劇場公開日 2014年7月25日

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「160億円の咆哮の虚しさ」GODZILLA ゴジラ タニシさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0160億円の咆哮の虚しさ

2014年7月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

最新のデジタル技術と無数のスタッフ、160億円もの大金をつぎ込んで2014年に蘇ったハリウッド産〈デジタル〉ゴジラ。その凄まじい「咆哮」に喜んでお金を払えるかどうかで、評価が二分する怪作。

興ざめな編集、冗長で薄っぺらい人間ドラマ、意味不明な軍隊の行動、ゴジラが産まれた過去の設定まであっさり否定する浅はかさ…と枚挙にいとまがない、いち娯楽大作として首をかしげざるを得ない未熟な脚本。

ゴジラ生誕の地・日本に対して多少気を遣っている描写はあっても渡辺謙が孤軍奮闘で空回りしている印象が目立ち、観ていて痛々しい。

こんな描かれ方で喜べるほど器用でない自分は、IMAX3Dで高い料金払って鑑賞したことを後悔している。この映画がゴジラでなければ、いや自分が日本人でなければそこそこに楽しめたのかもしれない、と自虐的に考えてしまうほど、非常に落胆させられた。それだけ、期待が大きかったのだ。

昨年の今頃は同じレジェンダリー・ピクチャーズ製作のパシフィック・リムに感動、興奮し幾度となく劇場鑑賞しただけに、後出しの本作に期待するなという方が無理である。

ギレルモ・デル・トロ監督ならゴジラをどう料理しただろうか。もしかすると彼の想像力の前にはゴジラの世界観は足かせでしかないかもしれない。

このギャレスゴジラを観た日本の特撮関係者らが奮起して起死回生の本場の〈アナログ〉ゴジラを再び世に送り出してくれることを夢見て、心の平穏を保ちたいと思う。

タニシ