「なかなかの佳作」サイド・エフェクト マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
なかなかの佳作
夫の出所を待ちわびる妻エミリー。インサイダー取引の罪で服役する夫のマーティンも根っからのワルではなさそうだ。
“うつ”を再発させてしまうエミリーの担当医、バンクスは実直な性格だが、働き盛りで、それなりに野心もある。
エミリーが過去にどのような処方を受けていたのか確認するために前の担当医を尋ねる。それがシーバート博士(女医)。
これでこの映画のポスターの4人が揃う。
ここまで、それぞれの人物とその背景にあるものが実に丁寧に描かれる。終わってみれば分かるが、この人物描写こそがこの作品の生命線。ラストに向けて集束していく。
途中から話の底に何か企みが存在することは判るが、どう始末をつけるのかがなかなか見えてこないサスペンスの良作。
飛行機のアクロバットでいえば、初めは単独でフォーポイントロールなどの技をじっくり見せ合い、途中から4機で編隊飛行。ところが1機が脱落。原因は新型機の導入か? つい観客の目がそちらに向きがちだが、空では1機のすぐ上を別な1機が背面でランデブー。そこへいきなりローリングをかまして飛び去る機体に、我に返った観客たちが拍手喝采といったところか。
映画は、小気味いい着地を見せる。
タイトル通り、副作用を上手く利用したサスペンス。現代社会の対人関係や情報に左右されやすい社会環境を逆手に取った脚本が上手い。新薬に観客の目を誘導する演出も巧み。
信用もせずに去った妻や同僚医師をギャフンと言わせてくれたらもっとスッキリしたが、そこまで底意地が悪くないところが彼らしい。
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