言の葉の庭のレビュー・感想・評価
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妄想ストレート160km
貶しているように取られるかもしれないが、決してそういう訳ではなくて。
男子がティーンの頃に抱いている、「思い通りにならない時は、スネてみせれば、イジケてみせれば構ってくれるのでは」という妄想炸裂、そしてそれが妄想通り上手くいく展開が、懐かしさとともにカタルシスを与えてくれて面白い。その場合やっぱり、それを受け入れてくれるのは年上の女性という設定になるんだろうなぁ、と。
作者のリア充ではなかった(完全に過去形ですが)であろう感覚からこそ産み出せた尖った作品。予想外の短編なのに密度高し。
圧倒的な映像美と音楽に心揺さぶられる
2023年末にU-NEXTを契約したので、過去作を観はじめた。平日でも観られる短編ないかなと考えてぱっと思いついたのがこの映画。
初見は、「君の名は」を映画館で観た後の2016年の夏頃。「君の名は」の映像に惹かれ、新海誠監督の作品をもっと観たいと思ったのがきっかけだった。
さて、もう7年以上前(映画自体は10年以上前に公開)の作品を再度鑑賞したのだが、やはり圧倒的な映像美には、ただただ「すごい」としか言いようがない。
背景は極めて写実的に描かれているが、それはリアリティを超えて芸術の域に達している。かつて東京に住み、新宿御苑にも行ったことがあるが、画は実物よりも写真よりも美しい。絵画を鑑賞しているような感覚に陥る。
当時は、その映像美、ラストシーンと秦基博の歌うエンディングテーマ曲「Rain」に感動したのだが、今回もそれは同じだった。誰かが、これは長い長いRainのMVなのだと言っていたのを記憶しているが、この美しい映像とRainを聞くだけでも観る価値のある映画だ。
しかし、この映画は単なるMVではない。新海監督は、登場人物のキャラクター設定と心理描写にも心血を注いでいるのだ。
15歳の男子高校生と27歳の女性教師の短い淡い恋の物語。よくありそうな設定(精神的に幼い高校生の叶わぬ恋)だが、本作の男子高校生・孝雄は精神的にとても大人。対して女性教師・雪野は心は15歳のまま大人になりきれていない。このギャップと雨、そして現実からの逃避が2人を結びつける。
雪野は、ラストシーンで号泣しながら孝雄に告げる。「あの場所で、あなたに、救われていた」。深く深く内に籠もり、身動きできなくなっていた自分を救ってくれたのは孝雄だったと告げるのだ。客観的に言って雪野は弱いしずるい。孝雄が叫んだように、好意に甘えていたとも言える。でも、その自分の弱さやずるさを告白した彼女は、この瞬間やっと大人になれたのではないかと思った。
改めて鑑賞して、このラストシーンに心動かされた理由がなんとなく自分のなかでストンと腑に落ちた感がした。恋愛成就ではないが、2人の心が通い合って対等になった瞬間だ。
これからも「Rain」を聞くとこの映画のことを思い出すだろう。映像と音楽が一つになって観る者の心揺さぶる作品。
雨が降るのをずっと待ってる
雨の日の一限抜け出しボーイとアルコールガール。
普通の物語は雨が降る事は悲しみの表現だけど、この映画の雨は、出会いや好転を意味する。
新海監督の繊細で美しい絵がいい。
ファンタジーではないので、アニメである必要性が感じられなかった。
知らないで見た。
だるいあり得ない話だと思ったが、雨と新宿近辺が登場したので、誰の作品か直ぐに分かった。
背景はコンピューターグラフィクだと思うが、そのテクニックは認めたいと思う。果たして、この監督独自の技術によるものか分からないが、現状はこの監督の作品として認めざるを得ない。つまり、綺麗なアニメと見えるのは、背景を担当する人達の技術で、コンピューターグラフィックによるもの。
そう、あの『プペル』も背景の技術は別にあるように、背景の人達の技術のなせる技なのだ。
さて、
28歳の女性であっても、生徒、特に勤めている学校の生徒に手をつけるのは、利益供与に当たり、教師として懲戒免職に値する。勿論、女性であっても、18歳以下に手を付けると言う事は、淫行に当たると思うが、あまり、堅苦しい事は言いたくないが、女性と男性を逆転させれば、良いだろうと考える、その安直な設定が稚拙に感じる。
よかった
空の匂いを連れてきてくれる雨は好きでこの表現めっちゃ好き。
最初の主人公が駅で立ち止まった時後ろのおばさんが嫌そうな顔するところとか細かいと思った。
2024年10月20日2回目の視聴!
