劇場公開日 2014年7月25日

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「ゴジラがGODZILLAになったと思い知った日」GODZILLA ゴジラ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ゴジラがGODZILLAになったと思い知った日

2014年8月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

小学生の頃、円谷英二が創り出す怪獣や太平洋戦争ものを見て、それ以来、特撮映画のファンで今でもVFXを駆使した作品が大好きだ。
円谷監督が本当に描きたかったゴジラの姿とはどんなものだったのだろうと考えたとき、今回のハリウッド版がひとつの解答を示したように思う。

予告篇を観たとき、首がない、手がだらんとしている等、長く親しんだゴジラとの違いが目についた。
ところが実際に動きまわる姿を見ると、短い首は違和感がなく、あの大きな手を前に構え続けることじたい動物として無理があるだろうと考えが変わる。
ハリウッドで制作された前作(1998)は巨大イグアナをゴジラと言ってのけファンをがっかりさせたが、今作はまさに怪獣とは何たるかをきっちり示している。ただ大きいだけでは怪獣ではないのだ。その微妙な違いをやっとハリウッドが理解してくれたようだ。
日本版のゴジラの皮膚はワニのようにゴツゴツしているが、今回のゴジラはキングギドラのように鱗で覆われている。ゴジラが咆哮したとき、例の短い首の鱗一枚一枚が逆だって震える様はまさに鳥肌が立つ迫力がある。

これまで曖昧だったゴジラの出自の経緯にも触れ、放射熱線は体力を消耗する命懸けの技としたあたりはストーリーを面白くした。
GODZILLAを生命体の均衡を保つ“GOD”の仕えとして捉えるあたりは西洋らしいが、渡辺謙がふんする教授の名をゴジラファンならニンマリする遊びで芹沢猪四郎とするなどオリジナルに対するオマージュも忘れていない。
また、主人公のフォード・ブロディ大尉は爆弾処理が専門の軍人で銃も持つが、諸々の条件も重なって一発も撃たない。“神”に銃口を向けた者は天罰がくだるということか、それとも銃では何も解決できないというメッセージか。
まだこの1作ではゴジラの全貌が明らかになったとはいえず、含みを持たせたエンディングと続編制作が発表された今、もう日本でゴジラが作られることはないのだろうな。あそこまで作られたら無理だよな。私にとってこの日は、ゴジラがGODZILLAになったのだと思い知らされた日となってしまった。
少なくとも日本の俳優だけは「ガッヅィーラ」ではなく、渡辺謙のようにはっきり「ゴジラ」と発音し続けてほしい。

マスター@だんだん