春を背負ってのレビュー・感想・評価
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丁寧に生きる
待ち遠しかった桜の花が咲き始めた卯月の始まり。心の内にも春を呼び込んであげよう…❀そんな気持ちからこちらの作品を手に取りました。
立山は小学生の頃、家族で夏に旅行した場所。登山は無理でしたが、雄大な自然の景色に圧倒され、8月に冷んやり体が縮む体験は貴重だったと記憶に残りました。
タイトルになっている「背負って」は主人公が様々なものを受容して
成長していくところから付けられた様に感じました。
親のあとを継ぐというのは最初からそうであるものとして育った環境と、いきなり異世界から飛び込むのとでは雲泥の差があります。
彼の場合、良き師匠、良き仲間、それから凛として自分の役目を背負って生きる母の存在、そして何より亡き父の在りし日の勇姿であったり、人を大事に想う心根に触れてきたからこその決断だったのでしょう。
映画の中では その辺りの説得力が足りないように描かれていますが、連続ドラマのようにはいきませんね。
立山連峰の悠々とした大自然はやはり良かったです。
台詞等やや一昔前の作風ぽさが頭をかすめましたが、松山ケンイチさんと蒼井優さん そして、豪華な脇役の実力俳優さん方の持ち味を生かした正統派ストーリーには満足です。個人的には檀ふみさんの母親の楚々とした姿に憧憬を抱きました。
見終えてみれば 清涼剤のような今作は 日々混沌の中で頑張ってる人の肩の荷もひととき、背負ってくれたのではないかしらと 思いました(笑)
心の空気をほんの少し入れ替えたい方、おすすめできる一本です❀
牙が抜けた木村大作
名カメラマン・木村大作による「剣岳 点の記」に続く監督2作目。
「剣岳〜」が非常に良かったので、今回も期待していた。
厳格な父に反発し東京で金融会社に勤める亨は、父の急死を知らされ帰省する。父が営んでいた山小屋を訪れ、父の仕事を継ぐ決意を固める…。
冒頭の金融会社勤務時のエピソードは驚くほどつまらない。主人公同様、心ここにあらず。
帰省してからが見所。
まず、立山連峰の美しく雄大な映像の数々。
これだけでも劇場で観たかった。
あの鶴の群れがエベレストを越えようとするシーンなんて本当にCGじゃないよね!?
木村大作のこだわりの映像美が堪能出来る。
馴れない山小屋の仕事に悪戦苦闘の日々。
そんな亨を支えるのは、愛やゴロさんら父と親しい人々。
大自然に抱かれた人と人の交流を温かく描く。
結果的に言えば悪くはない映画ではある。
こういうハートフルな作品は好きだし、松山ケンイチ、蒼井優、豊川悦司、小林薫、檀ふみら挙げたらキリがないほど多彩な顔触れの実力派俳優たちによるアンサンブルも注目。山崎まさよしの主題歌も余韻が残る。
だけど…
腑に落ちない点やパンチが足りないのもまた事実。
多くの方が指摘しているように、亨がエリートの道を捨ててまで父の仕事を継ぐに至った心情の描かれ方が浅いのだ。
山小屋を訪れ、父の山と山小屋に対する思いを知り心動かされ…というのは分かるのだが、あっさり過ぎる。それをこれまたあっさり承諾する会社の上司も…。
それから、あんな標高の高い所で携帯って使えるのかな…? トランシーバーならまだしも…。
そして一番違和感を感じたのは、これが木村大作の作風か?
