「作りたてのお弁当の様な、温もり溢れる映画を思いっきり食べ尽くして欲しいな!」スタンリーのお弁当箱 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
作りたてのお弁当の様な、温もり溢れる映画を思いっきり食べ尽くして欲しいな!
この作品を観に行く時は、是非、空腹でお出かけ下さい!!
映画を観て、最初に心を満たした映画の後は、思いっきり、美味しい物を食べに行きましょう!
この映画は、インド映画では珍しく96分と尺も短いし、そしてダンスも歌も多く出てきません。だから空腹の心配無しに、映画を思いっ切り楽しめますよ!
さてこの作品は、誰にでも、お弁当にまつわる思い出は人それぞれが持っているものですよね。私達観客にも、そんな自分達の子供の頃の、楽しいお弁当の思い出を蘇らせてくれる、幸せで、楽しい映画がやって来た。
私には、お弁当を持って学校へ行った思い出は、遥か遠い昔の出来事ですが、映画の中で早弁をする生徒をみたら、自分もよく、同じ事をしたのを急に思い出しました。インドの子供もみんな同じ事をしているのが、可笑しくて、可愛いやらで、笑いが一杯です。
そして、主人公のスタンリー君と、彼のクラスメートとの堅い友情の物語を観ていると何だか心が洗われる思いが込み上げてきました。
ところで、この広い世の中には、お弁当を持参出来ない子供達も実は、大勢いるのだよね。
悲しいけれど、これも辛い世の中の現実だ。この作品はそんな子供の姿を浮き彫りにしてみせます。
この映画の主人公のスタンリー君も、実はそんな訳有り家庭で暮らしている一人です。
いつも、お弁当を持参出来ないでいた、スタンリー君に、気付いたクラスメートが自分達のお弁当を彼の為に、少しずつシェアーしてくれる優しい場面も本当に微笑ましい。
みんなで食べられるお弁当の味は、本当に最高だよね。
この作品では、インドの現役小学校の子供達の自然な授業風景がみられる事も、とっても楽しい見所の一つでもあります。
この映画を監督されたアモール・グプテ氏は、毎週学校が休みの土曜日を利用して、4時間だけ撮影して、毎週毎週土曜日に学校へ通い続けて、実に1年半の歳月を費やして映画を完成させたと言います。これは、撮影によって子供達の学生としての、学習時間が奪われてしまう事が無いようにとの、配慮から生れた撮影プランだったそうです。
撮影は小型カメラを使用し、実際に現在学校で使用されている教科書で授業の問題を出題し、実際の課外授業の一環として映画は創られていったそうです。それだから、クラスの子供一人一人の表情も活き活きとしていて、明るく、楽しそうでした。
これは、実話では決してありませんが、しかし、この広い世の中には、スタンリー君と同じ境遇の子供達は大勢存在する筈です。そんな境遇に暮すスタンリー君が一人でも減る事を願うばかりです。そして、監督はお弁当を誰か、愛する人の為に日々作り続けている人の苦労を労い、お弁当を創るみんなに感謝の思いを込めてこの映画を制作されたと言います。是非、貴方にもお弁当の思い出が有るならば、この映画を観たら、思い出のお弁当の作り手に感謝の気持ちを伝えてくれたら、また貴方自信の幸せな瞬間を創る事が出来るのではないかな?
お礼の気持ちを伝えるのは、照れていまい、中々伝えられないものだけれども、
是非、この映画の機会を利用して、楽しい時間を過ごして貰えたら、こんなに幸せな事はありませんよね!
最後にこの映画のエンドクレジットで、1200万人の子供達が就労している事実が告げられ、家事就労を含めると5000万人の子供が働いていると言います。
多くの日本の子供達は、お受験で厳しい環境に暮しています。しかし、学校で只勉強にだけ集中して暮せる環境に住む事が実は、世界のレベルの中でみると、どれ程恵まれている事なのか、改めて思い知らされました。
さすがは、マハトマ・ガンジーを産んだインドでは、映画にもスパイスが効いていて、楽しいだけの映画では無く、奥深い作品でした。