わたしはロランスのレビュー・感想・評価
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後味いいが長い
中年になるまで男性として過ごしてきたが、実は性同一性障害で
ずっと自分の性に違和感を抱いていた、と
周りいうことから始まる。
とはいえカミングアウトしたことによって
何もかもがどうの、という流れとも違い
最終的にはそれが無かったとしても
自分たちの関係はこのように終結したのだろうという、
落としどころが私は好きだ。
これがカミングアウトしたから、となれば
あまりにも片方が背負う罪悪感が大きいではないか。
当然いわれのないパッシングや迫害も受ける描写はあるものの、
新たな出会いがあったり
冷たいと思っていた母のかっこいい反乱があったりと
苦しいばかりではない。
とはいえ妻の苦しみ方はなかなかみていてもしんどいものがあった。
最後には自分たちも新たにメタモルフォースできるねという
彼らが切り開いて見つけた道が見えたとうで
視聴してる身も嬉しかった。
しかし3時間は長い。2時間に収めてほしい。
長いようで短い恋の物語
オープニングは絵画のようなカット割りや音楽、難解な台詞が知的で良いんだけど、ぬめーとしてて、なんだ、これ…と思いつつ
しかし、主人公がカミングアウトしてからはテンポが一気に上がって面白い!。
LGBTの知り合いがいないから知らないんだけど、体は男だけど『自分は女だ』と言う人は、女の何が分かってるのだろうか?。
実際、体も心も男だけど、女装したいだけの人もいる。
女性だって、化粧もせず、スカートもはかない人もいるんだし、そもそも、一人で部屋にいる時はほとんどの人が化粧やスカートをはいてないだろ。
そのあたりを疑問に思いつつ、きっと、人それぞれなんだろう…。
多様性が広く知れ渡ってなかった時代では普通の人には分からなかった感覚だと思う。
劇中でも、カミングアウトされて戸惑ってるが冷静な母親が『まだ愛してくれる?』と確認する息子に言った一言
『女じゃなく、バカになったの?』と揶揄するセリフはややウケだったし、ラストシーンの配色に含みがあるのか分からないが、この映画は、ゲイ術的だなーと思った。
重くて 煩くて 長い。のに?だから?だとしても。
この映画について言えばLGBTQについてよりも、監督の手腕趣向センスに話題は集中しているように思う。
もちろん 自分は女性なのだ と気づいたロランスが 「女性なんだから女性の格好をしたい」とカミングアウトして後の二人の心の痛み苦しみそして葛藤を描く事が目的のそれ なのだけれど。
数年前、安富歩 という東大の経済学者が 女装して暮らすのだと宣言し 実行した。
彼の自覚は 自分は女性である。そして男に興味を持った事はない。好きになる相手は女性のみ。つまり自分はトランスジェンダーのレズビアンであると自己分析している。
女装ではない 自分は女なんだからそれまでの男装をやめる、というのが正しい。彼はそう宣言した。
ロランスの状況とかなり近い。違うのは見栄えだけ。
実際の方であって女優俳優業の方じゃないので当たり前だけど。
受け取り手の私が、この作品に入り込むのにいくつかのハードルがあった。
どうしてもこの安富さんの顔がチラついた事。
(彼は現在 独身で ロランスのような葛藤が見うけられない)
ずっとラテン系の言語で怒鳴りあうこと。
スペイン語とポルトガル語はもちろんだけれど、フランス語もラテン系言語で これで始終 怒鳴り合ってるのが
それが心の痛みから来るのであっても ちょっとうるさい。
心の表現を映像に置き換える技法。
洋服が空を舞う、
心に雨が降ったような衝撃を 実際 室内に熱帯雨林の雨季くらいの規模の豪雨もしくは滝のような水 を降らせる。
二人の会話を ものすごい接近したカメラワークで
交互に撮る。
天才と言われる映画監督が 自由な発想で映画を撮る。
そこになぜかえもいわれぬ違和感を感じてしまい諸手をあげて 天才!と言えない何かがあった。
しかし 結局 そのハードルを乗り越え
見終わった今 彼ら二人の心の痛さが ひしひしと蘇る。
ロランスの物語は 20世紀末の10年間。
(今から30年前、随分世の中は変わった)
舞台はカナダ(最初フランスなのかと勘違いしてた)
心が痛い
心が痛みをともなって叫ばずにいられない
彼を愛している 息子より。
言ってしまって自分に愕然とする女。
どうしようもなく持て余す心。
ロランスの側でなく
彼を愛し しかしそれを貫くには辛すぎる彼女の側
二人で逃避行した先で会ったトランスジェンダーの恋人たちに会った後
彼の姿なんて関係ないすべてを愛しているといった事に対し
だったら相手が豚のように醜くても同じことを言う?言うわけがない!