映像的には間違いはない。
しかし、全体的に単調で大人し過ぎる。
例えば、「八甲田山」のような映像から伝わる凄み、「剣岳〜」のような苦行と言われた信念…それら野心的なインパクトは何処に行ったのか。
まるで山田洋次が山を舞台にした映画を撮ったような、さらに言えば「北の国から」を見ているようだ。良くも悪くも、古臭い単調な作風と演出が拍車をかけてしまっている。
何度も言うが、悪くはない。悪くはないが…
木村大作監督3作目は、圧倒されるような野心作を見たい。
原作
撮影や時間の都合もあるだろうが、色々なところがちょっとずつ原作と違っていた。小説だと章ごとにストーリーが繋がっていなくとも気にならないが、映画だと違和感がある。とくに女の子の遭難はもっと主人公の成長を強調して示してほしい。それと椅子職人のくだりはなくてもよいので、もっと山の話しを増やしてほしいと感じた。
松山ケンイチの演技がいまいち。素朴な青年の役は合わないと思った。昭和テイスト強すぎ。。
舞台は山脈。ドラマは平地。
御年75歳のカメラマン、木村大作の監督作品2作目。
父の意志を継いで山小屋を営むことを決めた青年、
そして同じく山に魅せられた人々の1年間を描くドラマ。
ネタバレというか、
初めに言っておきますと、酷評レビューです。
本作を気に入っているという方は
「生意気書きやがってからに」くらいの
感じでテキトーに読み飛ばしてください。
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まずもって木村大作の撮影作品をそんなに観ていない
自分は(『八甲田山』『劔岳 点の記』『北のカナリア
たち』くらい)、この方に思い入れがある訳でもない。
というか、ニガテな方だと思う。
『劔岳~』は劇場で観たが、イマイチだった印象。
自然風景は確かに綺麗なのだけど、セット撮影と
思しい室内でのシーンは音響に違和感を覚えた上、
同じ人間が撮ったと思えないほど安っぽく見えたし、
何よりも書き割りみたいに平板なセリフやドラマに
白けてしまった記憶がある。
そういう向きからすると本作も、『劔岳~』から
あまり大きく変わった印象は無かった。
前述のセット撮影に関する点は気にならなかったものの、
印象付けたいのであろうセリフのしつこさや
役者の熱演が空回りする薄っぺらいドラマのために
淡々とした気持ちでの鑑賞に終始した。
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山小屋経営に関して素人の主人公が、
苦難を乗り越え、雄大な山の魅力に気付き、
自然の中で生きることに喜びを見出だす――
この映画は美しく移り行く四季の風景を通して
そんなドラマを描きたかったんだろう。
だが、大した苦悩も感じられずサクサク成長する主人公
や周囲の人々を応援したいという気持ちにならないし、
いくら風景が美しく見事に撮影されていても、
現実味を感じさせない平板なセリフや
(断っておくが作劇的なセリフの
言い回しや演技は問題視していない)
突拍子もない演出が画面から飛び出す度、
映画への没入感はもとより、登場人物達への
感情移入の念も断ち切られてしまう。
ラスト近く、「きっと帰ってくる」と話してる最中に
トヨエツが鼻歌混じりに戻ってきたシーンには
耳と目を疑ったし、その後の“ぐるぐる”シーン
には、はっきり言って失笑した。
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75歳にして監督2作目を作り上げた監督の
チャレンジ精神には敬意の念を覚えるし、
監督業の難しさを大して知らない人間のくせに
随分酷なことを書いていると自分でも思う。
何より、過酷な撮影に耐えて本作を作り上げた
スタッフ一同に対しては本当に申し訳ない。
だが、やっぱりこの映画は好きになれない。
むしろ、というよりも、だからこそ、「スタッフの
努力をムダにするような仕上げ方するなよ」
と言いたくなる。
雰囲気が古臭いかどうかは欠点とは思わない。
古臭かろうがピカピカの新作だろうが、優れた映画は
どんな時代の人の心も揺り動かす何かを有していると思う。
僕の場合は、この映画にはそれが殆ど感じられなかった。
山岳での撮影に尽力したスタッフを
労う意味を込めて、判定0.5プラス。
〈2014.06.24鑑賞〉
いい人ばっかり。
雪山での撮影にこだわる木村大作監督作品である。
「八甲田山」(森谷司郎監督)や「復活の日」(深作欣二監督)のようなヒリヒリするようなパニックは起こらない。
高い山の上で山小屋を営んでいた父親が事故で亡くなった。息子の亨(松山ケンイチ)はトレーダーの仕事を辞めて山小屋を継ぐことにする。
確かにロケの効果は絶大である。雪の中を歩いているシーンをロングショットでとらえるところなどは観ていてすごいとは思う。
だがドラマとしては、まったく機能していないといってもいい。
葛藤がない。山小屋を継いで、愛ちゃん(蒼井優)や悟郎さん(豊川悦司)の協力もあってかなり順調にことは進む。
天候が荒れているのに引きとめられなかった大飯くん(池松壮亮)がケカをしても、すぐに立ち直る。