•金麦とチョコレートを組み合わせの意味を知ると切ない、、
•とても綺麗で切ない作品で、繰り返し見たくなる、、
生涯ベスト10候補に入れたい作品かも
大ヒット映画「君の名は。」を劇場で鑑賞した。
風景描写がアニメーションなのに
リアルに感じて、凄い。
新海誠監督の過去、どんな作品を
作っているのだろう・・・と
探して「秒速5センチメートル」、
「言の葉の庭」を観賞しました。
ジブリっぽい作品もありましたが、
現代劇を見たかったので、
この2本を選択。
「秒速5センチメートル」は、
初恋が思い出に変わるとき・・・
という感じかな。この作品、
昔の恋愛を思い出してしまって
心苦しくなった(笑)
今回レビューする本作品は、
生涯大切にしたい作品のひとつかもしれません。
生涯ベスト10に加えてもいいかも・・・
1週間に5回も見てしまうぐらい気に入りました。
いつもながらのめり込んでしまった(笑)
「君の名は。」の風景描写に驚き、
本作品を観賞しましたが・・・
さらに驚愕の映像美に・・・
これ、本当にアニメなの!?
水面の波紋、地面に溜まった水たまり、
窓ガラスに滴る雫・・・
今まで見たアニメーションの映像美No.1は・・・
と聞かれたらこの作品かもしれません。
孝雄(入野自由)は独学で勉強して靴の職人を
目指してる。
周囲は現実的に無理って空気があるけど、
夢に向ってまい進している若者。
27歳と15歳-
歳の差の離れたふたり、雨が降り続く公園で
偶然の出会い-
昼間からビールとチョコレートを
食す雪野(花澤香菜)の姿って
インパクトありますね。
見知らない人だけど、気になる存在-
二人はこの出会いが初めてではなくて、
彼女のほうは分かっていて・・・
これがラストの感動的なシーンにつながってます。
何故、彼女が自分の素姓を明かさないのか・・・
46分という短さなので、台詞だけでなく
台詞がないシーンでも
二人の心情が手にとるように分かるような
演出がされていました。
少しずつ、距離感が近くなっている感じでしょうか。
雪野は、ある出来事により前を向いて
歩くことが出来なくなった。
元彼との電話のやり取り・・・
本心を打ち明けることなく、嘘で固めてしまう。
心のよりどころがなく、たった一人で自分の世界に
閉じこもっている。
雨の日を期待して、出会いを重ねる二人-
二人で過ごすこの時間、ひとときが
生まれて初めての至福の時間幸せを感じる。 そして、遂に孝雄の告白-
この後の雪野の言葉がショックでした。
あっ、完全に物語に入りこんでるというか
孝雄に完全に同化していたのかも・・・
ラスト雨が吹き荒れ、マンションの階段、
踊り場での二人のやり取り-一瞬、
孝雄の独りよがりじゃないかと
思いましたが。
でも、本心を包み隠さず相手にぶつけるなんて
なかなか出来ない事で、
自分を取り巻く世界は他人で、
自分の領域を犯されたくないし、
相手の領域に無理して
踏み込みたくないし・・・
でも、そうしないとお互いの事が分からない・・・
何年経過しても、表面的な人間関係って
あるかもしれない。
この二人の最後のやり取りは羨ましくもあり、
今回もすぐ泣いちゃう私は、号泣しちゃうわけで。
あ~憧れるな~、こんな恋愛に・・・
こんなにも感情を揺さぶられる作品に
出会えて幸せでした。
あっ、キャッチコピーの「孤悲(こい)」ですが
一人寂しく、悲しく、相手を想う恋だそうです。
成就しない恋、切ないなぁ~
でも、二人がこの出会いをきっかけにまた前を向いて
歩いていく姿は素敵ですよ~
雨の日に思わず、鑑賞したくなる作品ですね。
あっ、ちなみに「君の名は。」に
本作品のヒロイン雪野が登場しています。
すぐに分かると思いますので、
ご確認くださいませ・・・
これネタバレかな笑
この物語の後日談を、
「君の名は。」で描くとは・・・笑
ワタシは27歳だけど、心の成長が15歳のまま、止まってる・・・
2013年。監督・原作・脚本・絵コンテ・演出・撮影監督・編集。
