劇場公開日 2013年4月19日

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カルテット!人生のオペラハウスのレビュー・感想・評価

全27件中、1~20件目を表示

3.5これだけの役者を集めたのだからと、期待をする私が強欲なのか。

2023年10月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

単純

幸せ

 マギーさん目当てで鑑賞。マギーさんの演技は風格・品格があり、しっとりとして、目が離せない。その表情とたたずまい、ふるまいだけで、その場の情緒を理解させてくれる。絶品。いつまでも観ていたい。この映画のこの設定なら、一人芝居でもいいくらい。

けれども…。
 ジーン(マギーさん)がトンデモ人物として紹介されるが、トンデモ的な素行は全部セリフで語られて、もっとホームの面々を振り回すエピソードがあるのかと思っていたら、意外にあっさりとケリがつく。
 ジーンとライバル的なプリマドンナとの攻防も、マギーさんの表情では語られるけれど、特にエピソードもなく…・
 「ホーム存続の危機!」とか言っているけれど、映画的にはあまり切迫感もない。ガンボンさん演じるガキ大将ぶりが際立つくらい。
 エピソードとしては、どれも中途半端。
 映画的には小品としてうまくまとまっているけれど、え?これで終わり?もう一波乱あるのかと思った。
 戯曲の映画化なのね。だからなのだろうか。

とはいえ、さすが実力ある俳優陣を揃えている。
 今までの生活にケリをつけてホームに入る、その心情。最高のパフォーマンスができてなくなったことへの、最高級のプロとしてのこだわり。恋に自由奔放だったころの面影、誠意を尽くしてくれた人への、今更ながらの思い。さすがマギーさんが余すところなく、表現してくれる。
 そんなマギーさんの最高のパフォーマンスを見てしまうと、この映画に対しても、もっとジーンを描きこんでよという、鑑賞者としての欲が出てきて物足りない。
 例えば、恋に奔放という設定もセリフで語られるだけ。老いた今でさえ、あれだけの品と艶が出せる方なんだから、ジーンが意図せずとも媚態を振りまき、ホームのいろいろな男性に求愛されて、男どもを翻弄させるシーンも観たかった。もしくは、恋の浮名を流した昔の風評を周りは知っているはずだから、警戒するさまとか。
 それでもなお、一途な思いを捧げてきた元夫の、忘れようにも忘れられずに、表面的な反発と抑制された恋心の葛藤、それを押し隠してのジーンとのやりとりも観たかった。
 そんな関係がベースとしてあって、繰り広げられるプログラムの成否。ガンボン氏演じるセドリックももっと絡んできて、4人の距離が近づいたり、反発したり、絡み合ってというやり取りを観たかった。老人のかたくなさと、いろいろな経験を経てきた知恵、この先の孤独と和解等を絡めて欲しかった。
 だって、これだけの役者を揃えているんだから。マギーさんばかり褒め称えているが、レジーの思慮深さと誠実さ、シシーの人の好さと認知症具合、ウィルフのお茶目さ。いい役者ばかり。
 映画com.に載っているホフマン監督の言葉。「実際の音楽家を多用したそうだ。演技未経験だから、演技せずともありのままを見せてくれればいい」と。周りの方々と、役者の演技度が乖離しないように調整したのかしら?

と、脚本・演出には不満が残るが、
眼福の映像、
クラシック音楽の2万円近いチケットで鑑賞するつもりはないけれど、心地の良い音楽。
こんな老人になりたいなあというモデルを提供してくれたのもうれしい。
なので、映画としては☆3つ。
そして、マギーさんをはじめとする俳優陣の最高のパフォーマンスに☆0.5アップ。
最後のエンディングも、私にはご褒美でした。

