「絵本のような映像美が温もりや切なさをストレートに伝える秀作」かぐや姫の物語 もしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
絵本のような映像美が温もりや切なさをストレートに伝える秀作
映画館で鑑賞しました。
もともと他の映画を見ていた時に予告編が気になり公開されたら絶対に映画館で見ようと思っていました。
ストーリーは誰もが知っている古典文学の竹取物語。竹の中から子を授かり、美女に育ち、5人の貴族に求婚されるも無理難題を課して、そのうち2人は命を落としてしまう。その後、時の天皇にも寵愛されるも月からの迎えが来て帰ってしまう…と、誰もが知っている日本文学です。
「今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて、竹をとりつつ、萬のことにつかひけり。名をば…」のナレーションから、「もと光る竹」に出会い、その竹になたを入れるオープニングのシーンからファンタジー満載の映像美。かぐや姫の美しさ、手のひらサイズのお姫様の不思議な光景は、その後の映像を期待させるに十分なオープニングでした。
その後、すくすくと育つ過程で捨丸という山の少年と行動を共にし、お兄ちゃんとして慕って伸びやかに暮らしていくが、翁が竹から美しい衣や金を見つけ、翁はかぐや姫を「高貴な姫」として育てることを天命と思い、田舎をすてお金で官職を買い(わからないけど、田舎の翁が突然京に屋敷を立てたってことはそういうことなのかな?)、京に家を立て、お目付役も付けて、かぐや姫を高貴の姫として育てる。
そんなかぐやが成人を迎え、三日三晩、かぐやの成人を祝う宴がもよおされる。
ここでかぐやは、何一つ自分の好きにできず、何一つ感情を露わにできない「高貴の姫」になることに深い憤りを感じ、屋敷を抜け出し、捨丸のもとに…
このシーンの京を抜け出す疾走感と、姫の心を表す陰鬱な映像がそれまでの京の煌びやかさや、京でのしとやかな生活、宴の騒乱と一線を画して、さらに見入ってしまいました。
そのあとの捨丸がさってしまった事をしり、白い雪の中に一人倒れるかぐやのシーンもその白い雪の美しさがとても印象的でした。
その後の展開は、何にせよ、かぐやは「高貴の姫」として求愛され、かぐやはそれを頑ななまでに拒む。翁は翁の望む「高貴の姫」にするべく奮戦をしてきて、ようやく幸せをつかめるというのに、ことごとく反故にするかぐやをみて、不満と疑問をつのらせる。かぐやはかぐやで、自由に暮らしていた時代に思いを馳せ、不自由な今に不満を思いながらも、育ててくれた翁と婆の期待になんとか応えようと葛藤する。
その心の葛藤を美しい映像で表現する。そんな映画でした。
印象的だったのは、塞ぐかぐやが仕えの物と婆と花見に行くシーン。満開の花の中で回るかぐやのシーンは特に美しかったです。
ただ、直後に貧しい母とのやりとりが現実を伝えている気がして胸が痛くなるのはやはりこの映画って感じでしょうか?
ストーリー的には誰もがしったお話ですし、映像美は非常に楽しめる秀作ですが…個人的にはラストがなんとも…
捨丸と空を飛び回るシーンも、月からのお迎え(仏陀じゃねーか)のシーンもファンタジーを通り過ぎて不思議…、わかりませんでした。
かなり雑文になりましたが、まとめると
映像美が非常に素敵、しかもかぐやの心中を慮る映像展開がとても秀逸でした。
かぐやの心の葛藤が切ない、かぐやを幸せにしたい翁と翁の思う幸せを幸せと思わないかぐや、でも育ての親への感謝も捨てられないかぐやの心の葛藤がとても切ない
というおはなしでした。