「究極の愛に苦悩する二人…でも長すぎる…」わたしはロランス もしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
究極の愛に苦悩する二人…でも長すぎる…
イケメンで男性的な容貌で周囲からも好感度の高いロランスが突然の女性になりたい宣言。恋人のフレッドはいままで男女として愛し合ってきた時間が突然崩れていくこと、今までの恋愛が嘘だったのではないかという疑念から、取り乱していくが(当たり前ですがね…)、ロランスというパーソナリティーを愛し、その彼の決意に協力しようと決心する。
学校を首になり失意のロランスに対して、子供を身ごもり不安定な気持ちのフレッド。お互いがお互いに対して自分の気持ちを押し付けることでしか会話ができず最初の別れが訪れる。
いや、女性になりたいっていう人の子供を身ごもるって、本当にパニックになるし、ロランスを尊重して自ら身を引くフレッドの気持ちを察すると、やはりロランスという人間が好きならも、男女としてつきあってはいけないことが分かっているからこそ、好きなのに彼のために身を引くっていうのは、本当によくわかるし、何も知らないとは言えロランスに殺意がわく瞬間でした(笑)
別れ話をするフレッドに駄々をこねるロランス…いや、完全にお前のせいだって。
そこから、出会いと別れを繰り返していくわけですが、とにかく長い…
最後には普通の女性としての幸せを手に入れながらも満たされないフレッドに、一通の詩集。ロランスが自分を見守ってくれていたと錯覚したのか?それとも、今の満たされない自分によかった時代を思い出したのか?再開を果たし激しく求め合い、さらには逃避行に。
その逃避行で待ち受けていたのは新たな別れ…
最後の方のシーンで「自分が女性にならなくても、いつかは分かれていたと思う」という感じのことをロランスが言うけれども、なんかそのシーンに3時間が凝縮されている気がして、悲しくなりました。
そもそも、お互いの愛の意味合いが最初から違ったし、それをお互い押し付ける形になり、お互いの妥協点が見いだせないから再会と別れを繰り返したわけで、とくにロランスのフレッドに対する愛は求めることが強すぎて、きっとうまくいかなかっただろうな…っていうか行っていないしと感じざるを得ないのが、悲しかったです。
という、深い深いお話なのですが、本当に長い…。二人の愛を語る上で欠かせないエピソードもたくさんあるんだとは思うのですが、間延び感が半端なくて…最後のシーンにたどり着いた時の疲れが半端ではなかったです。
演出も過剰に押し付け感が強かったようにも思えました。それぞれのシーンで感情を表すようなシーンの演出がありましたが、「これなんだ?」「このシーンの尺ながくね?」と映画の世界から現実に引き戻されることも多く、なかなか集中できなかったのは残念でした。