凶悪のレビュー・感想・評価
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悪とは何か?
凶悪。タイトル通りの「悪」を描いた映画。
一見解りやすいヤクザの暴力的な悪を描いただけの作品の様に見えて普通に日常の中にあるが見逃している、見ないようにしている悪も散りばめられている作品だった。
リリーフランキー、ピエール瀧演じるヤクザたちの暴力的な悪に始まり、
何気ない一家庭から借金の為に家族を売る悪。
命を軽んじ、利益・ウケを重視する悪。
面子を重んじ、真実を隠蔽しようとする悪。
仕事・使命に捕われ近しい人を苦しめる悪。
そして、最後には見ようによっては未解決事件の真相究明を手伝い、宗教に入り悔い改めようとし、死刑判決を取り下げられた須藤に対して「お前は死刑になるべきだ!」と発言する主人公もまた過剰に人を裁こうとする「悪」となってしまっているラストは考えさせられるものとなっていた。
当初「真実を世間に」という目的で記事を作っていた主人公の目的がいつの間にか「二人を死刑にする事」に変わって行く描写が緻密に描かれていて素晴らしい作品だと思った。
見るタイミングを間違えました。引きずる映画です。
楽しみにしていた映画『聖の青春』・気になっていた映画『怒り』を見に行く前に、軽い気持ちで観てしまいました。
おかげで優しい師匠役のリリー・フランキーにも刑事役のピエール瀧にも違和感が。二人とも『凶悪』での役にしか見えない。
そのくらい引きずる映画です。
実際に起きた殺人事件を映画にした作品で、犯行の手口もゾッとするものなのですが、犯人たちの感覚の方が怖いです。
例えば3つの事件のひとつ・保険金殺人事件。
泣いて助けを求める老人にリリー・フランキーは大はしゃぎで無理やり酒を飲ませるし、意識を失った老人が水風呂につけられている横でピエール瀧は普通にシャワーを使います。
どんな人にも凶悪な一面はあり、一歩間違えたら犯罪者にもなりうる…という内容もありますが、根本的に感覚の違う人間もいるという事実が印象的な作品でした。
山田孝之よりリリーフランキー
ものすごい狂気…
生き埋めシーンはわりとトラウマ…
最後まで目の離せない恐ろしい映画でした。
リリーフランキーの演技はものすごいけど、
ピエール瀧は微妙だった
保険金殺人の闇を暴く
白石和彌監督。
山田孝之
リリー・フランキー
ピエール瀧が、自分の感情と判断によって、次々と他人を葬ってゆく男、須藤を、リアルに演じているように思った。
リアルだと思ったのは、あくまで私の主観である、ああいう人間がいてもおかしくないと直感的に感じた。「センセイ」からは、「お前は頭が悪い」と目の前で言われているヤクザの組長。
そのヤクザを使って保険金殺人を繰り返していたのが「センセイ」。「センセイ」には、まともな家族がいるし、まともな職業にもついている。須藤は、もし「センセイ」が、須藤を裏切ることがなかったら、刑務所からの告発はしなかった。記者を動かして全く隠されていた事件を陽の元に晒すことはなかった。「センセイ」と須藤たちがおこした数々の事件は、スクープ雑誌記者(山田孝之)の頑張りと裏切られた須藤の怒りによって、詳細な記事になり、偽装された殺人は事件となりやがて裁判へと結びつくことになる。
上申書殺人事件という、実在の事件を原作にしたフィクション。フィクションではあるが、現実感緊張感がハンパない。
要所、要所で「凶悪」的な犯行の描写がある。
明るく見えるところは、ふざけながら殺人を犯す「センセイ」たちの犯行の描写くらいである。
みるのは、結構、しんどい。
まさに凶悪。
なんとも言えず、いやぁぁぁな感じで終わっていきました。。
でも、最後のシーン(山田孝之さんとリリー・フランキーさんの場面)は撮り方含め秀逸過ぎて!!!
始まりがあんな感じなので、私からしたら最悪、途中で観ることをやめてしまう可能性があったのですが…
結局最後まで観てしまったのは、役者さんの迫力に尽きるかと思います。
それでも、ちょっとこの後、笑える作品を観たくなってしまう(笑)
リリーフランキーが怖すぎる 悪役なんてイメージがない、いい人そう、...
リリーフランキーが怖すぎる
悪役なんてイメージがない、いい人そう、そんな人が平気で人を殺していくなんて怖い
段々慣れていく、そしてあの笑顔がこれまた怖い
死体焼きながら肉食いたくなってきちゃったな〜とか
あたまおかしい
冷たい熱帯魚好きだったらこれもおすすめします
あとは山田孝之が知らず知らずのうちに引き込まれていって
気がつけば離婚
そして、一番殺したいのは、、、
山田孝之の役をもっと正義感あふれるいい記者にみせといたら最後に活き...