そう叫ぶ彼女(そう 二人はいつも叫んでいる)の言葉には 真実味を感じる。
この映画のトランスジェンダーの彼は
葛藤がありつつも 自分の思いを貫こうとして実行し、生きる。
彼女は そんな彼を もう自分が嫌になるくらい愛している。
私の人生をあなたが壊すのか
そう言いながら
彼が自分に 時を経てもなお 心を向けていることに
心底 全身全霊で 打ち震える。
私の視点は ずっと 彼女の側であった。
最後に この映画を薦めてくださいました きりんさんに謝辞を申し上げます。
確実に私の血液の中に染み込む作品でございました。
88点
女優の演技力えぐすぎた
はじめ理解してくれたのかと思った
いい人やと、けどちゃんとリアルに
愛との葛藤を描いていて
人間くさかった
2人の彼女と夫と子供が可哀想でしかないが
まぁ全てがリアルやった
おもしろいし感動したが切ない・・・
二人には元サヤに戻ってほしかった(ToT)
という意味で星は3つ…。
ハピエン厨には酷な終わり方(ToT)
でも、これからもずっと二人は追いかけ合いっこしてるのかな?って思わせてくれるロランスの最後の表情は最後の救い。
物語すごくおもしろくてキャラも良いからのめり込むように観た。
外見じゃなく心に従って愛し合いたいものですね。
Mommyの主人公が子役で出てるのもかわいすぎて見所。
ドランは天才か……!
弱冠22歳でこの映画を作り上げたとは…。
もう怖い。才能がひしひしと伝わってくる。
何故その若さで人生を悟ってるんだ!女の気持ちがそんなに分かるんだ!2人の運命が分かるんだ!どんな経験をしてればこんな映画が作れるんだろう。自分の経験が大きく関わってるんだろうけど。
ドランには本当に考えさせられる。
人の表情から、間から、背中から。伝えられる何かを多分まだ受け止めきれない。
フレッド(スザンヌ)のキレた演技に脱帽。カフェのウェイターにロランスを馬鹿にされたシーンです。血管血走ってましたよ。あれはドランの気持ちですかね。それをフレッドに代弁させたのかな。
「ほっといてよ」
「あなたはコーヒーを注げばいいの」
本当それって感じでした。質問も感想もいらないと。ただ普通の人として扱ってくれと。何も問題ないように過ごしてくれと。
印象的なシーンでした。
そしてフレッド、ロランスの再会シーンも素晴らしかったです。明らかに求めあっていた2人。そのまま旅に出ちゃうのもいい流れでしたが…
2人はめちゃくちゃに言い合います。本音中の本音です。そこには愛しか見えなかったですね。これが真実の愛だと思った。
「裸の心で、生まれたままの性別で、君と生きたかった」
フレッド、パーティに参加するの巻
性同一性障害の大学教授が女性として生きる決心をしたことを契機に変化する恋人との関係。ファッションに疎い俺でも美しいと感じてしまう服飾美・美術が見事。映画を観ていると時折、「映画の勝利」を感じる瞬間がある。本作はそれを三度感じた。ちなみに、最高の勝利を感じたのはフレッド、パーティーに参加するの巻でした。
監督の芯
「マミー」を上映しているシネツイン本通りで、同じ監督の作品を上映するということで、本作品を鑑賞。
タイトルはもちろん知っていたが、スクリーンで観れるとは!ということで、始まる前からかなり興奮。
教師として安定して働くロランス、恋人のフレッド。ある日ロランスは、フレッドに「女になりたい」と、性同一性障害であることを告白する。
悩んだ末、ロランスを支えることを選ぶフレッド。
体は男と女で、心は女と女で…。二人の間の強い愛も、複雑な関係によってすぐもろくなってしまう。
しかし、喧嘩別れしたあとしばらくして、何もなかったかのように会って愛を確かめ合う…
正直、いつハッキリするんだろうかと思った。付かず離れずの回数が多すぎるし、後半の間延び感は否めない。
子供を捨てるのはよくないが、ロランスがフレッドの家に迎えに行って、「これから愛の逃避行を始めるぞ!」というシーンでカラフルな服が降ってきて、ロランスがフレッドにキスをする…ここで終わりならすごく納得する。
長い映画ならそれだけいろいろ詰め込んでくれないと気力が持たない。
この監督の水を使った演出は結構好きです。
愛したい気持ちと自由への望みが矛盾する
愛してるでは物事は解決しないのだなぁ、という感想です。そんなセリフもありました。
自由に生きることと、愛することのどちらも諦めたくなかったふたりが、寄り添い、やがて別れてその後再会する物語。
シャツが舞ってる青空の逃避行とか、雪のなかのシーンとか、ラストの落ち葉舞う感じとかが、印象的なシーンだった。
24だか23だかの監督が撮ったとは思えない深みがあるように思った。そして監督がイケメンすぎ…
この映画にもでてたらしいけどそれは気づかなかった!
