蠢動 しゅんどうのレビュー・感想・評価
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家臣の使い捨て
因幡藩(鳥取)に幕府から派遣された剣術指南役松宮は実は藩政を探る密偵、幕府は多摩川治水助成金を全国の大名から募る為、出し渋る藩を取り締まる為つかわしたらしい。家老は因幡藩の貯えを隠蔽するために松宮暗殺、下手人を父の切腹に絡み幕府に恨みを持つ息子の香川廣樹に仕立ててこれまた抹殺、藩を守るためとはいえ非道な行い・・。見せ場は雪の鳥取砂丘でのチャンバラシーンでしょう。
原案・脚本・監督の三上康雄が24歳の時に撮ったフィルムのリメイク、自主製作の為、会社を売却、妻にも先立たれながら撮ったという渾身の時代劇だが、同様に幕政に悩む貧乏藩の映画、「超高速! 参勤交代」や「引っ越し大名」に比べると娯楽性は皆無、武士の世界の非常さ、愚かさを描いただけに思われて残念・・。
画竜点睛を欠く
派手さはないが骨太の時代劇といった印象。
最近は電線等を手軽に消せるので、昔のロケでは写り込みを気にして出来なかったであろうアングルでのシーンも幾つか見受けられました。
その為、自然な空気感が感じられ、勧善懲悪やSFファンタジーなどの不自然さを排したシナリオと相まって一つの世界観を構築しているように思えます。
残念なのは、クライマックスの雪中での斬り合いの場面で殆ど血飛沫があがらなかった点です。
雪が全く血に染まらないのが不自然で、それまで築いてきた空気感とそぐわずチグハグな印象を受けました。
それに、斬り合いの凄惨さがあった方が、藩命に翻弄される理不尽さがはっきりとすると思うんですよ。
正義とはいかに、
「本格正統派時代劇」とうたっていたので観に行った。
前半の静から動に変わるところが良い。
粘って粘って、後半の、あの和太鼓の演奏にはグッと掻き立てられた。
大きなテーマであろう、”正義の矛盾”には今の時代にも通じるものがあるはずだ。
たしかに最近ではまったく例を見ない時代劇である。
私財を投げ打って製作したという、三上監督には敬服せざるをえない。
傑作!!
藩の存続の為に、苦悩する荒木、犠牲になる若き藩士香川、そしてその間で葛藤する剣術師範原田、それぞれの正義がぶつかるとき「武士道」の意味が浮き彫りになる。久しぶりの時代劇に興奮・・・傑作です!!是非、観ていただきたい。
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