劇場公開日 2013年5月31日

「なにより、美しい。」言の葉の庭 幸せなひまつぶしさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5なにより、美しい。

2016年6月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

特に情景の描写が、まるで色彩豊かな映像のようで、リアル以上に美しく、冒頭の、水面に広がる雨つぶの波紋にまずひきこまれた。

情景の美しさに8割、ストーリーや主人公の男女への感情移入に2割、といったところだろうか。

雨の日にしか会えない、その切ないシチュエーションにひかれたが、だんだんと現実的な世界へと引き戻され、職場で悩みを抱えた教師と、それと知らず惹かれていく靴職人めざす高校生、という構図になってきた頃、すこしさめてしまう。

それぞれの心情により深く共感したり共鳴したりするには、もうすこしだけ時間と描写が欲しいと思ったが…。

ラスト直前の場面では、
お互いの本音が初めて激しくぶつかって、心を揺さぶられた。
人が心に秘めていた感情を放出する瞬間って、なんでこんなに心を動かされるんだろうか。

「靴職人になりたいなんて人に話したの、初めてだった」とタカオが言っていたけれど。

その言葉で、それまで人に言えなかったことを、その時はほぼ初対面なのに何の抵抗もなくするりと話せた人(今の主人)との縁が今も続いていることを、久々に思い出した。

幸せなひまつぶし