言の葉の庭のレビュー・感想・評価
全243件中、141~160件目を表示
自然描写が例えようもなく美しい
映画:「言の葉の庭」
英語題名:「GARDEN OF WORDS」
監督 製作:新海誠
音楽:大江千里
歌: 秦基博
ストーリーは
15歳のアキズキ( 秋月孝雄)が他の高校一年生に比べて、大人びているのには理由がある。父の居ないシングルマザーの家庭で、母親はひとまわり若い恋人と家出中、兄も近々ガールフレンドと同棲するために家を出ていく。家事は全部自分でやっていて、料理も自然と上手になった。
彼は雨の日が好きだ。子供の時は、空はもっと近くにあった。空の匂いを連れてきてくれる雨が好きで、そんな日 彼は学校に行かず、新宿御苑に行って雨の音を聞く。
ある日、アキズキが雨の新宿御苑の自分の定位置、東屋にいくと珍しく先客が居た。見ると彼女はビールを飲みながらチョコレートを食べている。変な人だ。以降、何度も雨の日にはアキズキの居る東屋に彼女も来ていて、二人は自然と話をするようになる。アキズキの作って来たお弁当を二人で分けて食べたり、家事のできないらしい彼女の作った、出来損ないのお弁当を分け合ったりしながら、二人は互いに会話をすることが楽しくなってくる。ふだんは口の重いアキズキも、この女性ユキノ(雪野百香里)を相手にすると、自分が進学をせず靴を作る靴職人になりたいという夢を語ることができる。ユキノは 喜んでアキズキの靴のモデルになってくれた。彼女は、いろいろあって、社会の重圧から歩くことができなくなっていて、歩く練習をしているのだという。
アキズキは、まだ自分が子供で父親が居て幸せだった頃、父が母の誕生日に宝石のような美しい靴を贈り、母がことのほか喜んだときのことが忘れられない。靴が母を喜ばせたように、自分が将来 美しい靴を作って、人を喜ばせたい。次第とアキズキはユキノが歩きたくなるような靴を作って贈りたいと、願うようになる。雨の日には会える。二人は互いに雨の日を待ち望むようになる。
ある日、アキズキは学校でユキノを見つけて、驚く。ユキノはアキズキの通う高校の古典の先生だった。彼女は学年で女生徒から人気のあった男の先生と関係を持った、という悪意のある噂が流出して、登校できなくなって休職していたのだった。ユキノ先生は、自分のことは、学校で多くの人に知られていたので、アキズキも自分のことを知っていると思っていた。アキズキは、ユキノを不憫に思い、悪意の噂の元になっていた先輩に向かって行って、さんざんにぶちのめされる。
翌日大雨の日に、二人は再び御苑の東屋で出会う。台風が接近していて、突然の豪雨にあって二人はずぶ濡れになる。ユキノは、ぬれねずみになったアキズキを自分のアパートに連れてくる。服を乾かしている間、アキズキはユキノのためにオムレツを作り、ユキノは熱いコーヒーを淹れる。二人して雨の音を聞きながら、二人して自分が今世界一幸せだと思う。
アキズキはユキノに、好きだと告白する。でも、恋愛に臆病になっているユキノはそれをまっすぐに受け止めることができない。拒否されて、傷ついたアキズキはユキノを、激しく責める。アキズキの悲鳴のような言葉を聞いて、ユキノはいままで自分の押さえつけて来た気持ちが爆発してアキズキに抱きついて泣きじゃくる。
というお話。
この映画は、「君の名は」に比べると短編だが、ストーリーも絵も、こちらの方がずっと良い。
15歳の少年が、27歳のちょっと不良で挙動不審な女性に出会って、話をするうちに打ち解けて好きになっていく様子が、とても自然だ。恋をして、恋を失いそうになったときの一生懸命なヒリヒリと痛む少年の心が痛いほど伝わってくる。ポール 二ザンは、「20歳が美しいなどと誰にも言わせない。」と言ったが、若さは美しいどころか、みじめで苦難に満ちたものだろう。好きな人ができて、心が舞い上がり、それがバウンドをつけて突き落とされる恋を、だれもが経験しながら大人になってきたのではないか。アキズキの悲鳴のような叫びをあげ、ユキノの号泣のように大量の涙を流しながら。
アキズキは学校でははぐれ者だったし、自分の話をよく聞いてくれる人が必要だった。大人の女性が自分の靴職人になるという夢に きちんと共感し、支持してくれて嬉しかった。ユキノはユキノで、妻子ある教師との恋愛が原因で、職場でトラブルを起こし、傷ついて生きる目標を失いかけていたが、一つの目標にむかっていくアキズキとの出会いが、何よりの励ましになった。アキズキとユキノは互いを必要としていて、その求心力が愛情を呼び起こした。相手を必要とする互いを求める力は、純粋で自然なことだった。
