風立ちぬのレビュー・感想・評価
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風立ちぬ
✴︎あらすじ
大正から昭和にかけての日本が舞台。航空機の設計者である堀越二郎は、イタリア人飛行機製作者カプローニを尊敬し、いつか美しい飛行機を作り上げたいという夢を抱いていた。
堀越二郎が勤め先である三菱内燃機製造に向かう汽車に乗っている際、ヒロイン・里見菜穂子に出会う。乗車中、関東大震災に見まわれ、足を骨折した菜穂子の女中を救う。名前すら明かさなかった二郎だったが、その後、休暇で訪れた長野県北佐久郡軽井沢町で菜穂子に再開し、恋に落ちる。だが、彼女は母親と同じく結核に蝕まれていた。
結核を治すべく、菜穂子は遠く離れた療養所にいた。だが、二郎とともに居たいという思いから、単身、二郎の元へと向かう。そして、その晩に二郎の上司・黒川夫妻に仲人を依頼し、結婚することとなる。菜穂子の病状は思わしくなく、日に日に悪化していった。だが、一緒に暮らしたいという思いから、二郎は結婚生活を続ける。二郎は、そんな生活の中で、零戦のプロトタイプ製造に成功する。病状に限界を感じた菜穂子は、二郎、世話になった仲人や二郎の妹に手紙を残し、再び療養所へと向かう。仲人である黒川夫人は、追おうとする二郎の妹に、「追ってはなりません。…菜穂子さんは、一番良い時間を、二郎さんと過ごしたかったのね」と、菜穂子の思いを汲んで伝えた。
終戦を迎え、二郎は何度となく見たカプローニとの夢をみていた。自分で手がけた零戦の残骸の山の中で、二郎は亡くなった妻・菜穂子の姿をみる。そして消えた彼女のことを想いながらも、「残された私は、生きねば」と思うのだった。
✴︎感想
昭和の男、かっこいい。
今の時代にはあんな好青年いないよなぁ...
牛がいます
全体的には登場人物の心模様が綺麗で良かった。ただ、主人公が美しい曲線の飛行機設計に夢中になるのはわかるが、それが戦争に使われている事に関して、なんとも思っていない様子が少し疑問だった。
「牛がいます」でなぜかつぼにはまってしまい、映画館でくすくすしてしまった。
妻は夫をよく理解していたからこそ、闘病の末密かに死んでしまう儚い美しさがありますが、設計以外に無頓着な主人公は、よく言えば素朴という感じだろうか。もう少し感情移入したかった。
宮崎監督引退作だけど薄味に終わった
総合:60点 ( ストーリー:60点|キャスト:60点|演出:60点|ビジュアル:70点|音楽:75点 )
堀越二郎の半生を、飛行機作りの話と恋愛の話を通して描くが、それがどっちつかずに終わっている。元々二つの話を一緒にしているのだから当然といえばそうだが、それでもうまくまとめていれば両方楽しめたと思うのだが、残念ながらそうはなっていない。どちらの話も表面的で中途半端で、宮崎監督の自己満足にすぎない薄味な話がただ流されたという印象を受けた。
堀越二郎の飛行機作りについては、飛行機のこと勉強しています、設計しています、速度が出ていますで終了。こんなことが起きました調で技師の生い立ちを見せるだけの演出は単調で深みが無い。それに部分的に夢の幻想の話で描かれても、悪い意味で浮き足立った軽い話に見えてくる。それと庵野秀明の声は実力不足で質を低下させている。
菜穂子については、どんな人なのかすらも描写されることなく、そのためどこを好きになったのかもよくわからないままに結婚してしまって、登場人物像が全般に弱い。出会いに至る過程でどう気持ちが動いていったのかが分り辛いし、結核に苦しむ場面が少なくて、やせ衰えていく姿も描写されない。全体として現実は直視されず厳しい部分はあえて描写されない。
これで宮崎駿監督も引退か。昔から監督作品に常に登場してきた空を飛ぶ夢、そんな自分の好きなことを主題にして花道を飾りたかっのかもしれないし、興行収入としては大成功だった。
