「一言でいうと無難な作品」カルテット!人生のオペラハウス マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
一言でいうと無難な作品
事の顛末は予想から1mmたりとも外れず、危なげなく着地。本作が監督デビューとなるダスティン・ホフマンの演出は気負ったところがないのはいいが、これといった大胆さもない。マギー・スミスをはじめとした役者陣は、これだけの顔ぶれなら間違いようもなく、水準以上の仕上がりが初めから約束されたようなもの。
ストーリーよりも美しい色彩や役者を愉しむという点で、同じくマギー・スミスが出演したジュディ・デンチ主演「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」と似ている。
「ビーチャム・ハウス」で暮らす引退した音楽家は実際のアーティストが多く含まれ、彼らの芸達者ぶりはさすが。とくにマギー・スミス演じるジーンのかつてのライバル、アン役のギネス・ジョーンズがなかなかの演技で、作品に唯一の捻れを吹き込む。終盤では「トスカ」のアリアを歌い上げ、本物ぶりを披露して存在感を見せつける。
エンドロールでは、彼女らの代表的なステージと当時の写真が紹介され、その実績の一端を垣間見ることができる。そんなアルバムの中に“伝説のカルテット”の写真を織り込んだアイデアは気が利いている。
復活したカルテットに吹き替えを使って無理に歌うシーンを作らなかったことにも賛成だ。
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