「こんなのジブリじゃないと泣き喚く前に・・」風立ちぬ michi-momoさんの映画レビュー(感想・評価)
こんなのジブリじゃないと泣き喚く前に・・
5年ぶりの宮崎駿監督その人が手がけたジブリ新作!!ユーミンの名曲「ひこうき雲」の調べに乗って、手練れの電通ディレクターが手がけた予告編、日テレのいつもの宣伝にまんまと煽られ、いやがうえにも高まる我ら一般大衆の期待感!しかしそれが大きいほどに、裏切られたと思った瞬間の不快感や失望は深刻なイラ立ちへと変わり、ネット上では駄作だなんだと、こんなの私たちの好きなジブリじゃない!とそれこそ駄レビューと雑言が飛び交う。
そもそもジブリモノじゃなきゃ「風立ちぬ」なんて、どうやら名作らしいけど自分なんて5ページも読まないうちに寝ちゃいそうな、地味っぽい純文学の原作ベース、零戦と堀越二郎でもくっつけてなきゃマニアックな文学ファンしか観ないよな〜・・という自分で自分の知性を否定しといて、その後に気づいて憮然としてしまうような笑えない疑問もありますが、
ともかく、人の欲望はキリがないので、カネ払って来たんだからもっと楽しませろ!もっと感動を寄こせ!ジブリ作品だったら当たり前だろそれくらいは、とね。 それはもうジブリの提供してきたエンターテイメントにすっかり狎れちゃってるんですね。そしたらね、何か親しんだ味と違うじゃないかと。これは(ジ)ブリじゃなくてタダのハマチじゃないかと(おいおい( ̄◇ ̄;)!)
或る意味で今の世の中、それこそ人の心は、まさに大人としての均衡が崩れまくってますから、こんなにも知的に文学的に、生きるという事のテーマ出ししてこられても、おいそれと心には染みないし、理解できない自分の今に気づくことも出来ないのかなと。気づかないままにもっと手軽にそう言う事の周辺にある感動や幸福感だけを味わいたい、と。あぁそれは自分も含めてなんですが、もしかしてなんて不幸な事なんでしょう。
他のレビュアーの方も書いていたけど、5年後10年後の今よりは(多分)成長しているだろう自分の感性で、またこの途轍もないアニメ作品に向き合えるよう、今これからを一生懸命「生きねば」と、そんな感慨を抱きながら映画館を後にしたのでした。