「異質をどう受け入れるかを考えさせられた」劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ 神速(しんそく)のゲノセクト ミュウツー覚醒 あぐり娘さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0異質をどう受け入れるかを考えさせられた

2013年7月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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 ミュウツーの逆襲以降ずっとポケモン映画を見てきて、年配ファンとなってしまったなあと今回のミュウツーの再登場で強く実感…。ただし、今回のミュウツーは似ているけれど違う別個体。冷徹で孤独な前作と変わり、演じた高島さんの声も相まってどこか優しさも持ち合わせている女性的なミュウツーである。
 この包容力とも言える要素が、今作が提示している「異質をどう受け入れるか」という問題への一つのアンサーではないか。初登場となるゲノセクトは長い時を超えて現代に現れた。全てが自身とは異質であり必死に居場所を求める姿が描かれている。その結果共存とはかけ離れた排他行動に及んでしまうのだが、そんなゲノセクトにミュウツーが、そしてサトシ達がどう接するかに注目してもらいたい。
 私と同じく逆襲のファンである人には当時のミュウツー観が強烈で違和感は否めないかもしれないが、そこはやはり別個体であることを念頭に置いて観賞すべきだろう。製作側の過去のミュウツーのイメージに干渉せずに、新しいミュウツーというキャラクターを作り出そうとした努力が見受けられる。実際、新しい可能性として魅力的なキャラクターだと思えた。
 また、この映画の主題歌「笑顔」はサトシとピカチュウの冒険を見てきたファンには強く心に響くものがあり、歴代の中でもポケモンに非常にマッチしていると感じた。曲単体でじっくり聴いても素敵なものだった。
 1点減点は、その新ミュウツーが誕生した背景の描写が不足していたため。魅力的であるからこそ、過去のドラマも知りたかった。とはいえ本作の焦点はゲノセクトである。今後の追加ストーリーに期待したいところ。

あぐり娘