全て新海誠。46分。
タカオとユキノが語り合う雨の公園の東屋。
新宿御苑がモデルだという。
新緑の葉の濡れた樹木が信じられないくらいに美しい。
雨の朝は途中下車して学校をサボるタカオ。
会社(?)へ行けなくて、途中下車して東屋で缶ビールを飲んでいるユキノ。
タカオもユキノもまるで行きずり。
名前さえ知らない。
雨の朝には公園のベンチでふたりは、ひとときを過ごす。
缶ビールを朝から飲み干し、ツマミはチョコレート。
ユキノのちょっと壊れたところが、とても新鮮だしインパクトがある。
(しょせん人間なんて、どっかちょっとずつ、おかしいんだから・・・)
と、ユキノが言う。
地下鉄の構内や駅周辺(新宿?)の都市景観はまるで実写のようだ。
15歳のタカオは大人びている。
15歳で心の成長の止まってるユキノよりずっと大人だ。
靴職人を目指しているタカオは、真っ直ぐでブレない。
心の傷を抱えるユキノは、雨の中、ダンボールに入れて捨てられた野良猫みたい。
15歳の高校1年男子。
27歳で訳あり孤独な女性。
ふたりの邂逅が奇跡のよう。
映像の美しさ。
流れるピアノのBGM。
そしてストーリーテリングの巧さに舌を巻きます。
ユキノがマンション階段で、泣き崩れてタカオにすがりつくシーン。
ユキノの感情が爆発して迸る強さに圧倒されます。
(ユキノが心の硬い殻を破った瞬間!!)
音楽に物語を委ねて手助けをさせる新海誠監督の手法。
もう確立してたのですね、ずうっと前から!!
とても胸打つ映像・映画でした。
過去鑑賞
繋がるのか終わるのか☆
短いお話でした。実は先生と生徒で、想いあってるけど、先生は明日引っ越して行く…。
青春の1ページな感じ。大きくなって会いに行ったら、また繋がるならいいなぁ。
タイトルとキャッチコピーからわかる文学的映画
46分という短い映画の中に、本当に凝縮された淡い"孤悲"の物語が描かれていると感じた。
高校生の主人公と年上の女性。
雨の日の朝だけに会うことのできる存在で、お互いが癒しの存在となっていく。
お互いに自分の人生歩めるのかどうか不安と葛藤しながら、他人と干渉することなく、歩んでいく物語。
女性は社会でうまくいけなかった人だったのに対し、主人公は、これからのまだ見ぬ大人に魅力を感じ、明るい未来を夢見て、必死に食らいついてそのために一生懸命に靴をつくる。
2人が対照的に描かれていて、背景に描かれる情緒的な表現に対比に比喩に暗喩に、込められた意味が一つ一つの表現に感じ取られ、細部にまでこだわって、表現されていることに感銘を受ける。
雨、小雨、大雨、嵐、雪、虹、晴れ。
この46分の中にどれだけの天気があっただろうか、どれだけの表現があっただろうか、どんな意味が込められているんだろうか、主人公たちの心の動きに、それが表されている細部に後だわってもう一度見てみたいと思わされた作品だった。
とにかく美しかった。。
新海誠にしか表現できない男.女の絶妙な距離と"孤悲"の物語だった。。。
胸が苦しい
見てすぐの感想
本当に胸が苦しくなりました。雪野さんと少年が優しすぎて、正直に生きているからこそ社会で上手くやれてない?感じがして、そうゆう人こそ報われてほしいと思った。ストーリー全体が優しくて物静かで言葉ひとつひとつが心の奥まで来ました。また、会社や学校に行きたくないという気持ちはだれもが感じたことがあって、共感ができると思った。会社や学校で上手くいってないと感じる人ほど見てほしいです。しかし、こうゆう出会い方憧れるーーーー
現実に合ってほしいーーーー
みんなの感想を見て
たしかに、結構年の差ですね。雪野さんが少年を追いかけるときに裸足なのはちょっとわかんないなってなりました。でも、現実でなくて映画だからこそ先生と生徒の恋というのは許されると思いました。私も、そこで一瞬、え?となりましたが、映像がきれいすぎてどうでもよくなりました。現実のことを持ち込まずに映画に入り込める人にはおすすめの映画です!