それなりにおいしいんだけど、素材を見るともっとおいしくなるはずだと思ってしまう、悩ましい映画です。

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とみいじょん

3.0思ったよりさらっとしてる

2023年6月13日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

キャリアも長い豪華な顔ぶれ。
もっと根性の絡み合うものが
あるかも期待したのだが、
予想外にサラッと、あっさり最後まで進んだ。
自分には可もなく不可もなく、印象も薄い。
オペラに詳しかったらもう少し何か
分かることがあるのかもしれない。

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こまめぞう

3.0マギー・スミスお元気そう

2022年11月13日
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鑑賞方法:TV地上波

2022年11月12日
映画 #カルテット!#人生のオペラハウス (2012年)鑑賞

引退した音楽家が集まる老人ホームを舞台にしたお話

#ダスティン・ホフマン が75歳にして初めてメガホンを撮った作品

なんでこの作品だったんだろうか?

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とし

3.0本物の演奏家が出演することも話題になっていた。 クラシックの音楽と...

2022年6月20日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

本物の演奏家が出演することも話題になっていた。
クラシックの音楽と世界観が観ていて心地良い。
誰でもが訪れる老いとどう向き合うか。年齢を重ねていても残るずっと気持ちもある。そんなことを考える映画。
最後のレジーが素敵だった。温かい気持ちになって観終われました。

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よっしー

3.5もう少し音楽が欲しかったなぁ。

2021年12月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

同じ題名のドラマがあったと記憶していて、この映画も敬遠していた。冷めて見れば、老人の戯言なのだろうが、歌手は兎も角、周りは一流の奏者ばかりで、やっぱり、凄い。バッハも良かったし、リゴレットは本物なのだろうから、良いと思う。ホフマンの演出は兎も角。良い映画だと思う。もう少し、音楽が欲しかったなぁ。

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When I am 75♥️

3.5音楽が!

2021年5月10日
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老人ホームでなくて家にあんな音楽いつもライブで流れてるなんて生活できたら天国✋ですね!50歳以上でないとこの映画は楽しめないかな🎵

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Kayo

3.0出演者に人物像を丸投げ

2019年2月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

総合:55点 ( ストーリー:55点|キャスト:70点|演出:60点|ビジュアル:75点|音楽:70点 )

 出演者の演技はしっかりとしている。ちょっとした建物や森の風景も撮影は綺麗で上手い。
 でも物語の起伏が少なくて退屈でつまらない。人間関係の描き方も深さが無くてあっさりとしている。クラシック音楽の世界は競争も音楽性の追求も厳しいと言われるが、過去の栄光と野心と現在の姿に対する追及が少ない。音楽以上に人間関係が話の中心と思うが、それに対して出演者の演技に丸投げして掘り下げが少なく、盛り上がりどころがたいしてないまま最後まで行ってしまった。

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Cape God

2.5カルテットの演奏がない⁉︎( ;∀;)

2017年9月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

最後まで辛抱して見てたのに…
なんなんだよ!ダスティン・ホフマンよ!

それにしても
「やすらぎの郷」だっけ?石坂浩二の
あれって これのマネなのかな

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mamagamasako

3.0ドキュメントには勝てない

2017年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

何が物足りないのか、やはりシュミット監督のドキュメンタリー映画『トスカの接吻』を面白おかしく焼き直した、フィクションの域を超えないからだろう。
脚本も悪くないし、出演者も豪華な芸達者ばかりだが、『トスカの接吻』の方は本物の老人ホームで歌を歌う往年のオペラ歌手ばかりが、本物の歌を歌った。かたや、この作品では結局、肝心のリゴレットがEDで流されるだけなのだ。
物語としてはそこそこの出来だった。だが、年をとらない芸術家の美を堪能するのなら、シュミット作品で十分だった。

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Fukiko

3.0年輪を重ねる

2017年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

良く言えばのんびり、悪く言えばメリハリがない。
ゆったりと曖昧に過ぎていく、お年寄りの時間感覚を表現しているのか、ストーリーの起伏は大きくなく全編ゆったりとした展開。
コメディ要素もありつつどこか切ないのは、「老い」がテーマだからだろうか。