しかし厳しいことを言わせて貰えば、精魂込めたであろう引退作にしては物足りない。堀越二郎という天才の情熱も業績も彼が打ち破ってきた困難も、当時の日本の低い工業技術で世界最高の戦闘機を設計した凄さもわからなかった。ただの飛行機好きの男が技師として夢見たことや生き方と愛が、まるで夢のように過ぎ去っていったというだけ。昔から堀越二郎の話についてはいくつか本を読んでいたので、余計に実際の人物像と業績への差異もあった。監督の全盛期と個人的に思っている80年代とその前後の作品が持っていた深みや心を揺さぶるものがなかったし、期待していたものではなかった。
私はこの作品に満足はしなかった。この作品だけでなく、90年代後半からの宮崎監督の作品は必ずしも素晴らしいとは思えなかった。近年は新作が出るたびに大いに期待をしたが、いつもその期待に合う作品に出会うことはなかったし、もう期待しても駄目なのかなとも思っていた。それでもかつていくつかの素晴らしい作品を残してくれた宮崎監督は偉大であったという評価は変わらない。彼は引退するが、かつてはたくさんの感動や興奮や爽快感や躍動感を与えてくれたし、それでいい。
ほんたうに、ほんたうに美しいものだけを。
宮崎駿、五年目の(最後の?)作品。
この映画を見たときに、僕は涙が止まらなかった。
それほどまでに、この映画を美しいと感じた。
いや、正しくは
(醜いほどのエゴで)
「美しさ」が表現されている映画だと感じたからだ。
この美しさとは、宮崎駿の美学のことである。
彼の思う美しい世界、美しい映画とはこのような姿をしていたのだ。
だから、この映画は極端に賛否両論になるであろうことは火を見るよりも明らかだ。
要するに、彼の美意識を美しいと思うか。美しくないと思うか。
コレばかりは、宮崎駿という人が(という人の創作する世界観が)好きかキライかだから
仕方がないと思う。
黒川の無念、菜穂子との恥ずかしいまでのラブシーン、煙草のニオイ、日本人の業。
ほんの50年ほど昔まで行われていた、無知で愚かな治療法。
菜穂子の気持ちを考えれば、張り裂けそうな想いが伝わってくる。
そしてあの、もっとも美しい嫁入りのシーンで、
宮崎駿は自分の絵を捨てた。
あのシーンの菜穂子の顔は、彼の筆ではない。
最近の流行りの、どちらかと言えば、貞本義行のようなラインなのだ。
それを宮崎駿がOKしたこと。
そして、それを「最も美しくないといけない」「自身の最後の作品の」あのシーンに採用したこと。
そのくせその様式、たとえば古い手作りガラスの表現などにはこだわる美意識。
二郎のガラス越しの世界には、美しいものしか映らない。
そして、彼が美しくないと感じたものは、この映画からどんどん消えてゆく。
母も、女中も、菜穂子も、魔の山の思ひ出も、美しいものを作り出さなくなった友人も、戦争も、
二郎の目には入らなくなってゆく。
忘れてしまうのだ。
つまり、戦争も、菜穂子も、美しくないものであるがえに、描かれない。消えてゆく。
そして彼が見た最後の夢は、「紅の豚」で皆が旅立っていった、
あの戦闘機乗りたちのあの世ではなかったか。
そこでは、なんと残酷なことか、美しかった頃の菜穂子が待っている。
しかしそれもまた、「彼の見たかった」美しい夢でしかない。
これほど美しく、残酷な映画はないだろう。
理解できるものを選ぶ映画である。
まさに、ワインを飲みながら、愉しむ映画であろう。
ワインの飲めないお子様、煙草の味のわからぬ無粋なものは、この映画に「描かれる」資格がないのだろう。
残念だが、アキラメたまえ。
(2017年追記)
宮崎駿はこの映画を、名探偵ホームズのような
犬のキャラクターを用いて製作することも可能だったと思う。
その方がこの映画の神髄を欺き、キャッチーでポップな映画として
動員数を伸ばすと共に、その表向きの表面とは裏腹の
残酷なテーマを表現するに都合が良かったような気がする。
ただ・・あざとすぎるその手法はさすがに
御大の脳裏をよぎったとしても、実現には至らなかったと思うが。
鈴木Pが、また高畑勲が、このプランを聞いたらどう思うだろうか。。
PS
某棒読みの声優に非難が集まっているようですが(笑
棒読みの声優によって、試されているのは
観客、貴方がたの想像力なのですよ?