言葉って素敵だな、と思わせてくれる映画
まるで2時間映画を見たかのような満足感。
こんなにも美しい世界に、人間の弱さや苦しさ、挫折と切なさ、そして希望と愛が全て入り交じっていて、正直言うと、この映画をすっきりまとめられる程の文章力は自分にはない。
今作は「雨」そして「靴(足)」、「言の葉」という3つのワードが大切になってくると思う。
「雨」の降る日に決まって同じベンチに訪れる少年と女性が、自分自身の「靴」を作って1人で歩こうとする。
少年は将来や夢の為に真っ直ぐに突き進むが、どこかでずっと焦りを感じている。
これがまたよくわかるんだよ。。。
人間はそんなに真っ直ぐでいられない。
だから、雨の日だけは、真っ直ぐ学校へ行かずに寄り道して公園に向かうのだろう。
もし当時自分が同じ事をしたら1回でも大変な事になっていたなと考えると、羨ましくも感じられた。
女性には辛い過去がある。
こういう優しくて親切で、それでいて美人な人って、どこかで誰かに妬まれて足を引っ張られるんだろうな。。。
彼女は行きたくても行けない。真っ直ぐに向かいたくても進めない。
それは、周りの人からは「逃げ」だと感じられてしまうのかもしれないけど(特に日本人は許さない人が多いと思う)、こういう彼女の気持ちをわかってあげられる人であった方がいいと思う。
二人は次第に惹かれていく。
自分にはないような「大人っぽさ」や「色気」を持ち、ミステリアスでつい惹き込まれるような女性、ユキノ。
自分が出来なくなってしまった、真っ直ぐに夢を叶えようと突き進む、「若さ」と「純粋さ」を兼ね備えた少年、タカオ。
そりゃあ惹かれるよな...
自分だったらユキノさんに確実に惚れてる。
花澤香菜さんの声はやっぱりいい。
女の子らしい声も、大人っぽい色気のある声も、透き通っていて聞き心地がいい。
なんでユキノは、タカオの告白とも取れる言葉に、敢えて突き放してしまったのだろう、と考えた時に、やっぱり異性に対しても嫌な過去を持ち、タカオの将来も考えての事だったのかなと思うが、それでも最後に追い掛けてしまうのは、どうしようもなく好きだったからなのかな、などと考えてしまう。
でも結局はユキノは実家へ帰り、二人は離れ離れになってしまったわけだが、それもタカオの将来を考えて?
それならユキノがここに残って、バイト等をしながら同棲でもしたら良かったのでは?と考えてしまうのは、まだ自分は幼いからなのだろうか。
「君の名は。」が、学生の真っ直ぐで純粋なド直球恋愛だとするなら、
「言の葉の庭」は大人の静かで激しい恋愛なのだろうな。
ここまで書いてもまだまだまとめられそうにないので、この辺で。
長々とすみません。
もしもっと上手くまとめられそうであれば、書き直します。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
想いのこもった言の葉
Amazon Prime Videoで鑑賞。
ノベライズは未読。
なんと美しい物語なのだろうか。新海誠監督ならではの映像美に圧倒され、逢瀬を重ねる男女の物語を鮮やかでエモーショナルに描き切った構成と手腕、脱帽の一言です。
「君の名は。」でもそうでしたが、映像に物語の機微や登場人物の心象を絡み合わせるのがめちゃくちゃ上手いなと、改めて感じさせられました。これはもはや「詩」じゃないか。
裸足の全力疾走。雨の吹き込む階段で溢れ出す想いをぶつけ合い、心が通い合った瞬間を祝福するかのように雨が止んで、雲の切れ間から射し込む陽光。美し過ぎて落涙しました。
[余談]
「天気の子」でも雨が効果的に使われている様子。お天気が重要な要素であることで関連性を感じ、本作を鑑賞しました。
46分の短い上映時間にこめられたものの濃密さ、計り知れない。秦基博の主題歌も良く、最高の余韻に浸れました。
※修正(2024/01/29)
年上女性
総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:85点|音楽:70点 )
雨が降る公園で午前中にのみ二人は会う。緑をいっぱいに映す水面が、ここが世界有数の大都会の中にある憩いの場所となる。雫が落ち水が流れるような透明感のある音が風景に溶け込んだピアノが心地よい。
二人の人生はほんのちょっと交差しただけ。それでもその出会っているときは、困難な夢に向かう少年と追い込まれた女性が自分をさらけ出して本当の自分になれてちょっとだけ救われる時間だった。
風景やちょっとした場面の描写に言葉を使わず思いを語らせる。そうかと思えば主人公たちの語らいを入れて文学的に状況と気持ちを表現する。相変わらず新海監督のそんな演出が上手い。映像も初期の作品よりさらに進化している。
脚本の方は、会ったことがあるという会話・和歌・仕事・女性のつぶやく不安と、伏線を張って回収が上手い。
私事だが、今月ある場所で会ったある男の人は、彼が中学生の時の教師と結婚したのだと教えてくれた。そんなことが実際にあるんだなと驚いた。最初はちょっと非現実的と思った2人の関係だし2人がその後どうなるのかわからないが、この話を聞いてもっと現実的に感じた。『君の名は。』でもそうだったが、新海監督は年上の女性が好きなのかもしれない。
ピュアって何だろう
この二人の関係を表す言葉がみつからない。
純愛でもないし、友情でもない、共依存とは違うし…大人の女性と男子高生の居心地のいい不思議な関係を描いた映画です。
ファンタジー要素が全くないとアニメの必要性ある?と思うのですが、都会の雑踏や公園が本当に美しい。
中でもテーマの雨が、すごくきれいで、こんなきれいな雨見たことないと思いました。
謎の女性と距離が近くなっていくことに、ドキドキしたりはしませんでした…残念ながら。
リアルな風景ゆえに、フィクションに感じず、清潔感を感じなくてもやもやしました。
謎の和歌を言って去るゆきの、自分の正体に気づいて欲しいけど欲しくない心情ゆえの行動…思春期か!