最後に気付いたんですが、キャストが往年のスターばかりなんですね。道理でやたら演奏が上手いわけだ。
ラストシーン、カルテットの歌唱はちゃんと見せてほしかった。
そこのせいで不完全燃焼の感が否めず。

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mar

1.5せっかくの題材なのにコメディ要素が足りない

2015年7月6日
Androidアプリから投稿

予告見てもっと、天使にラブソングを的なテンポのいいコメディ&感動な映画かと思いきや、終始足りない!
結局自己中婆ちゃんが戻って4人揃ってカルテット歌って終わり、てそりゃないなあ。

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EMI

2.0惜しい...

2014年9月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

単純

せっかくこんな豪華キャストで、面白くなりそうな素材もこんなに揃っているのにどうしてもっと良い作品に出来なかったのだろうか。
音楽がテーマにも関わらずあまり音楽の使い方が上手くなく、効果的でない。
つまらなくはなかっただけに、本当にもったいない。

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カメレオン

2.0予想以上でも以下でも無い作品。

2014年5月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

寝られる

予告編を観て思い浮かべた筋書き。
…その読みは9割5分正解。

自分に予知能力があるのではと思うほどに意外性が無い。
それ故安心して観れる作品であるのは確かです。

老いによる哀しみ。
老い故の色々なモノからの解放。
人生を楽しむという点で突き抜けた人々の姿は観ていてグッとくるものはあります。
音楽に乗せた彼らの生き様は観ていて楽しく、そして同時に一片の切なさも感じます。

ただ惜しむらくは話の展開と描写。
予想した通りに話が進むので脳内で補完出来ない訳ではないですが、それにしても展開が急過ぎ。
途中で自分が居眠りして大事なシーンをガッツリ見逃したのかと思うほどに知らない間に話や関係性が急展開。
本来分かり易い話のはずなのに。。
途中、途中で「え!もうそこまで進んだ!?」と思う場面が。
家事をしながらテレ東の午後のロードショーを観ているような感覚になる作品でした。
時間も94分と午後ローの尺ピッタリ。

意外性を求めない方のみ。
オススメです。

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Opportunity Cost

3.0何処か物足りないD・ホフマン初監督作

2014年5月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

単純

幸せ

引退した音楽家が共に生活する老人ホーム、ビーチャム・ハウス。
かつては観客を喜ばせた音楽家達が、引退後は仲間と共に今度は自らの楽しみのために演奏する。なんて豊かな老後の暮らし!
リゴレットの四十唱曲を歌うカルテット以外の出演者の多くは、本物の引退した音楽家。
もちろん本物の演奏で、それはそれは贅沢。

ただ、どうも何処か物足りない。

運営の苦しいビーチャム・ハウスの存続の為には、ベルディ生誕記念のガラを成功させることが不可欠で、かつてリゴレットの舞台で共演した四人が再共演にホームの存続が…。

ビーチャム・ハウスを救え!という意味でもかつての夫婦レジーとジーンの和解といういみでも、ハードルが低いというかあっさり解決という印象が強く、ラストのカタルシス(ガラ成功の達成感)が物足りない。
もっと、ピンチや紆余曲折がないと観客は共感しにくい。
カルテットを演じる四人は放っておいても上手い人達なので、監督の手腕の見せ所というよりお任せだったのでは?

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arakazu

4.0老い・・・

2014年3月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

ダスティンホフマン初監督作品「カルテット!」を観てきた!
誰もが経験するであろう…「老い」
スゴイのは、主役クラス以外はすべて本当にむかしオペラやオーケストラで活躍したひとが老人のいまを演じている。
人生の最終章をこんな感じで過ごせたらいいな!
この映画みたいに、音楽やっていたひと専門の老人ホームあったら入りたい (´・_・`)

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hello

2.5Dホフマン監督・・これが精いっぱいか?実力か?