フレッドの髪型はあたしはいけてないとおもうよ。
見逃して見逃して、3度目の正直が叶って嬉しいです。
わたしはわたしとして。
弱冠23歳の若さでこんな作品を撮ってしまう若手女性監督とは
一体どんな半生を歩んできた人なんだろうか?と思ってしまう。
大長編といえる168分の作品を(SFじゃないしね)描き切っている。
その映像美、男女の感情癖の巧妙な駆け引きの鋭さに感嘆。
自分の彼氏が実は性同一性障害を抱えていた、それを告白され、
じゃあ明日から女性になるからもう別れましょうね~とは簡単に
ふっきれないカップルのお話。そうなりながらも付き合いを続け、
葛藤と苛立ちを繰り返す二人。私的にこんな中途で性転換して
スパッと変わり身できる主人公が不思議でならなかったのだが、
(だって彼女とは性行為も普通にしていたんだからさ)これはバイ、
ってことか?とは思うが、如何せん、それを応援しちゃった彼女。
辛い目に遭うのはもう目に見えていたことなのだ。
10年に渡って別れと逢瀬を繰り返す二人だが、肝心の生活面では
すれ違って行く。ラストの二人の選択には胸が痛くなった。
彼らがやがてシニア世代になった頃を、ぜひ見てみたいと思う。
エモーショナル
映画館で2回鑑賞。1回目は部分的に好きなシーンは沢山あったが長すぎて最後の方寝てしまった。2回目は最初から最後まで集中して観れたけど、全体通してめちゃくちゃよかった、長くても納得できた。
この映画の広告でよく出てる、服が降ってくるシーンとかはミュージックビデオみたいで確かに新しい感じがしてお洒落で都会的で、アート系映画と言う人もいるし、視覚的にも美しいがそれよりも感情表現がめちゃくちゃ良い。MVみたいなシーンよりも役者の表情を撮っている部分の方が美しい。
特にロランスと母親との関係性の描き方が絶妙、ロランスがバーで頭突きかました後泣きながら母親に電話するシーンは見てるこっちも絶望的な気分になるけど、それで終わらない、ちゃんとスッキリさせてくれる。
フレッドが土曜のランチタイムのカフェでキレ散らかすシーン、再会した後の喧嘩中にフレッドが思わず打ち明けるシーンもたまらない気持ちになる。
白黒つけられないことややり場の無い感情、マイノリティの視点の描き方が秀悦。
究極の愛に苦悩する二人…でも長すぎる…
イケメンで男性的な容貌で周囲からも好感度の高いロランスが突然の女性になりたい宣言。恋人のフレッドはいままで男女として愛し合ってきた時間が突然崩れていくこと、今までの恋愛が嘘だったのではないかという疑念から、取り乱していくが(当たり前ですがね…)、ロランスというパーソナリティーを愛し、その彼の決意に協力しようと決心する。
学校を首になり失意のロランスに対して、子供を身ごもり不安定な気持ちのフレッド。お互いがお互いに対して自分の気持ちを押し付けることでしか会話ができず最初の別れが訪れる。
いや、女性になりたいっていう人の子供を身ごもるって、本当にパニックになるし、ロランスを尊重して自ら身を引くフレッドの気持ちを察すると、やはりロランスという人間が好きならも、男女としてつきあってはいけないことが分かっているからこそ、好きなのに彼のために身を引くっていうのは、本当によくわかるし、何も知らないとは言えロランスに殺意がわく瞬間でした(笑)
別れ話をするフレッドに駄々をこねるロランス…いや、完全にお前のせいだって。
そこから、出会いと別れを繰り返していくわけですが、とにかく長い…
最後には普通の女性としての幸せを手に入れながらも満たされないフレッドに、一通の詩集。ロランスが自分を見守ってくれていたと錯覚したのか?それとも、今の満たされない自分によかった時代を思い出したのか?再開を果たし激しく求め合い、さらには逃避行に。
その逃避行で待ち受けていたのは新たな別れ…
最後の方のシーンで「自分が女性にならなくても、いつかは分かれていたと思う」という感じのことをロランスが言うけれども、なんかそのシーンに3時間が凝縮されている気がして、悲しくなりました。
そもそも、お互いの愛の意味合いが最初から違ったし、それをお互い押し付ける形になり、お互いの妥協点が見いだせないから再会と別れを繰り返したわけで、とくにロランスのフレッドに対する愛は求めることが強すぎて、きっとうまくいかなかっただろうな…っていうか行っていないしと感じざるを得ないのが、悲しかったです。
という、深い深いお話なのですが、本当に長い…。二人の愛を語る上で欠かせないエピソードもたくさんあるんだとは思うのですが、間延び感が半端なくて…最後のシーンにたどり着いた時の疲れが半端ではなかったです。
演出も過剰に押し付け感が強かったようにも思えました。それぞれのシーンで感情を表すようなシーンの演出がありましたが、「これなんだ?」「このシーンの尺ながくね?」と映画の世界から現実に引き戻されることも多く、なかなか集中できなかったのは残念でした。
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