劇場公開日 2013年7月27日

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サウンド・オブ・ノイズ : 映画評論・批評

2013年7月23日更新

2013年7月27日より新宿シネマカリテほかにてロードショー

ロマンス、コメディ、犯罪が詰まったワンダーワールド

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「音楽テロリストってなんだ?」という好奇心にかられたら、素直にその直感に従うのが正解。有名音楽一家に生まれてアマデウスと名付けられながら、絶望的に音痴! おかげで音楽嫌いになってしまった警察官が、音楽テロリストを追う北欧映画は、アバンギャルドな音楽ムービーかと思いきや、ロマンスとコメディとクライム・ムービーがぎゅっと詰まったワンダーワールドだ。

町に溢れるゴミみたいな音楽に反撃すべく、テロリストたちが奏でる前衛音楽「町と6人のドラマーのための音楽」が、いちいちケッサク。病院に忍び込んで患者と手術器具を楽器にしたり、銀行に強盗さながらに押し入ったり。とんでもない場所でとんでもないものを楽器にした音楽テロは、それだけでも面白い。けれども、本作の本当の魅力はその物語性にある。アマデウスが捜査の糸口をつかめたり、テロ集団のリーダーであるサナとの間に通い合うものが生まれるのも、絶望的な音痴とはいえ音楽の素地があるアマデウスだからこそ。ファンタジックな物語をリアルに響かせる、緻密な脚本には感服しっぱなし。

なにより素晴らしいのは、アマデウスが捜査を通して、潜在的な才能を開花させていくこと。その才能によって町全体が光と音のシンフォニーを奏でるクライマックスは、その詩的な美しさとアマデウスのドラマがあいまって感動的。斬新な着想もお見事だけど、やっぱり映画は人間を描けてナンボだなと改めて気づかせてくれるオトナな1本。莫大な製作費がなくてもスター不在でも、面白い映画に出会ったときにだけ味わえる、この興奮を味わって!

杉谷伸子

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