2014年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

寝られる

たまに・・こういう映画に当たる・・
そう・・。
全部良いのに一点だけの欠落が全てをダメにする映画・・。
まさに・・『がりゅうてんせいをかく・・』

実際のリタイアしたアーティストたちが出演し・・
生の素敵な演奏を披露する・・
(先生役のSスミスさんは、●ラブアクチュアリで、俺個人的に好きだ♪)
ロケハンも素敵に出来てる・・
音楽映画は・・音楽部分が良ければ、かなりゲタはける・・。・・加点が大きいのだヽ(^o^)丿

で?
このノッペラとした出来は何???

期待デカかっただけに・・正直かなりショック!
レビューでも他の皆さんが言われてるみたく・・山も谷も無い平坦な映画・・。
肝心のカルテットすら肩すかし・・。

要点?焦点?を間違えたね(+_+)(+_+)(+_+)
いつもの呪文を唱えて良いかな?
↓↓↓
最高級の食材・・最高の料理・・給仕がこぼして、すべておじゃんになりましたとさ( -_-)(-_-)(-_- )

星☆評価は・・
DVD新作基準で(*^^)v②~③

DVD買う度 『0』
モ1回見たい度 ◆
おすすめ度 *
デートで見る度 ◇◇

もったいない・・もっとやり方有ったろ???

●アイアムサムや・・●フォーザボーイズ・・
●オーケストラ!
●ヒュビラスベイカーボーイズ・・
等~を見習って欲しいかった・・(V)o¥o(V)྿

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えびかに伯爵

5.0爺さん萌えが止まらない

2013年8月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

萌える

お爺さんが出てくる映画が好き。
(指輪のガンダルフが理想。最近ではビルカニンガム爺さんがダントツで格好良かった。)
そんな爺さんフェチな私にとっては夢のような映画。

処刑人ビリー・コノリー演じるヤンチャな爺さんに萌え、
トム・コートネイ演じる純情爺さんに萌え、
マイケル・ガンボン演じる怒りんぼ爺さんに萌え、
マイケル・バーン演じるワケあり爺さんに萌え、

もうたまらん。

特に純情爺さんトム・コートネイがキレイな庭でティーをたしなむ姿、なんつうか至福。爺さん+英国っていう最強の組合わせ。
(最近カンバーバッチ君など若手英国俳優が人気だが、こっちの爺さんたちも元祖カーディガン男子!負けてないカッコ良さだ!!個人的趣味で申し訳ないけど。)

対する婆さん達も素敵。
マギー・スミス演じるツンデレ婆さんっぷりがイイ!!
今度「いじわるばあさん」ドラマ化する時、マギーやってくれないか?と思うほど。

そしてポーリーン・コリンズ、本当に良かった。
とても可愛らしいお婆さん役だった。老いることの悲しさと、歳をとるのも悪くないっていう明るさ両方を感じさせてくれて…。

何で出てくる爺さん婆さんたち全員が、こんなにカッコよく見えるのか?
ストーリーは皆プロの音楽家という設定、それを演じる人々も皆プロの俳優、プロの音楽家だ。
だから映画の端々にプロの矜持というか、今までの道程の誇りってやつがビシバシ感じられ、カッコイイのかもしれないなあと思った。
カッコイイ爺さん婆さんになるためには、若いうちにしっかり自分を確立しとかなきゃいけないんだなあと、少し反省したりもした。

映画自体はそんなお説教じみたところなど1ミリも無く、美しい曲にあわせてゆったりと進んでいく。このゆるりとしたテンポ、話の内容にとても合っていたと思う。

作中で流れる椿姫「乾杯の歌」、青春の恋を歌ったものだが、そのパッションに全然負けてない爺さん婆さんにカンパイ!な映画だった。

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小二郎

3.0一言でいうと無難な作品

2013年6月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

事の顛末は予想から1mmたりとも外れず、危なげなく着地。本作が監督デビューとなるダスティン・ホフマンの演出は気負ったところがないのはいいが、これといった大胆さもない。マギー・スミスをはじめとした役者陣は、これだけの顔ぶれなら間違いようもなく、水準以上の仕上がりが初めから約束されたようなもの。
ストーリーよりも美しい色彩や役者を愉しむという点で、同じくマギー・スミスが出演したジュディ・デンチ主演「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」と似ている。