棒読みだから棒読みにしか聞こえない、では、芸術を鑑賞する値打ちがない。
その棒読みをどう、頭のなかで変換し、素晴らしい作品を完成させるか・・それが芸術だと思いますが。
如何でしょうか。
賛否両論あると思いますが。その解答が無限にあること、、それこそが芸術だと思いますが。如何でしょうか。
大人のアニメ
音楽や映像の美しさはスタジオジプリならではです。
ただ、ストーリーは小さな子どもにとって難しいとの印象を受けます。
主人公の夢の世界が何度も登場したり、時系列がなかなか理解しづらいのです。
例えば、主人公が結婚する女性と再会する場面。
何故ホテルに宿泊しているんだろうという疑問がぬぐえません。
時系列がはっきりしないので、突然ホテルの場面が登場します。
会話によってストーリーは展開されるのですが、会話がないのです。
会話が少なすぎるのかもしれません。
作品としてクオリティーは高いですが、大人が見るアニメという印象を受けます。
関東大震災、第二次世界大戦等歴史を知らなければ理解しづらい作品です。
美しい映像と人物表現
アニメーションは、本当に素晴らしいと思った。
まるで生きているかのような躍動感を、エンジンや飛行機にもたせている。
美しい飛行機を作りたいという二郎の想いが、映像にも反映されているのだ。
色彩も驚くべき美しさで、特に空・雲・水・緑などの自然の色彩は、何色の色で描かれているのだろうかと考える程、多彩だ。
関東大震災の描写や、その時代時代の町並みの再現も注目するポイントだ。
この映画の大きなテーマは風だ。
二郎と菜穂子の出会いも、風で飛ばされた二郎の帽子を菜穂子が捕まえることがきっかけだ。
再会の時も、風によって飛ばされた菜穂子のパラソルを、二郎が偶然掴み取る。
二郎が生涯愛する人と結ばれるのは、
開発した飛行機が空中分解したことで心を病み、人生で最も暗い時期だった。
ジョブズもそうだったように、この愛する人と結ばれる時期は、ある真理かもしれない。
二郎は淡々と物事をこなす人物に描かれてきたため、
菜穂子が血を吐いたと聞いたときの動揺は、非常に映えた。
そして、何もかを捨てて菜穂子の元へ向かい、途中で涙するシーン、
こんな強い想いだったのかと驚き、そして感動した。
映画を観終わった後、心に残るのは、「創造的人生の持ち時間は10年だ。君の10年を力を尽くして生きなさい」というメッセージだ。
これは宮崎駿監督から私たちへのメッセージであり、この意味を私もまだ深く考えている。
お前、骨を観るために、鯖を食っているのか
映画「風立ちぬ」(宮崎駿監督)から。
「僕は、美しい飛行機を作りたいと思っています」と言い、
ただ頑丈なだけの飛行機ではなく、風をうまく捉えて飛ぶ、
紙飛行機のような「飛び方が美しい」ものを求めていた。
その根底にあるのは、たぶん「曲線」。
それは、主人公・堀越二郎が、同期の本庄と食事をする場面、
突然、鯖の骨を嬉しそうに眺め、箸でつまみながら、
「美しいだろ、素晴らしい曲線だと思わないか」と話す。
そんな彼を見て、呆れながら友が呟く台詞。
「お前、骨を観るために、鯖を食っているのか」
思わず、なるほど・・とメモをした。
「設計で大切なのは、センスだ。
センスは時代を先駆ける、技術はその後についてくるんだ」
という夢の中のカプローン伯爵のフレーズが蘇ってきた。
書籍・映画「永遠のゼロ」でメモして気になっていた、
この飛行機に長時間搭乗するパイロットのことなどは、
考えていないことがわかった。
ただただ、美しい飛行機を作りたかったんだ、と。
「設計家は、夢に形を与えるのだ」という発想には、
何に利用される、という視点がないことも・・。
「鯖の骨の曲線」と「ゼロ戦の曲線」、
私の中で、なんとなく繋がったから不思議な感覚が残った。
P.S.
