影武者のレビュー・感想・評価
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影法師が見た滅び
第33回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作。
DVDで2回目の鑑賞。
黒澤作品で頻繁に登場する「名無しの権兵衛」だが、本作では信玄の死を秘匿するために影武者をつとめることになった盗人(影法師)がこれに当たる。影であるはずの彼が次第に本体のような威厳をまとい、巨大な幻となっていく様が面白い。
役目が終わった途端、石を投げられ館から追い出されてしまう影法師。土砂降りなのに傘もくれない。なんと世知辛い。
偉大な父を持った勝頼の苦悩が物悲しかった。正常な判断力を失い、愚かな家臣のアドバイスで独断専行。長篠の戦いでは死の突撃を命じ主だった家臣を失い茫然自失となる。
常に偉大な父の威光がつきまとっていた勝頼。己の実力を示そうと動いた結果、武田家の滅びへのトリガーを引いてしまったのである。なんとも皮肉で、なんともやるせない。
信玄に惹かれ、武田家を守ろうとした影法師が武田家滅亡の瞬間に立ち会った時の悲壮感たるや、凄まじいものだった。
銃弾の雨の中に突撃し、目の前でバタバタと兵が死ぬ。顔面蒼白の特殊メイク。仲代達矢の壮絶な演技に目を奪われた。
川に沈んだ風林火山の旗と、その横を流れされていく影法師の骸。滅びの美学としか言いようの無い構図に心が震えた。
傑作になれなかった映画 傑作になれない着想
武田家が滅ぶのが何でそんなに悲しいんだ ?なんでそんなに必死で勝とうとするのかが伝わってこないと滅んでも悲しみが伝わってこない
影武者になって何がしたいのか? 何で 影武者であり続けたいのか? それが伝わってこないと何の感動もない
それらをうまくまとめるのが難しい ネタ だったと思う
しかし 黒澤明 はよく頑張っていて影武者がバレるところ まではまあまあ面白かった。写真がすごく良かったし。写真は構図も色もとっても良かった。 多分、 宮川一夫が撮影協力で入っていたのは伊達ではなかったであろう。 そして 演出 もしっかりしていた。
残念ながら 人間ドラマ的なものがうまく入っていないのでバレてしまった時に「大変だっ」ていうのが伝わってこなかった。
第一 長すぎる。 影武者は影武者でしかなかったというテーマの軽さと、映画の長さ 舞台の壮大さ がマッチしてない。もっと軽く、短くすれば良かった。
例えば・・
孫は天才君で、すぐにバレてしまう。 しかしその時にはすでに奇妙な友情で結ばれており
「 お主は面白いやつじゃ」 とか言われて 孫のために頑張ろうとする。とは言うものの意見は常に対立し、悶着を起こしながら・・とか。
だが、なにしろ70歳にしてこの力量をみせたのは凄い。意図的に 派手すぎる衣装を着せたり ファーストシーンの地味な 固定カメラだったり・・舞台映画ですよ という 演出はとても良かったと思う。 地味な 演出 だからギャグも入っていた。 もしこれを 仲代達矢 でなく勝・・ いや 三船敏郎がやっていたら 前半だけは傑作だったと思う。三船はコメディアンセンスも高いから。本当は三船敏郎で撮りたかったに違いない 。
結果としては失敗作だと思うけど、写真や 演出の面白さや黒澤のパワーは十分に味わえたので 映画というものは それで良いのかもしれない。
凡庸…
長篠の戦いラストシーンは多くの馬が登場し、迫力はあったが、撃たれるシーンは見せず、撃たれた後の人馬が寝転んでるシーンの演出であったため、いまいちだった。ストーリーも今一歩面白味に欠け、何よりも長く、影武者ならではの苦悩する情感など、心に訴えかけるものがなかった。黒澤映画だけに期待したが残念。
あっさりと
予想に反して、思ったより早めに影武者があっさりとバレてしまいましたね。
もっと引っ張るかと思いきや・・・
家康役の風貌が自分のイメージとは違いましたね。
ショーケンが勝頼役だったとは気付かなかった。
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