「なにより、美しい。」言の葉の庭 幸せなひまつぶしさんの映画レビュー(感想・評価)
なにより、美しい。
特に情景の描写が、まるで色彩豊かな映像のようで、リアル以上に美しく、冒頭の、水面に広がる雨つぶの波紋にまずひきこまれた。
情景の美しさに8割、ストーリーや主人公の男女への感情移入に2割、といったところだろうか。
雨の日にしか会えない、その切ないシチュエーションにひかれたが、だんだんと現実的な世界へと引き戻され、職場で悩みを抱えた教師と、それと知らず惹かれていく靴職人めざす高校生、という構図になってきた頃、すこしさめてしまう。
それぞれの心情により深く共感したり共鳴したりするには、もうすこしだけ時間と描写が欲しいと思ったが…。
ラスト直前の場面では、
お互いの本音が初めて激しくぶつかって、心を揺さぶられた。
人が心に秘めていた感情を放出する瞬間って、なんでこんなに心を動かされるんだろうか。
「靴職人になりたいなんて人に話したの、初めてだった」とタカオが言っていたけれど。
その言葉で、それまで人に言えなかったことを、その時はほぼ初対面なのに何の抵抗もなくするりと話せた人(今の主人)との縁が今も続いていることを、久々に思い出した。
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