「女王陛下の嗜好」ジュピター 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
女王陛下の嗜好
「マトリックス」以来となるウォシャウスキー姉弟のオリジナルSF。
全米では大コケ、批評も芳しくなく。
言われるほどつまらなくはない。それなりに楽しめるエンターテイメント巨編。
かと言って、最高という訳でもなく…。
冴えない毎日を送る女性が、実は宇宙の女王の生まれ変わりで、ワイルドマッチョな傭兵に守られながら、宇宙を支配する一族の権力争いに巻き込まれる…。
何処かで見た事あるような話の繋ぎ合わせ。
でも、「マトリックス」だって設定が複雑なだけでメインストーリーは王道。
平凡な主人公が選ばれた救世主で…ウォシャウスキー姉弟はこういうのが好きなんだなぁ、と改めて思った。
生まれ変わりは前作「クラウドアトラス」要素。
壮大なスケールの世界観やVFXは見るべきものがある。
反重力ブーツによる空中アクションは見せ場。
だけど残念な事に、VFXもアクションも「マトリックス」の斬新さには遠く及ばず。
映像革命を起こした姉弟だが、さすがにあれ以上のものはもう無理か…。
ミラ・クニス、チャニング・テイタム、エディ・レッドメインら魅力的なキャスト。
テリー・ギリアムの出演には驚いた。
クールビューティーなミラ・クニスはアクション・ヒロインにもなり得るが、昨今の作品にしては珍しくずっと守られる身。
ピンチの時には必ずワイルドマッチョなイケメンが颯爽と駆け付ける。
地味だったヒロインのシンデレラ・ストーリー、ゴージャスな宇宙の結婚式、身分違いのロマンス…。
監督のオタクの反映と言うより、姉アナの嗜好かなと感じた。
宇宙の女王陛下が選んだのは…
地球全人類の命と、
今までと変わらない家族との平凡な生活と、
ワイルドなイケメンマッチョとのラブであった。