「真の助け合いを。」神様のカルテ2 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
真の助け合いを。
シリーズ二作目。
原作は相変わらず読んでいないが、一作目を観ているので
すんなりと主人公夫婦の世界に入ることはできた。
好き嫌いの分かれそうな描き方ではあるけど、地域医療が
抱える問題というより、今回は共働き夫婦全体が抱える問題
になっているな、と感じた。
子供が生まれれば、生活が今までのようにはいかなくなる。
子供って、絶対今日は困るんだ!という時に限って熱を出す。
仕事仕事で隙のないスケジュールを生きる夫婦には、
どちらかが仕事を削って面倒をみなければならない時がある。
今作で登場する一止の同期・進藤の言葉に、それを思い出した。
進藤の妻は小児科医で忙しく働いている。たった一日の休みを
とったその日に亡くなった子供の遺族から不在を責め立てられ、
精神的に参ってしまい、以来子育てを夫に押し付けている状態。
業を煮やした進藤が子連れで一止の働く病院に赴任してきたの
だが、保育園の迎えや世話で、担当医本来の業務に没頭できない
状態が続く。そこで進藤の投げた疑問が「夫婦って、何なんだ?」
それに対する応えを出すのが一止の妻・榛名と恩師の貫田夫妻。
どちらも忙しく働く夫の傍で、妻が黙々と支えているのだが、
もちろん寂しくない訳ではないし、何の不満がない訳ではない。
お互いに夫の仕事が何であるかを理解し、応援し、協力するのみ。
逢える時に逢い、話し合い、支え合い、赦しあっているという
いわば夫婦の理想形。こんな奥さんだったら夫は嬉しいだろうね。
進藤家はその逆パターンになるのだが、もし子供が生まれたなら
当然そういう時期がくることを初めに予期していたはずである。
医師は患者が第一なのは致し方ないが、医師にだって家族はいる。
その協力をチーム全体で補ってあげるべきじゃないかと私は思う。
何でも一人で抱え込むと(特に子育てには)ろくなことがない。
最近は大型マンション内や企業内に保育施設が設けられている。
病院内にも働く医師のための保育施設が作られるべきだと思った。
そもそもこういった重労働で睡眠時間すら僅かだという医師達を
診てもらう患者側も、もっと知らなければいけないと思った。
彼らが倒れてしまったら、私達の救急要請に誰が応えてくれるの。
健康第一を謳う医師が、不健康第一では困る。
難しい問題ではあるけれど(どの企業・団体に於いても)せめてもの
改善を促す一項目にはならないものだろうかと、今作を観て思った。
タバコをやめましょう、身体によくない。といいながら、
ああやってタバコをふかす医師を見て、いかにストレス重篤かを
考えさせられてしまった。
(仕事も子育ても身体が資本。神様のカルテを遺すより長生きしてね)