アニメだけど、気になった掛け軸「天上大風」を発見。
江戸時代の禅僧良寛さんの言葉とされている。
「大きな風に乗って空に舞い上がれ」という意味だろうか。
庵野の声よりも
「崖の上のぽにょ」以来の宮崎駿作品で
自分の中のハードルが下がっていたのか思いのほか楽しめました。
ゼロ戦設計者の堀越二郎氏をモデルとした作品だと思っていましたが、
後に、同時代の文学者・堀辰雄氏の半生をあわせてストーリーが作られていることを知りがっかりしましたが、映画館を出た後も心に残るそんな映画です。
賛否両論ある主人公(庵野秀明)の声ですが、私は菜穂子(瀧本美織)のわざとらしさの方が気になりました。
子供は見てもわからないよ
公開前から色々と話題で(4分予告とか庵野秀明声優起用とか) 試写レビューも賛否両論だったよう。
そんな情報はなるべく見ないようにして臨んだ本作。
原作が別にあるが、 これは監督宮崎駿が自分自身の事を描いた自伝的性格を持った映画と感じた。
戦争は反対だが飛行機や戦闘シーンを描くのが何より好き、そんな監督自身に重ねあわしたような主人公の行動原理。
理系で興味ないことにはきわめて淡白だが、好きな事には徹底してこだわり突き進む。
地震のシーンなどの激しさや空を飛ぶ疾走感は相変わらず凄いが、淡々としたシーンの味わい深さが良い。
働く男たちが実にうまそうに煙草を吸う。
悲劇になってしまうことを予感しながらも一直線な愛情とけなげさが胸を打った。
庵野秀明の声はあれで正解、あの下手さが必要だったのだと思う。
ほー
過去のジブリ作品はほとんど観たことないのですが、観てみました。
地震のシーンではあまりの迫力でとっさにもののけ姫を思い出しました。
タバコのシーンは喫煙者が観るとかなり吸いたくなっちゃいます。
大切な人の分まで「生きねば」と、とらえました
とても楽しめた。
どうして低い評価がついているのか。全く理解できないが、それ以前に理解されていない、又は理解しようとしていないのではないかと思うとどうにも悲しい。
この作品は宮崎氏を投影した作品である。主人公堀越はどこまでも宮崎氏の意識の中で夢を見ていた存在である。夢の中の宮崎氏といってもいいのかもしれない。現実はここまで夢に忠実に生きる事は出来ない。他に色んな制約がかかり、時には夢を捨てる事もしなければならない。けれど、堀越はそうならない。挫折し、壁にぶつかりながらも、最後には夢を叶えてしまう。
たとえそれが大きな犠牲の上に成り立っていたとしても。気付かず、気にせず、堀越は夢の中で、満足げに歩いていく。生きていくのだ。
そんな事はこれまで数々の名作を生み出してきた宮崎監督にもできはしないだろう。戦況が悪化した事を告げる新聞にくるまれた部品をただ手にとって、それには意も介さず、再び設計へと戻る。それは普通の人には決して出来ない事、そして宮崎監督自身も出来ないと認めてしまった。出来なかったし、これからもしないだろうと思ってしまう。だから、堀越氏に託したのではないかと思う。自分の意識の中で渦巻いていた。こうしたい、ああしたい、といった理想の姿。そういった意味で、堀越氏は宮崎氏自身だと言えるのではないか。
ただ、それには語弊が伴う。前述の通り、宮崎氏の過去だとか、青春だとかそういったものを投影しているわけではないのだ。あくまで夢の中の存在。自身の意識の中だけの存在なのである。
単純に、風が吹いているのだから、生きると。素直に愚直に不器用に夢を追い続けてきていたら、私はこんな姿になっていたのか。理想をただ追いかけた姿は、こんなにも美しく、脆く、哀しいのか。
監督の涙とは、こういった意味だったのではないかと私は考えている。
大人のための
小学4年生の娘と鑑賞してきました。
娘は、よくわからない映画だったと言っていました。夢と現実が行き来する後半は、意味がわからなかったみたいです。当時の病気の知識もなく、戦争がどういったものだったのかもまだ勉強しておらず、飛行機は産まれたときから当たり前に飛んでいるので、当時の人たちの思いを考えて観るには小学生では難しかったのかと思います。
私は、良かったと思います。映像も綺麗だし、やっぱりジブリはすごいなぁーと。
感動させられたり、飛行機が飛ぶシーンは興奮します。
ただ、魔女の宅急便のように劇中にひこうき雲が流れると思っていたので、エンドロールで流れたことが少しショックでした。せっかく松任谷由実さんの曲が使われるなら劇中で流して欲しかったです。
でも、エンドロールでひこうき雲が流れたとき泣きました。
映画より先に作ったとは思えないほど、この映画のための曲ですね。
何故ここまで評価が低いのか・・・
何故ここまで評価が低いのかが、わからない・・・。
私もこの映画の主人公は、「宮崎駿監督」そのままなんだと思う。
空に憧れて(「アニメに魅せられて」)、
言葉も人の愛し方も不器用で(結核にタバコとか)、
それが戦争の為の、殺戮兵器であっても、
夢を追いかけ続けた、男の話。
この映画のキャッチコピー「生きねば」
多分、本当は「生きろ」と伝えたかったのでは?
