「人形偏愛の目線とか、心理とか。」マニアック ねことまとさんの映画レビュー(感想・評価)
人形偏愛の目線とか、心理とか。
映画館でポスターを見ました。
どうしてもヒット作、『ロード・オブ・ザ・リング』のフロドのイメージが強い、イライジャ・ウッド。
そんな彼がイメージを覆す殺人鬼役に!
ショッキング・サイコ・スリラー!
… …との宣伝文句。
イライジャ・ウッドは気になるけど、スクリーンで見る勇気はなかったのでDVDになるのを待って観賞。
お話としては陰鬱な内容で、ざっくりなあらすじやタイトルから、観賞前から後味悪そうだなぁ~とは思ってたけど…本当に救いがない…。
元は知らないけれど、リメイクだからかちょっと古いかんじのタイトル表示。
画面的には直接グロい部分が映らないように配慮してあったけど、それでも内容的に重いのでスクリーンで見なくてよかった…というのが正直な感想です。
撮り方について、
はじめはわかりにくいけど、徐々に運転席から見た主人公フランクの目線であることがわかるようになってます。
劇中ほぼ、フランク目線。
アンナと出会って、並行して連続猟奇殺人を続ける合間に、フランクの生い立ちや、母親に対するトラウマ、性的なコンプレックスのシーンが挿入されます。
こやで頭皮ごと髪を剥ぐ異常犯罪の動機やフランクの精神的な問題を説明されるわけです。
その上で、フランク目線の視界。
普通は臨場感や目線の持ち主との共感を得るために用いりそうだけど、
この場合は、フランクと観てる観客との間に共感できないギャップを際立たせた上で、フランクの人生の悲惨さがより、際立つ効果があったのかなぁーと思いました。
あと、いっしょに観賞した子の感想では、人形偏愛を持つ人の特徴や心理ってああいう感じらしい。
人形を人間のように感じたり、人間が物のようにしか思えなかったり…ってところのことです。
それを前置きで加えると、『マニアック』ってタイトルに違和感が生じます。
ただの異常心理の持ち主によるサイコ・スリラーと捉えるか、
悲惨な過去に苛まれた人形偏愛主義の男の犯罪録とその結末と捉えるか…
人形偏愛について予備的に知ってるかどうかで違ってきそうです。
私も、言われなかってらもっと評価低かったと思うので。
(後味の悪さで星は低めです。これは私個人の嗜好も含めて。)
なんにせよ、歳を重ねたイライジャ、
あの大きな目が、少し後退した額が、可愛いイメージの若かりし日を覆す気持ち悪さに効果的でした…。
本編に話を戻せば、
最後に今まで殺してきた被害者たちに人形のようにボロボロにされて、皮を剥がれたら自身も人形だったというあのシーン…
自身の人生も人形のようだとフランクは思ってたのかな?
ちょっと意味深です。
…しかし、イライジャ・ウッド、
コメディとか、ラブストーリーとか、
何かしら笑ってる笑顔が観たくなりました(;_;)
予告動画の〝指輪はもう捨てた…〟は蛇足だなぁーと思うけど、確かにイメージを覆す怪演です。