大人の女性が男子高生に何やってるんだろう。
ゆきのの靴を作ろうと足を触るシーンは、秋月の真剣さが垣間見れる名シーンなんだろうけど…。
ずぶ濡れになって、家に入れるのか…がっかり。
秋月は告白して振られて、数分後には、好きじゃないと非難する言葉を轟々と浴びせる。
いかにも高校生ぽくて、大人に成長したら…という気持ちも興ざめします。やっぱ子供だな、と。
純愛物は好きですが、やっぱり現実だったら?と考えてセーフかアウトかで、キュンとするか興ざめするか分かれます。
この年齢なら彼の淡い恋心に気づいてもいいはず。
自分のために離れなかった、ゆきのは好きになれませんでした。
映像と音楽はいつも美しい。それが保証されているのは、もうよーく分...
映像と音楽はいつも美しい。それが保証されているのは、もうよーく分かっているし、目に嬉しいのはありがたい…のだけども…この監督のストーリーと自分の好みが合わない…。
恋愛物が苦手というのがまず致命的なのだが、それにしても言の葉の庭は「何だよこれ…」と思ってしまった。レビューでよく見る「教員と生徒の恋愛はキモい」だとか、「先生が自立できてない大人でイライラする」だとか、そんなことはどうでも良い。両者の、つらいことがあって、将来への淡い夢があって、人生がやりきれなくてこうなっちゃった感じもよく分かるのだが…
だが後に残るこの「うわぁ…何だこいつら…」という気持ちは何なのだろうか? キャラの行動が許せる許せない、現実味が無いとかあるとかで引っかかるわけでももない(あったらアニメなんか見ない)。
ストーリーの中身が合わないからという理由で新海作品が見られないのはまことに残念なので、一度恋愛に全く触れないストーリーを作ってみてほしい…が、そういう客はそもそもお断りなのかもしれない…
文学的なトーン
社会的な課題に悩む男女が関りあいながら、同時に自身と向き合い、成長しようとする話。
靴デザイナーという困難な将来を志す、ややしっかり者の高校生が男主人公。自分の夢の実現に自信を持てないまま、靴の勉強を続けており、家庭事情や学校生活といった、自分を拘束し努力を妨げるものにやや嫌気がさしている。
一方、女主人公は後に明らかになる通り、いじめにあって仕事に行けないでいる教師。両者は、雨の日の公園で会ううちに惹かれあう。
二人はその交わりの中で次第に自己を自覚し、それぞれの道を歩んでいく決意をする。
全体に、文学的なトーンが漂っている。短歌を詠うシーンがあるからというだけでなく、全体の演出のアイデアが文学的に発想されているように思えた。つまり、色彩や構図よりも映り込んだモチーフの持つ文化的意味や言語的に連想される意味が、豊かな情報を持っているような表現に見えた。
時間、季節の進行とストーリーが密にリンクしており、とりわけ各季節の雨の違いを物語の変化と合わせて取り入れているあたりが分かり易い。ほかにも、植物や鳥などといったモチーフに季節の変化を、公園という場所は現実と隔離された空間として機能する等、様々に意味を込めている。
言葉を使ったストーリーの見せ方も絵と同等に大きい。二人の主人公の違いや共通点をナレーションの文の構造で上手く対比を作って見せたり、その他様々な言葉の関連性などで、二人の心境やストーリーの変化を引き立てていく。
二人の人物に焦点を当てるため、対比を意識した脚本や構図が目立つ。男主人公の靴好きは、靴を介した演出に結び付く。特に、仕事に行けない女の状況を、「歩けなくなった」と表現するのは顕著で、靴を作れるようになろうとする男が、彼女に変化をもたらすものであることが仄めかされる。