「ビーチャム・ハウス」で暮らす引退した音楽家は実際のアーティストが多く含まれ、彼らの芸達者ぶりはさすが。とくにマギー・スミス演じるジーンのかつてのライバル、アン役のギネス・ジョーンズがなかなかの演技で、作品に唯一の捻れを吹き込む。終盤では「トスカ」のアリアを歌い上げ、本物ぶりを披露して存在感を見せつける。

エンドロールでは、彼女らの代表的なステージと当時の写真が紹介され、その実績の一端を垣間見ることができる。そんなアルバムの中に“伝説のカルテット”の写真を織り込んだアイデアは気が利いている。
復活したカルテットに吹き替えを使って無理に歌うシーンを作らなかったことにも賛成だ。

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マスター@だんだん

4.0やっと観れた…

2013年6月8日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

幸せ

往年のオペラ楽団を知っていれば、もっと面白く&楽しめたに違いない… (もしかしたら云い方、そぐわないかも知れないが)お涙頂戴!系の作品で、俺個人で勝手に思う意見だが、子供を良く使っている!と思うのは俺だけかもしれない?!で、これだけ熟練された人間たちでもって繰り広げられるのも、説得力も非常にあり、(勿論の事だが)音楽も踏まえ、染みた…

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サクちゃん

3.5魅力的な人物たちが奏でるハーモニー

2013年5月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

 この作品がダスティン・ホフマン初の監督作だと言う。彼が今まで監督をしてこなかったことには驚くが、70を過ぎてその決意をしたのも分かる気がする。

 映画自体は老人ホームという場所を舞台にしながら、典型的なストーリーテリングに陥らないでいる。例えば序盤においては観客に明確な主人公が分からない。これは決して脚本の輪郭がぼやけているわけではなく、魅力的な登場人物が多いが故のことだ。カルテットのメンバーであるウィルフがその代表格であろう。老人らしからぬ有り余る元気と、次から次へと口から飛び出す下ネタの数々。それなのに、時折見せる老人としての悩みが哀愁を漂わせている。

 彼の親友であるレジーは序盤ではウィルフに食われているが、ジーンが登場してからは彼の出番だ。紳士的でありながらシニカルなその口調は何ともおかしいし、事実彼の台詞の多くがこの物語のテーマを表している。彼を演じたコートネイはありきたりな“イギリス紳士”ではない自然な老音楽家になり切った。

 彼とジーンの会話の場面は絶妙なバランスによって保たれている。ジーンによって傷跡を残されたレジーは多くを語らず、観客も大体の予想はつくが明確な事実はなかなか分からない。だが長年の確執によってもたらされた、2人の微妙な関係性が物語の主軸となり、笑いと感動を生んでいるのだ。

 もちろん、ジーンを演じたマギー・スミスは相変わらず素晴らしい演技を見せてくれる。自分のプライドとエゴに悩まされるジーンは昔の自分を責め続け、今の自分をも嫌悪する。そんな自己嫌悪にまみれた人物なのに、観客から見ると驚くほどにチャーミングなのが彼女のすごさだろう。

 多くのキャラクターが登場しながらその誰もが個性豊かで、近づく死を意識させながらも決して暗くなることはない。ただし数々の確執や問題が降り掛かる割には、全部あっさりと解決してしまうのは説得力に欠ける。それが物語全体に平坦な印象を植え付け、映画としてのクライマックスがいまいち盛り上がらない原因なのだ。

 とはいってもこの映画を嫌いになることは誰にもできないだろう。気取りすぎない優雅さと、ウィットに富んだ会話で構成されたこの映画を見て損することは無いはずだ。

(2013年5月3日鑑賞)

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