社会の重圧から、食べ物の味がなくなり、職場に通えなくなり、歩けなくなったユキノのために、アキズキは靴を作り始める。そんなまっすぐな本心を告白するアキズキに、ユキノは、「靴が無くても一人で歩けるように練習していた。」と言って強がってみせる。社会の壁にぶつかり、教師としての制約を思い知らされ、人格を壊されていたユキノには、アキズキの心情をまっすぐ受け取ることができないでいる。泣きじゃくり、泣き続けることでしか自分の気持ちを伝えることができない。
そうすることが、ユキノの魂の再生への過程だった。
最後にアキズキは独白する。「歩く練習をしていたのは、あの人だけでなく僕もそうだったのかもしれない。いつかもっと遠くまで歩いていけるようになったら、あの人に会いに行こう。」 そこまで言える心境に達したアキズキの大人の態度が立派だ。まさに、
「雷神の少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」
「雷神の少し響みて 降らずとも我は 留らむ 妹し留めば」
画面の自然描写が例えようもなく美しい。
本当のことを’伝えるために少し嘘を使った方が本当に近くなる、という表現方法の例えがあるが、アニメーションという方法でここまで本当の雨を表現できるということに驚愕する。雨が降りはじめ、水たまりができて、水面に鮮やかな緑が映える。雨の音を聞いていると、雨から匂い立ってくる雨の匂いが呼び起こされ、雨を感じることができる。雨の音が強弱を繰り返し、緑の木々が揺れ、風を感じることができる。空から雨が落ちてくる様子が自然を写した本物のフイルムのように、生き生きしている。高層ビルに囲まれた新宿御苑の緑が雨に濡れ、鮮やかさを増し、生き物すべてに命を与えるように、輝き始める。雨に濡れて木々が息を吹き返すように、若い男女の魂も再生する。雨によって二人の命が生き返る姿が目に見えるようだ。
美しい映画だ。
雨の日の新宿御苑の若い男女二人
2回目。新海誠による2013年の、45分の短編。絵柄は繊細かつリアルで、ストーリーも謎めいている。しかし、とてもシンプルなお話だ。高校一年の梅雨から冬にかけての半年間。
15歳の高校一年生のイケメンの男の子が主人公。
都内に住む20代後半の物憂げな女と、高校一年の男子が新宿の森の中の公園で雨の日に出会う。入場料は500円、アルコールの持ち込みは禁止になっている。アルコール禁止の場所で仕事に行かずビール飲んでるんだから法令遵守の公務員であれば、かなりやばい状況ではあるが、そういうやばい女と不登校寸前の15歳の男の子。
男の子は母子家庭の次男で、兄が女と同棲を始め家を出て行き、母も恋に忙しくて子にかまわず。弟は靴職人になりたくて自分で靴を勉強し、作り始めている。専門学校に進む道を考えて、バイトも始めた。
女の方は、少し心を病んでいるせいか、味覚障害になっている。仕事にも行けてないようだ。何ヶ月かの間に、彼女がふんぎりをつけて、仕事を辞めるまでの期間の物語。
なんてことない話だ。しかし、お互いにその存在を必要としていたことが明らかになって映画は終結する。
「君の名は」のような、大きなウソもなく、話もかなり小さなものだが、風景描写など素晴らしい。
天気の子が気になる。
繊細で優しい恋と、心の闇、弱さ。
監督の、映像美はいつも通り。
視覚的に美しい映画。
内容は、触れると壊れてしまいそうな2人の
繊細で優しい、少し暗くて、でも何だかキュンとしてしまうストーリー。
息苦しい現代社会に生きる私達の、誰もが1歩踏み外す可能性のある闇。
人との出会いの素晴らしさ、存在価値。
短い時間の中に綺麗にいろんなテーマがまとまってて、それを主人公2人で描いているところが素晴らしかった。
綺麗な涙が流せる映画です。
けしらかん
雨降りの朝で今日も会えないや
とくるりは15年前に歌っていましたがこの作品では雨を理由に出会える2人を主人公にしています。
雨降りの朝を理由に学校をサボり、新宿御苑を散歩していたら黒髪ショートのアンニュイな年上美女と出会い、なんだか良い感じになるという話です。
なんともけしらかんわけです。許せません。くるりへの冒涜です(?)。何よりも学校に行け学校に!
