「生きることは切ない。」江ノ島プリズム ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
生きることは切ない。
こういう青春タイムトラベルものには昔から定説があって、
過去は絶対に変えられない、いや、変えてはいけないといった
掟がまず存在して、そこを主人公がどうしても助けたい人(恋人や親)
のために何とかならないかと奔走するところが醍醐味だったりした。
本作もそういった一種なんだろうと、ほぼ地なのか演技なのか^^;
分からないユルい3人の演技と青春模様を眺めながら思っていた。
主人公・修太は自分のせいで、親友・朔が命を落としたと思っている。
もうひとりの幼なじみ・ミチルが、二人に何も告げずイギリス留学を
決めて旅立ってしまい、それを追いかけた朔が心臓の病で命を落とす。
彼が駅まで走ったのは、自分が彼の自転車を借りたせいだと悩む修太。
本編は、朔の三回忌の朝から幕を開ける。
この時点で、修太にとっての朔という存在が明らかになる。
朔の母は修太に逢えたことを非常に喜び、未だ朔の死から醒めていない
彼の部屋の模様が映し出される。
決して修太のせいではないからという母親の言葉も、修太にとっては
やはり重荷だろうな…とこの時点で思う。
朔の部屋で偶然見つけた「君もタイムトラベラー」という奇妙な本と時計
によって、修太は過去の二人に逢いに行くことになるのだが…。
青春モノの範疇を出ない過去の演出は、半ば下らなさと初々しさが
入り混じった、私からすればこそばゆい感覚のやりとりになったが、
ここに奇妙な少女が投入され(これが誰なのか)この子がかなり重要な
役回りを演じることになっていく。これもまた新しい試みだと思った。
ミチルが何も告げずに旅立った理由は何だったのか。
タイムスリップを繰り返す修太は朔の運命を変えることができるのか。
謎の少女・今日子の正体は誰で、彼女が暗示するものとは何か。
様々な憶測と後半~ラストの緊張感はなかなかで、私もまさか、エ!?
と思うようなラストとなった。この切なさはどう例えればいいんだろう。
いかにも青春模様と思える「プリズム」を使った教室でのお遊びなど、
微笑ましい日記のように描かれているが、若干そのあたりが長くなり、
早く何とかしろよー。と、飽きてくる場面もあった。
また後半、タイトルにもなっているプリズムが何か意味を持つのかと
期待したけれど、そうでもなかったところなど非常に勿体ない。
もっと三人のこれからに準えるような扱い方をしても良かったのになぁ。
しかしラストの切なさは、タイムトラベルものの定説を裏切っていない。
ただ、大変申し訳ないけど私は思ってしまった。
なんだよ、やっぱりオトコって友情を選ぶわけかよ、って。
(誰かの運命を変えるということは…っていう内容、ちょっと辛かったな)