春を背負ってのレビュー・感想・評価
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普遍的
山へ行こう!
年取ってから登ると遭難の危険が・・・
山の景色が美しい
失笑の連続が怒りに変わった
昔の国策映画でもこれほど露骨な価値観の押し付けはしないだろう。それも稚拙な手法で。
人の心の機微なんぞは「喜怒哀楽」の4パターンのみ。
当然役作りも浅いから役者が間を持て余し棒立ち棒読み。ああ…。
これでもかと説明的なカット割。ハイここは楽しい場面だから楽しい音楽、悲しいからマイナー調、美しい山並みはホルンで、ってお前どんだけお子様向けに作ってるんだよこの映画!
私は一秒たりとも失笑を止めることができず30分で耐えきれず停止ボタンを押しました。
いったいどうしてこれほどセンスのかけらもない、むしろ最も映画作りに向いていない単細胞な監督が巨額を投じて映画を作ることができるんだろう。日本映画界の七不思議だ。
山で癒される
こういうしっかりしてるの映画は久々。
映画が始まった時の桜の映像や押入曲の「なごり雪」で何と無く監督はもう五十代の方じゃないかと、かなり気になった。
今主流の派手というか、賑やかのやり方と違い、編集や撮影は落ち着いてる感じで仕上げて、見る時なんだかの渋さを感じられた。調べると、やはり撮影監督から映画監督へ活躍してる木村大作さんは、今年、なんと、もう75歳の高齢。日本以外の国で珍しいみたいですが、日本ではおかしくないかもしれん。
文春で発表した「読めば山を登りたくなる」という山岳小説の映画化ですが、映画を見る時山の美しさが目立ってくて、ストーリーなどという脚本の要素はなんかちっぽけな存在になってしまった。いや、そもそも自然の前に人間はちっぽけな存在だからね。さすが撮影技師をやってきた木村監督、人を感動させように四季の山々をうまく撮りました。この映画を一言で言うなら、山の朝日が希望をくれるように自然の力で解放されるっていうことなんでしょうかね。
売れなくても構わない、渋くても構わない、精神的な価値がある映画を制作する日本映画業を尊敬してます。
癒される一品としてオススメします、今まで沢山を背負ってきたあたなに。
景色等は確かに素晴らしかった
牙が抜けた木村大作
名カメラマン・木村大作による「剣岳 点の記」に続く監督2作目。
「剣岳〜」が非常に良かったので、今回も期待していた。
厳格な父に反発し東京で金融会社に勤める亨は、父の急死を知らされ帰省する。父が営んでいた山小屋を訪れ、父の仕事を継ぐ決意を固める…。
冒頭の金融会社勤務時のエピソードは驚くほどつまらない。主人公同様、心ここにあらず。
帰省してからが見所。
まず、立山連峰の美しく雄大な映像の数々。
これだけでも劇場で観たかった。
あの鶴の群れがエベレストを越えようとするシーンなんて本当にCGじゃないよね!?
木村大作のこだわりの映像美が堪能出来る。
馴れない山小屋の仕事に悪戦苦闘の日々。
そんな亨を支えるのは、愛やゴロさんら父と親しい人々。
大自然に抱かれた人と人の交流を温かく描く。
結果的に言えば悪くはない映画ではある。
こういうハートフルな作品は好きだし、松山ケンイチ、蒼井優、豊川悦司、小林薫、檀ふみら挙げたらキリがないほど多彩な顔触れの実力派俳優たちによるアンサンブルも注目。山崎まさよしの主題歌も余韻が残る。
だけど…
腑に落ちない点やパンチが足りないのもまた事実。
多くの方が指摘しているように、亨がエリートの道を捨ててまで父の仕事を継ぐに至った心情の描かれ方が浅いのだ。
山小屋を訪れ、父の山と山小屋に対する思いを知り心動かされ…というのは分かるのだが、あっさり過ぎる。それをこれまたあっさり承諾する会社の上司も…。
それから、あんな標高の高い所で携帯って使えるのかな…? トランシーバーならまだしも…。
そして一番違和感を感じたのは、これが木村大作の作風か?
映像的には間違いはない。
しかし、全体的に単調で大人し過ぎる。
例えば、「八甲田山」のような映像から伝わる凄み、「剣岳〜」のような苦行と言われた信念…それら野心的なインパクトは何処に行ったのか。
まるで山田洋次が山を舞台にした映画を撮ったような、さらに言えば「北の国から」を見ているようだ。良くも悪くも、古臭い単調な作風と演出が拍車をかけてしまっている。
何度も言うが、悪くはない。悪くはないが…
木村大作監督3作目は、圧倒されるような野心作を見たい。
いい人ばっかり。
雪山での撮影にこだわる木村大作監督作品である。
「八甲田山」(森谷司郎監督)や「復活の日」(深作欣二監督)のようなヒリヒリするようなパニックは起こらない。
高い山の上で山小屋を営んでいた父親が事故で亡くなった。息子の亨(松山ケンイチ)はトレーダーの仕事を辞めて山小屋を継ぐことにする。
確かにロケの効果は絶大である。雪の中を歩いているシーンをロングショットでとらえるところなどは観ていてすごいとは思う。
だがドラマとしては、まったく機能していないといってもいい。
葛藤がない。山小屋を継いで、愛ちゃん(蒼井優)や悟郎さん(豊川悦司)の協力もあってかなり順調にことは進む。
天候が荒れているのに引きとめられなかった大飯くん(池松壮亮)がケカをしても、すぐに立ち直る。
いい人しか出てこない映画は、観ていて気持ちはいいが、感動は小さい。
笹本稜平の原作はどうなっているのだろうか。
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