きっと学生時代にこの作品を観ていたらこんな生活に憧れて雨の日に授業サボって東京散歩に繰り出そうとしてただろうけどどうせそんな度胸自分にはなかったろうなぁとつまらないことを考えているとこの作品はあっという間に終わってしまいます集中して観ましょう笑。
評判通りの映像美。この一つ前に星を追う子どもを観たわけだがあちらも素晴らしいが、この作品は何気ない日常の風景描写が引くほど綺麗である。雨がこんなにも繊細に描けるのかと思うほどに細かくて色鮮やか。風景描写に定評のある新海誠とはよく言ったものです(言ってない)
そんで見終わった後必ず秦基博を聴いてみたくなること間違いないでしょう笑。土砂降りの階段シーンの美しさとバックで流れる秦基博のマッチ具合と言ったらもうねぇ。
靴を作るために足の寸法を図るシーンでそこはかとないエロさを感じてしまった自分はもう心が汚れてしまったのだろう笑。観たら心がざわついて3日くらい寝れなくなるだろうから特に10代の方には早めに観てほしい作品。
雨の日に綺麗な人と出会った
映像美に注目
映像の美しさが印象に残る。雨や木々の緑、風のそよぎなど、絵画を見ているようであり、それが作中人物の心情と重なり情緒が深まっていく。「雨」がひとつのモチーフになっているが、雨が現実世界から、人物を隔てた閉ざされた空間を演出していることに注目した。高校生のタカオは、靴職人という今の学校生活とは、かけ離れたところにある仕事をしたいと夢見る。ユキノは仕事で傷ついて前に歩きだせない心を抱える。そんな孤独な二人を雨がそっと包み、徐々に心がマッチングしていく。雨は時に優しく穏やかに、時に激しく荒々しく、それは二人の心と同じである。終盤の雷雨のシーンが印象的である。
時間が短いこともあり全体的に淡白な感じである。違う作品になってしまうかもしれないが、時間をかけて二人の心の交流を描いたものを見たいとも思う。
雨が綺麗。青春もの。
雨の風景が綺麗。
とても静かで叙情的な作品。
新海誠監督らしく風景がとても綺麗。雨のシーンが多い作品だけど水滴や雨に濡れる公園のなんと美しいことか。
ユキちゃん先生の声を当てられてる花澤香菜さんがすごく良い。
「今は離れてしまったけどきっといつかは」と思わせる開かれたラストも良かった。
個人的には劇伴と主題歌がイマイチでそこだけ残念。
個人的には、新海誠で一番好き
個人的には、新海誠の作品で一番好き。
最近は『君の名は。』が、高盛りだけど
アニメでドラマがしっかり描けてる作品ほど、力の持ったものは無い。
出てくるシーンも、あえて新宿御苑以外は、あまり出さない。
2人のひとときの拠り所として描くコトで
彼等の色々な想いをピックアップしているし
日々の孤独すら読み取るコトができる
それを意図してやっているのが、また好感が持てたし、世界に入り込みやすかった。
終盤の思いを口に出すシーンは、久々に胸を打たれ、涙腺を刺激されました。
それほど長い映画では無かったはずなので、その点も切り取られた思い出のあの頃として感じられ
とても良かった。
ちなみに、秦基博さんの歌が何れも作品に染み込んでいます
是非ご覧頂くことをオススメしたいです
良い意味での雰囲気極まった作品
みなとみらいで再上映と言う事で鑑賞致しました。
梅雨の時期を舞台に新海誠監督の自然や人口物の美麗さが遺憾無く発揮されている作品でした。
本作品は、少し斜に構えた所もある悩める思春期の主人公、少し歳を重ね大人として社会人として様々な問題を抱えるヒロインの想いが感じられました。
主人公は基本的に真っすぐな性格・想いを持っていて、日々の生活が上手くいっておらず少し後ろ向きになっていたヒロインに前向きな気持ちを与えます。
又ヒロインは大人として自然体に接し主人公に漠然としていた夢を現実的にどうするかと向ける影響を無意識に与えます。
そうして梅雨の時期、雨の日に出会い少しづつ変わっていく二人から梅雨が明け遂に前へ進もうとするヒロインと主人公のすれ違い・・・
等作中のセリフ以上に雰囲気で感じ取り楽しむ作品で少し大人向けであったかなと思います。
難点としては原作があるのかはわかりませんが映画だけだとヒロインの設定が少し多すぎてそこまでの必要性が感じられない事があった点が気になりました。
ただ今となって見た感想としては秒速から言の葉、そして君の名と段々よくなって行ってる感じられる作品として丁程良い中間作品とも見れました。
やっぱり絵がきれいだなぁ!
新海誠監督の映画は、とにかく風景がきれい!雨の日の出会いって、なんか素敵だなと思った!個人的には、エンディング曲が、大江千里のRainだったのが、映画に合っていて、良かった!(歌っているのは、違うけど)
雨のシーンがキレイすぎ
全243件中、141~160件目を表示