「北欧映画の斬新な発想力には目を見張るばかり」サウンド・オブ・ノイズ ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
北欧映画の斬新な発想力には目を見張るばかり
北欧映画にはなぜ常識を飛び越えた快作が多いのだろう。本作もアイディアと娯楽性の融合に胸躍る快作だ。そもそもノイズ・ミュージックというと、それだけで一つの数時間にわたるレクチャーが必要になりそうだが、ここに登場するのは、むしろ誰にでも受容可能な、日用品でリズムを織り成すポップなアートというべきかも。これが一つのテーマとなり、一風変わったアーティストたちによる音楽テロと、それを追いかける刑事の追跡劇へと展開していく。
と同時に、これは「ロミオとジュリエット」のように異なる世界に住む主人公とヒロインが、かつて音楽という領域から放り出され、そこへまた舞い戻っていく物語でもある。つまりそこに横たわるのは「離れることで新たな魅力を発見する」という誰にでも身に覚えのある通過儀礼。社会や世間が決めた常識の枠組みを破壊する彼らの姿が、小さくとも大きなレジスタンスのように感じられて、とても痛快な一作だった。
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