山田孝之の役をもっと正義感あふれるいい記者にみせといたら最後に活きたのになぁと。なんとなく好感もちにくい記者でした。
ピエールさんとリリー・フランキーさんは見事で、もうああいう人としか思えない。
俗っぽく安っぽいから重い凶気
どこぞの渇いた映画とまるで対極にあるように思える映画。
人を殺す意味に安っぽいリアリティがある。舎弟の盲信っぷりもそれに拍車を掛けてくる。さらに金、土地よりも明らかに生の価値を軽んじている。その癖聖書なんて読み出して前向きに生きようとするその厚かましさ。ものすごく命を安く見積もってる。恐ろしい。
他の人も書いているけど、お爺さんの懇願を尻目に殺していく様は
これフィクションだよね?
この人達演技だよね?
と思わずには見れない程酷いものでした。
認知症の母とそれを世話する嫁と暮らしながら仕事に逃げるように没頭する様も見てて辛い。
あっという間に最後まで見終えました。
本当の狂気もとい凶気は卑しくて近い存在であると、この映画は見せてくれました。
人には決していい映画として勧められないけど、素晴らしい映画でした。
忘れられない
随分前に見ました。
そのとき、確か16歳でした。R15をギリギリ超えた、くらいでしたね。感想は見なけりゃ良かった、でした。
ずっと心に残って、忘れられない。怖い、とか胸くそ悪い、とかそういう言葉で表せないわだかまりが残りました。
人におすすめはできないけど、見た人と感想を言い合いたい。そんな映画でした。
リリー・フランキーさん、ピエール瀧さん、どちらも圧巻でしたが、一番私の心に重く残ったのは山田孝之さんでした。絶妙でした。正義感を持つ記者が、だんだんと家庭をも省みず、事件にのめり込んでいく様。見たくない、けれど目を離せない。そんな自分の心理にかぶるものがありました。
見終わった後に、私が感じていたのは何であったのか考えました。何があったのか、知りたいという好奇心。人間の凄惨な部分を見たいという怖いもの見たさ。そして私がそれを楽しいと思ったか。
そう考えていったとき、自分の中に潜む"凶悪"に気づきました。
おじいさんに酒を飲まし続けるシーン。怖かった。けど、私は映画を見るのをやめなかった。そこには何か楽しみがあったのではないか。
それを指摘されたのが、ラストのリリーさんの演技でした。
善良だと思っていた自分の像が崩れました。
須藤、木村と通じる部分を自分は持っている。そのことが、ただ鬱々と私の胸に横たわります。
鑑賞からしばらく経って今、こうして感想を言えますが、おすすめはできません。
けれど、忘れることはできない作品なんでしょうね。
まだ、二度目を見ようとは思えません。
長文、失礼しました。
怖すぎる
会社の夏休み最終日に、嫌な映画見ちゃいました。ショックが大きすぎて、身体が重いです。気持ちも重い。
ありえない凶悪な犯人を、山田孝之が告発したというスッキリしたエンディングにならないところが、怖いです。また、この作品が名作である理由でもあります。
誰しも凶悪な一面を持つ
藤井が最後まで、母親を老人ホームに入れるのをためらっていたのは、
自分の追う事件が、子に見捨てられた老人が殺される事件だったからだ。
しかし、いつの間にか家庭は崩壊に向かっていて、洋子と母親は暴力関係にあると知る。
ここから、一般家庭にも凶悪が生まれうるという訴えが始まる。
最後のシーン、藤井は木村と面会をするが、
『最も自分を殺したがっているのは、お前だ』と、木村に指さされる。
ガラスに映り込んだ自分を見て、藤井は自分の凶悪な一面を発見する。
そして、面会室の向う側から、藤井を見たカットがあるが、
その風景は、今まで藤井側から見ていた風景と一緒で、
犯罪者の世界と、私たちが正常と思っている世界が、交換可能であり、
私たちの世界にも凶悪が潜んでいることを感じさせる。
一方、凶悪犯である須藤純次は、人間らしく描かれている。
慕ってくれた五十嵐を苦しみながら殺す演技、その後やり切れない思いで線香をたく演技は圧巻だ。
先生が思い通り逮捕され、宗教に熱心になると、
今までと対照的に、無機質な人となり、逆に気持ち悪く感じる。
狂気をありのまま表現する人の方が正常ではないか、
そんな疑問が投げつけられた様に感じた。
全体を通して、物語の構成が素晴らしい。最後まで見飽きることのない良作だ。
いろんな意味でスゴイ!
役者もみんな良いし、どんどん事件の真相にはまって行く見せ方や凶悪っぷりが半端がなくこっちも魅せられてしまう。悪人と普通の人の境界線。須藤(ピエールさん)の真っ直ぐ過ぎる性格が憎みきれないとこもあり、人間身を感じさせる。妻(池脇さん)を見て見ぬ振りをしている(山田さん)の態度。ノンフィクションなだけあってとてもリアル。木村(リリーさん)が逮捕されてメデタシの単純なストーリーではなくしたのがまたスゴイ!
主人公が正義のヒーローじゃないのがスゴい!!