一方で男からみると女は最初、憧れの大人社会からの使者で、謎めいているが魅力的なものとして映る。大人社会の謎めきは異性の謎めきともリンクしており、女の足を採寸するシーンは、自分の理想の職業への接近であるとともに、異性への接近であり、二人の関係が同時に変化する象徴的なシーンである。(実際にはそのワンシーンのみでの急激な変化はないが。)このシーンはこの映画の一つの見せ場であり、手と足、それに伴う二人の姿勢や位置関係等で味わいを出しながら、繊細に、また官能的にも見えるように描かれている。
二人にとって互いの関係が近づくことは、それぞれにとっての課題解決へと向かうことであり、課題から逃げた結果行きついた場所の雨の公園は、俗世から離れ自分と向き合うヒーリングの空間であって、各自の課題解決のために必要な逃避だったのだと分かる。
絵の魅力としては、幻想的な色彩の描写ももちろんいいが、かえって現実にある物を見せられた時にちょっと驚く。実際にある場所を使っていたり、広告、主人公を迷惑そうに見る通勤途中のおじさん、工事中のエレベーター、授業後の黒板など、既視感のあるものがこの画風の世界に現れる事で、あれっと目を引く。
この作品においては、周辺環境の全ては、二人の男女の関係の変化を強調・説明する舞台装置であり、重心は常に人物に置かれている。
何よりも一番好きな作品
ふれれば壊れてしまいそうなほど繊細な雪野先生と、
高校生にしては大人びていて周りの同級生とは少し違う空気をまとう孝雄。
大きく言えば恋愛モノですが、
二人の感情があまりに繊細で現実的なため、
恋愛模様というよりは人間の脆さをすごく感じる作品でした。
「人間なんてみんなどっかちょっとずつおかしいんだから」
「そうかな」
「そうよ」
「私ね、うまく歩けなくなっちゃったの、いつの間にか」
「仕事のこと?」
「うん、色々」
この会話のテンポというか、絶妙な距離感が本当に好き。
この少ない言葉にどれだけの思いが詰まってるか。
なにより言葉が丁度いい。言葉のチョイスもそうだし、無駄がなく説明じみてないセリフがとても心地よい。
小説を読むとより一層この会話の重みがわかります。
それに、「言の葉の庭」というタイトル。
これ以上ないですよ。
言葉の響きも内容とのマッチングも。
一晩中語りあかせるくらい、ここには書ききれないくらい、本当に大好きで大切な作品です。
出会うのがもっと後になっていたら人生変わってました。
頑張れ靴職人!
靴職人なんて聞くと、すぐにあのアカデミー賞俳優が浮かんで
しまう映画マニアにとってこんな職業を15歳の青年が選ぶかと
思いきや、この主人公孝雄には所謂子供っぽさがみじんもない。
むしろ27歳という設定の雪野の方がめっぽう子供っぽく見える。
それもそのはず孝雄には生活がまんべんなく圧し掛かっていた。
彼が作るお弁当のこれまた美味しそうなこと!こんな15歳なら
私だって欲しいわ(息子に♪)と思ったくらいだ。雨の日の庭園
で出逢った二人は互いの素性を明かさずに逢瀬を続けていくが
青年の年上の女性への憧れが好意に変わり始めた瞬間、彼女の
正体が意外なところで判明し、あーそういうことがあったのと
随分辛い気持ちになった。好きな職業に就きたくて頑張る青年
に対し、好きな職業に就いているのに挫折し苦しんでいる女性。
これまた15歳とは思えない労わりや愛情表現が彼から発せられ
た時、雪野が居た堪れなくなった気持ちは私にもわかる。好き
だという気持ちに忠実な高校生(マクロン氏じゃあるまいし)の
真直ぐな思いに応えられる自分であるかどうか。立場の違いに
苦しむことも目に見えてるよな…とまたこの監督お得意の終焉
まで暗い気持ちでいたのだが、今作にはほのかな未来が見える。
全50件中、1~20件目を表示