劇場公開日 2014年7月25日

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「ネバダ州にも核実験場がある」GODZILLA ゴジラ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ネバダ州にも核実験場がある

2019年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 富士山の麓らしきところにある原子力発電所事故。ジョーは妻のサンドラ(ジュリエット・ビノシュ)とともに原発で働いていたが、フィリピン地震の影響で日本にも振動(地震?)が起き、いきなりのメルトダウン。妻を失い、失意のまま15年が過ぎた。息子のフォード(ジョンソン)は米軍の爆発処理担当だったが父が日本で逮捕されたと報せが入り、急きょ日本に向かうことになったのだ。「立入禁止になっているのは怪しい。何か政府は隠しているハズだ!」という信念のもと、息子も巻き込んで再度侵入するジョーであった・・・

 原発跡地で捕えられていたのは巨大な怪獣ムートー(どことなくギャオスに似ている)。放射線を食べて成長するというムートーは突如目覚め、殺そうとしたスタッフであったがまんまと逃げられてしまう。羽根の生えたムートーはオスであり、フィリピンに冬眠状態のまま残されていたのがメス。メスのムートーは核廃棄処理施設のあるネバダ州に移されていたのだった。その雌雄が産卵のため大都会サンフランシスコに向かい、一方、ゴジラもまたサンフランシスコへと向かうのだった・・・

 エメリッヒ版GODZILLAが最悪だったため、どうなることかと思ったが、東宝ゴジラをかなりリスペクトしていたのがわかり、大満足。1954年初代ゴジラのテーマでもある反核もここでは活かされているようだったし、3.11東北大地震や9.11NYテロを想起させる映像も満載。さらに社会派メッセージとして政府や軍の中での隠蔽体質をも告発しているかのようだった。また、ここでのゴジラは完全なる悪玉ではなく、巨悪なムートーを退治する善玉怪獣だったのだ。

 圧巻は船の下を潜り抜けるゴジラの雄姿やムートーとの戦いシーン。特に回し蹴りによってオスをやっつけたり、マウス・トゥ・マウスで火を吹くゴジラ、軍による一斉発砲を受けても人間を殺そうとしない平和的なゴジラ。あくまでも「ゴジラに戦わせましょう」と、広島原爆で亡くした父への思いも感じさせ、核兵器によらない退治にこだわる謙さん。ムートーのパルス攻撃により飛行機が墜落し、ITテクも使えないためマニュアル操作できる核ミサイルのスイッチを押してしまったアメリカ軍。しかし、そのミサイルはムートーの大好物。これで一緒に子育てしようね!とムートー夫妻の微笑ましい光景。最終的には陸から離れたところで爆破させたみたいですけど、やっぱり核の扱いはまだまだ甘い。それと、気になるのがムートーの卵たちの絵がどうしてもエメリッヒ版を思い出してしまう・・・

kossy