「かぐや姫の物語」かぐや姫の物語 jadoreさんの映画レビュー(感想・評価)
かぐや姫の物語
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技術的なすごさは素人の私にもよくわかりました。しかし決定的に残念なところ。それは、原作の方がはるかにスケールがでかいということでしょうか。鳥、虫、獣… それらに命の意味をこめようとしたのかもしれませんが、かぐや姫が、田舎を恋しがるハイジみたいになってしまいました。ペーターみたいな新キャラ(唯一の架空キャラ)まで作ってまで、そこを強調する必要があったのでしょうか?原作では、山が恋しいというテーマは一切ありません。むしろ、姫の器量は田舎に収まらず、京へ、公達の目へ、そして帝に、と華やかに盛り上がっていくのです。それに姫も帝のことがまんざらではなかったはず。でも訳ありの身、原作のかぐや姫にはそういう苦悩もありました。そして数年が流れ、いよいよお迎えがくるとき、「地球」の威信をかけて姫を守ろうとするのは帝だったはず。ここは月対地球の決戦前のようであって欲しかった。映画の帝はあまりにもチャラ過ぎます。原作で姫が最後にとる行動は、親にではなく帝に手紙を書くことです。それは帝へのお詫びと親愛の情をこめた歌でした。そして不老不死の薬を帝に献上するのですが、帝はそれらを富士山の上で燃やすのです。姫のいない不老不死に意味はないとしてね。このスケールをどうしてわざわざハイジ級に落としめる必要があったのでしょうか。残念です。原作に忠実という方も結構いますが、日本人としてもう一度原作に触れてみて下さい。
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