でも「生きろ」はもののけで使ったので、使えない。
「生きねば」と考える人は主人公、この主人公は
実は、宮崎駿であって、宮崎駿ではない。
「夢を追いかける主人公」は、私たち自身なのではないのかなぁっと。
自分や他人まで犠牲に出来る、がむしゃらになれる夢が、
私にはない。
宮崎さんは、私たちすべての人に
「生きるとは、夢を追いかける事」っと伝えたかったんではないかな。
変な表現で悪いけど・・・
私は、劇中で亡くなる菜穂子もまた、宮崎駿監督なんだと思った。
「夢を追いかける主人公(私たち自身)に「生きて」と
「夢を追いかけ続けろ」と
言いたかったんじゃないかと、思っている。
私はこの映画を見て、夢の持てない自分を恥に思い、
自分の夢を考え始めている・・・。
あ
作品じたいはドキュメンタリーぽく、大まかな内容も目新しさもなく、類似した話も多数あると思いますが、庵野さんのあまり上手とはいいがたい声優ぷりが、賛否ありますが私的にはあの感情が表にみえずらく、無機質なたんたんとした口調が、情熱的で求愛的な部分とのギャップもありとても良かったかなと。
壮絶な潔さ
レイトショーで観賞後、台風接近で大雨だったためか、壮絶な映画として記憶に残ってしまったようだ。
劇中、主人公は一切と言っていいほど迷っていない。
唯一迷っていたのは避暑地でのシーン。そこで再開したヒロインにより、また迷わなくなる。
鈴虫寺のお坊さんが言うには、「現代人にない凛とした佇まい」だそうだ。
なるほど、お坊さんは表現が素晴らしい。
ヒロインもまた、迷わない。
自分の生を見つめ、できることを凛として受け止め、行動に移す。
成せばなる成さねばならぬ、何事も。
何かを成すために必要なものは、なによりもその決意だと思う。戦争というものが一時的かもしれないが、人を堕落からすくい出し、美しい実直さを与えたのかもしれない。
僕らは戦争を知らない。わかっちゃいない。
そんな僕らに宮崎監督というおじいさんは、時に腹をくくった彼の時代の人々の生きざまを伝えようとしたのではなかろうか、と僕はそう感じた。
タバコがどうだとかそんなことしか感じられなかった人は本当にもったいないと思う。
風立ちぬ
主人公の声優が残念で仕方ありません。堀越二郎の人柄を表現するために、プロよりむしろ素人のほうがイメージに近いと考えたのだろう想像しますが、プロに演出してボクトツさを求めるべきだと思いました。また、飛行機の美しさ、特に最高傑作のゼロ戦の美しさが表現されていません。アニメの表現力を駆使して、大空を自由自在に滑空するゼロ戦を見せてくれるものと思っていました。背景などリアルで美しく描かれていただけに残念です。戦後民主主義世代の宮崎さんにとって、この時代の物語を描く限界でしょうか。
ただ、一緒に見た友人は高評価でした。
音楽が良かった
宮崎監督は脚本を先に完成させないまま、映画を作り始めると聞いていましたが、まさにそんな感じでした。
沈頭鋲という単語を初めて聞いたので家に帰って調べるまでどんな物なのか分かりませんでした。
人の声で効果音をつけているというのが凄いです。よく聞けば確かに人の声だと分かるところもありましたが、汽笛の音はリアルで人の声とは思えませんでした。
予告で使われているシーンが1番良かったです。
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