「官能サイコ。」イノセント・ガーデン ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
官能サイコ。
ひたすら気味の悪い話を美しい俳優が艶かしく演じることで
サイコな見せ場に官能美すら漂わせてしまっている異色作。
あの復讐三部作のパク・チャヌク監督、ハリウッドへ行っても
変わらず自分の世界観にこだわり、貫いているところはさすが。
しかしタイトル(原題)を普通に日本人が読んでしまうと、つい
名字(ストーカー家)ではなくて、つきまとう方を浮かべちゃう。
で、それがあとで意味が繋がることに感心したりして。
まぁ邦題は邦題で、これにも意味があるので…いいんですが。
しかし美しい主役の御三方。
M・ワシコウスカって、ゴメンなさい、初めて見た時からこの子は
腹に一物抱えているような、ちょっとそんな雰囲気を感じていて
先日観た「アルバート氏の人生」で、あ~やっぱりこっちが似合う
なんて思ってしまったクチ。なので今回の役もよく似合っている。
どう見ても清純・可憐なイメージは私にはない。
ある意味子供の頃からちょっと違う、気味の悪さを抱えており、
単に美しいだけのおバカさんな母親(ゴメンなさい、ニコール)
とは全く違うベクトルで生きている。
で、その母親は美しい美しいN・キッドマン。彼女の口癖が、
どうして分かりあえないの!なんだけど、余りに違いすぎるのよ。
ある意味エキセントリックな性格のお母さん、突然現れた叔父に
クラクラきちゃうのも実にあり得そう。叔父が御執心なのは、
性格の合わない娘の方だと知った時の、あの絶望に満ちた
顔のドアップ!が、また美しいこと!どうしましょうね~ホント。
そして謎の鍵を握る叔父、M・グード。これもイケメンだなぁ。
いつ瞬きしてるんだ?と思わせるほどの瞳とその眼差しの行方。
あまりに開きっぱなしで(今作では)ちょっと気味悪いんだけど。
どんなにサイコなストーリーも、
彼らが演じるだけで格調高く仕上がっているのが頼もしく、
その殺人場面や、二人で連弾場面も、やたら官能的でエロい。
内面から絞り出そうとするその色気の使い方がホントに巧み。
もっと謎が多い話なのかと思いきや、
過去の名作や名監督へのオマージュ?も感じられる分かり易さ。
次にどうなるかもだいたい観てとれるし、おそらく観客が待って
いるのはそっちじゃなくてこっちだよね!?をお見通しの演出。
主人公インディアの本性が露呈されて以降は、
さぁどうやって隠そうか、逃げようか、戦おうかという三狂気。
冒頭の場面と、彼女の変な動きが重なった時、うわぁ~!って
嬉しくなるか、気持ち悪くなるか、どっちになりましたかね…^^;
そもそもストーカー家の血筋を分かっていたお父さん。
なんで娘に狩猟の方法をしっかり教えこんだりしたんだろうか。
(やれ!って言ってるようなもんだよね。才を磨いてどうする)
奥さんには弟のことはまったく話してなかったってこと?
病院施設をなんで退院させたの?どう見ても危ないだろーが。
…と、D・マローニーを質問攻めにしたくなる鑑賞後ですが、
いかんせん、血筋っていうのは…やはりあるものなんでしょうか。
怖い、怖すぎる~。考えたくない~。
(つい親戚筋の顔ぶれを浮かべてしまいました。似てません!?)