劇場公開日 2013年2月22日

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「赤点だって誰かの百点満点」世界にひとつのプレイブック ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5赤点だって誰かの百点満点

2013年4月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

主人公のパット(ブラッドリー・クーバー)は「ハゲにカミさん寝取られてそれがショックで傷害起して精神病院8カ月喰らった躁鬱病」という設定。
退院しても完治した訳じゃないのでトラブルメーカーの如く常に周囲に火種を撒き散らす、という。

この映画、だからパットがいつキレるか、いつバカやらかすか、一旦そっち方向突き進んだら酷い結果が目に見えてるっつー緊張感が常に付きまとってて(そんでその前振りが出たら実際何かやらかすw)、絶妙な空気感ハンパないです。
ただ、その一触即発モードが全然シリアスに向かないというか、感覚のズレから生じる会話なんぞが何故か笑いに転じる妙味というか、寧ろパットがキレるのこっちが待っちゃってたりして。
そのさじ加減が本当上手いです。いや当の本人は相当苦しんでるんでしょうけどもw

で山火事には爆弾投入よろしく、もう一人のトラブルメーカーが加わってから、この物語は本番を迎える訳ですね。
それが、パットとほぼ同じ境遇(でもないけど)のティファニー(ジェニファー・ローレンス)で、この彼女もなかなかにパンチが効いてて、こっちは夫に先立たれたショックで職場の人間全員と肉体関係結んで会社クビになってやっぱり精神が病んでるという。逆にティファニーの方が色々ヘビーでパットのキャラが霞むという事態にw

この2人の化学反応がストーリーの推進力になる訳です。
仲が良いのかは分からないんだけど、何故かツルんで何故かシンパシー抱いて何故かダンスコンテスト出場に向けて(それぞれの思惑あれど)パートナーを組むという展開。
そのダンス特訓が絡んだ後半の過程も、やはり先述した様なトラブル頻出。平坦には進まない。自家発電で狂って自家発電で暴れる。

そんなこんなしての、「世間のはみ出し者2人」の苦悩と頑張りをこっちは知っているから、あのラストが本当に最高なんですよ。
滅茶苦茶泣ける。
報われたことへの感動。幸せなハッピーエンド。さわやかでささやかな閉幕に号泣しちゃいましてね私。

またひとつ、大好きな映画に出逢えました。
笑って泣けて、また笑顔。

満点だけが満点じゃない。赤点だって、きっと誰かの百点満点。
なんちゃって。

ロロ・トマシ