大好きな小学生の甥っ子が、小さい妹が近くによるだけで大声で威嚇するのを思い出しました。
後、これは完全な私の妄想ですが、
子供向け映画のレゴムービーを、大人にも受けるように考えて作っている監督たち自身への自虐なのかも?などとも感じました。
3Dで見ましたが、これは失敗したかも。
3Dにも色々な方式があるみたいなので一概には言えないと思うのですが、私が見た劇場の3Dは色が暗くなってしまっていました。
試しに少しの間メガネを外して見た時の方が、色が鮮やかで、レゴムービーらしさもそちらのほうがありました。
3Dである意味もそれほどなかったし、400円高いし、もし友人にきかれたら2D薦めます。
最近ホビットを高画質HFRの3Dで見て、最近の3Dはこんなにすごいんだと感激して、
HFRでないのを知りつつも3Dを選択したんですが、勉強不足でした。
また字幕版で見ましたが、かなり大胆に日本の今の若者言葉になってます。(鈴木おさむさんの役割はこの部分なんでしょうね。)
レゴが若者言葉全開なのを、そのギャップがいいと思う人と、その話し方させんのか…と好きになれない人、どっちもいそうだと思いました。
wild styleはそのままワイルドスタイルの方がイタさでて良かったなと思いますが、日本の子供たちへの分かりやすさを考慮したのかな。