スゴくない?実話ベースでこんな主人公像の記者出せるって。
別にこれ主人公が普通にドラマ的な正義のヒーローでも成立するんだよね。最後にピエールに騙されたこと知っても、熱くて臭くて中身のない説教すればいいだけで。
そっちの方が悪と凡人の明快な境界が出来て視聴者は安心する。
鑑賞後の不安感はひとえに山田くんの卑怯っぷり、小心なクズさがあってでてくるんだよね。
ピエールやリリーは確かに凶悪だけど、その凶悪さは境界の向こうの理解できない人格じゃなく、僕たちの卑怯さや弱さやクズさのの延長線上にある人格だよと。
構成が上手い
役者が素晴らしい。ピエールさんリリーさん、山田君。いいね。
脚本の構成が良かったな。山田君がのめりこんでいくためには彼と同じ視点が必要になる。
だから、中盤は彼は出ずに回送ではなく事件の流れをドラマでみせていく。
それによってラストに歪みがうまれている。
この歪みがすべて。
しかし、酒を飲ませ続けるシーンは見てられない。映画でもあんなの見たくはない。嘘でもね。見たくないものもあるな。
鑑賞後の気持ちの引っ張られが凄まじい
実際にあった事件が題材となっていること、あとは出演されてる方の演技が上手であるために、見終わったあとのずーんとした気持ちは凄まじいです。
リリー・フランキーもピエール瀧も普段とは全く違った冷酷な凶悪な方になっていました。
ご老人の役者さんの演技も、年齢と風貌も合間ってすごく胸に来るものがありました。
全く一般市民と思っている人にでも、ご年配の方に対する凶悪な気持ちは芽生える。
メッセージ性もあるので、そのあたりのことを非常に考えさせられました。
高齢者問題を思うと胸が痛くなります。
最初の10分間で、すでに“凶悪”です。
凶悪という文字を映像にしたらこうなるという見本のよう。
しかし、まだまだ凶悪は続きます。
人の、特にお年寄りの命を金としか思っていない先生により、
確実に金になる方法でもって、年寄りがいたぶられながら殺されます。
観ていて、もう、はやく死になよ・・って思ってしまいました。
家族に捨てられて、家族の借金のために凶悪犯の手中にはまって
苦しめられて、苦しめられて、それでも「生きたい」
と言う被害者のお爺さんの言葉に心が痛くなりました。
その言葉に何も感じる風もなく、殺すのです。
それはもう、仕事を全うするように。
記者の妻は、記者の老母の介護がやりきれず
のらりくらりとかわす記者に我慢ができず
離婚を切り出します。
お義母さんの面倒を私一人に押し付けてと。
最終、お義母さんは老人ホームに預けられます。
この高齢化社会で、人として尊厳をもって生きていくには
どうしたらいいのだろう
映画の筋とは違うかもしれませんが、
そんなことを考えて心が重くなりました。
真実は小説より奇なり
実話を元に映画化された本作。
映画を見る前に、どうしても気になって原作を読んだ。タイトル通り、その凶悪さに驚き、フィクション小説かと疑うほどの衝撃があった。
事の発端は、すでに別件殺人罪で死刑が確定している服役囚が、週刊誌記者にまだ明るみに出ていない3件の余罪を告白することから始まる。
映画の中では、ドラマ的要素が肉付けされているが、この部分が稚拙な作品にしてしまっている気がして、残念でならなかった。
記者の家庭問題や、煙たい女上司の存在など、全く必要性を感じない。
むしろ、この事件に奔走する記者の姿を描いて欲しかった。実際、取材をするにも事件の核心人物に接触することはできない。それどころか、取材の動きを悟られないように細心の注意を払い、外堀を埋めるように情報や裏付けとなる証拠をつかんでいく点などはまさにミステリー小説のよう。また、遺体を埋めた場所を聞き出すも、被告の記憶が曖昧で場所の特定ができない。それを地図・地形、風景などわずかな情報から割り出し、足を運び、絞り込む…など、十分ドラマとして引き込まれる作品になっただろうに(しかも実話)
。映画では至って軽く、サラリと描かれてしまっている。本当に残念。。。
途中退席しようかと思うこと度々…。
そんな心残りが大きく残る作品だった。
(※原作はオススメ!)
唯一、リリー・フランキーさんの温厚さと不気味さが表裏一体になった演技は素晴らしかった。
瀧でかい
事件の回想シーン、瀧もリリーさんも異様な雰囲気を醸し出してて、すごく良かったんだけど、そこがメインになってしまった感がある。
もっと、記者が事件の真相に迫る描写とかあると良かったのかな。
でも結構長かったしなあ。難しいですね。
瀧の服が面白い
殺人鬼の実録映画だと思ってわくわくして見たら、取材者の一歩引いた目線で描いていたのが残念だった。当事者が犯罪現場の真っただ中で感じる興奮や恐怖心を描いて欲しかった。
ピエール瀧がすごい存在感と演技力のある俳優になっていてびっくりした。服がすごいセンスで面白かった。
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