いい人しか出てこない映画は、観ていて気持ちはいいが、感動は小さい。
笹本稜平の原作はどうなっているのだろうか。
山に登りたくなる
安心して観ていられる映画でした。
景色は綺麗で、雪が降ってなければ山登りも良いなと思いました。
ゴローさんの存在感が大きくて、記憶に残る名台詞が次々出て来るので、この状況で次は何を言ってくれるのか、自分ならどういう言葉を言えるのか、考えていましたが、総じてゴローさんのボキャブラリーには勝てませんでした。
人生経験豊富じゃないと、出てこない台詞だなあと感じました。
演出が古いとかレビューにありますが、この監督はあえてそこを狙って突いているように思えました。
じゃないと、最後のグルグル回るのなんて、今じゃコントでしか見ないような演出ですからね。
突っ込んだら負けのような。
自分の居場所の作り方。昭和の空気が漂う人間ドラマ。
【賛否両論チェック】
賛:自然の厳しさの中で、それぞれの居場所を見つけていく登場人物達が清々しい。風景も壮観。
否:全体的に、ちょっと台詞が説教臭い。展開もややご都合主義か。
山小屋という厳しい自然環境にあって、その中でもたくましく生きようとする主人公の、覚悟にも似た強い感情に心打たれます。同時に、自分の居場所をなくしながらも、それでも今自分がいる場所を、自分にとっての本当の居場所にしていこうと一生懸命になる登場人物達の姿に、すごく元気をもらえます。
台詞は結構お説教臭くて、言い回しなんかも古い印象がしてしまうのが、難点といえば難点でしょうか。展開もやや昭和なイメージがしてしまうのがたまに傷です。
どちらかといえば、かなり大人の方向けの人間ドラマです。
清々しい気持ちになる映画です
観て清々しくなる映画でした。
はじめ、他の方が書かれるとおり、ボケた映像や古臭さ、演技も軽く感じてしまい、どうかと思いました。
しかしこれは監督の思いを伝える為の演出なのかな?と思いました。
あまり細かな事に気にならなくなります。
ずっと記憶に残る素晴らしい映画です。
一人旅ができる方、自然が好きな方(そういうタイプの方の意)、子供より大人向けと思います。
実はキャスト陣もあまり好きでありませんでしたがレビューを読んで観てみようと思いました。お陰様で印象が変わりました。
素人っぽいカメラ、軽い演技、ぼけた古臭い映像…終わってみれば清々しい素晴らしい映画…監督さんの狙い通りかもしれませんね。
見終わって爽やかな気持ち
観てよかったなと思える映画。
山の厳しさ美しさが両方感じられる映画。
山を甘く見ると、人に迷惑がかかるし自分も大変な目にあうと思った。
安易な気持ちでは山登りは出来ないと思いました。
親しみのある不思議で頼りになるゴロさん(豊川悦司)が良かった。
泣きっぱなし
一人で見たんですが、なぜか、泣きっぱなしでした。
人間模様が、ぐっときたんだと思います。
山小屋での3人の関係がよかったです。
昨年、富士山が文化遺産になって、軽装登山が後を絶たない社会問題に対しても、もの申していたのかな。
一段と山が好きになる作品でした。
物分りの良い主人公
松山ケンイチの演技は置いといて、物分りの良い性格がストーリーを単調にしてしまっています。主人公なんだから、もう少しストーリーを引っかき回した方が良いと思いました。原作を重視したのかな?。立山の映像は素晴らしいのですが、それなら秘密の場所からの風景も見せて欲しかった・・いや、それは見せたらダメですね。
古臭さが良かった
監督の暖かさがとても伝わってきました。
古臭い、ダサい、と言う方もいらっしゃいますが、わたしはこの日本映画の良い古臭さを現代で感じることができてとても嬉しいです。
景色の美しさ、豪華すぎるキャストさん素晴らしかったです。
映画館に見に行って良かった。
美しい風景は必見
『春を背負って』を鑑賞。
名カメラマン木村大作の監督2作目となる作品。
山小屋を経営する父親から距離をおき、東京でトレーダーとして働く享(松山ケンイチ)は突然父の訃報を聞き、山小屋を引き継ぐ事を決意。山小屋で働く愛(蒼井優)と、父の友人であるゴロさん(豊川悦司)の3人の奮闘を描く。
まず、この映画の主役は松ケンでもトヨエツでもなく、紛れもなく「山」であろう。
自然が与える素晴らしい景色とそれに反する厳しさ。映画はそれのみで構成されている。それは作品に悪人を一切登場させない事によってより一層強調されている。
さらには映像においても引きでのカットが非常に多いにも関わらず空撮やCGを一切使用しないなど、撮影が困難であった事を想像させる。そしてその迫力は確かに活きており、物語に深みを与える事に成功している。
個人的にはエンディングテーマである山崎まさよしの「心の手紙」が非常に映画にマッチしているのも良かった。四季折々の美しい風景映像にこの曲が流れれば観客は席を立てないのではないだろうか。
とにかく日本の四季を抜群のセンスで実に美しく撮られた今作は是非劇場で体感して頂きたいと思う。
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