小さいおうちのレビュー・感想・評価
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ほっこりするけど反戦映画なのがすごい
祖母の生涯を書いた私小説から、昭和を生きた慎ましやかな祖母の一生を知るという山田洋次っぽい作品。
家庭の中での機微を写したカメラワーク、演者の所作、言葉遣い、どれをとっても山田洋次作品。
松たか子は色っぽく、黒木華は女中にどハマり、吉岡秀隆の文系モテ男感は半端ない、妻夫木聡はあと5年は大学生をやれそうだ!
実際の戦争というものをあまり見せずに、ふつふつと反戦がにじみ出ているところに強い意志を感じる。
山田洋次は山田洋次
山田洋次作品は誰が見ても山田洋次作品だと分かる。キャラクターの配置だとか、演出なのだと思うけど、キスシーンでの雷や、爆弾が落ちて来て花火がプシューとなる演出は古い云々より、マジか⁈笑わせようとしてないよな?と自分の目を疑った。黒木華さんの女中として周りを立てて、尚且つ存在感を残す演技ってスゴイんだなぁと思った。自分てきには美人な奥さま=松たか子が最後まで腑に落ちなかったけど、今の時代にはわからない女性の生き方と、今ならそんな悩む事じゃないだろうに、そうだったのかと見せるのだから作品に力があるのだと思う。
僕なら、おばあちゃんが亡くなって、板倉さんが有名になった事を知り、息子さんが、生きてる事を知ったら、何で生きてるうちに調べてあげられなかったのか!と悔やむと思う。
いろいろと思わせぶりです
死んだ大おばさんが残した自伝小説を追いながら、戦時中のある家庭に起こった出来事を描く。戦争、許されない恋、同性愛ときたら純文学的な匂いがプンプンしてくるが、嫌味な感じはなくて最後まで飽きずに観られた。その上ほのかな感動を味わえた。時代の雰囲気を素直にうけいれられるかどうかが楽しめるかどうかの分かれ道のような気がする。
半分寝ながら見ていたので
タキばあちゃんの部屋に何で板倉さんの絵がかかっていたのかよく分かんなかった。でも山田洋次の作品は安定してるなと思った。
優しい人びと
戦前をひとくくりにしか観られなくなっていることに、気づかされた。
戦前も、人びとは笑い、泣き、怒り、小さなおうちで、今のわれわれと変わらない生活を営んでいた。
決して、異常なひとびとではなかったのだ。だから余計に、戦争の悲惨さや、怖さがリアルさを伴って心に入ってきた。
いつでも、狂気の時代になる可能性があるのだ。
タキの遺した手紙を開けるシーンで、ハサミで切り取った後の紙くずを、捨ててあげる心遣いが、この物語に出てくる人びとの優しさを思い出させてくれた。
このドラマに出てくる人物は、歴史に名を残さない人々かもしれないが、みな優しさにあふれた愛すべき人だった。
この後も、優しい人びとが悲しまない世の中を続けていけるように、大人としてしっかりしなくてはいけないと思った。
女中はまともな職業だったし、嫁入り前の花嫁修業でもあった。
映画「小さいおうち」(山田洋次監督)から。
ストーリーとは、あまり関係ないかもしれないが、
昭和初めの頃の「女中」という職業に興味を持ってしまった。
年老いた主人公・布宮タキ(倍賞千恵子さん)が孫に語る、
「女中」という職業に対する定義に頷いてしまった。
「昭和の初めの頃はね、東京のサラリーマンの家庭では、
女中さんがいるのは当たり前だったのよ。
近頃は、お手伝いさんなんて言い方をするけど、私の若い頃は、
女中はまともな職業だったし、嫁入り前の花嫁修業でもあった。
奴隷みたいに思われたら、かなわないよ」
最近では「花嫁修業」という言葉も死語となりつつあるが、
男性の「徴兵制度」がなくなったように、
女性の「花嫁修業」も時代の流れとともに、なくなった。
どちらも、若い年代の大切な一時期でないかと感じている。
特に「花嫁修業」となっていたという「女中」という役割は、
ある意味、有料の社会奉仕(ボランティア)をしながら、
家事全般に必要な知識・基礎技術を、住込みで覚えるシステム、
そう考えることが出来なくもない。
長い期間でなくても、家族以外の人たちと一緒に住むことで、
いろいろなことを覚えさせてもらえる体験は悪くない。
しかし、これも中年男性の古い視点かもしれないなぁ。
奇妙な三角関係が活かせていない
昭和初期の中流家庭に奉公していた女中の視点で、戦争に突入する前後の日本社会を描きつつ、その家庭の平穏とそこで起きた小さな波風を描く。
『東京家族』で小津安二郎の映画手法を模倣した山田洋次。齢80にして、今更大先輩の作風を模倣しようというのだから、その貪欲さには頭が下がる思いで見たが、本作でも小津安二郎を意識していることは間違いない。
小津安二郎が徹底して描いた中流階級(中流というよりも、当時のインテリサラリーマン)の家庭が、本作の主な場面となる。まるで『早春』のように、その家庭で起こった不倫な出来事。窮屈な台詞回しと、形にはめた演技を役者に強要する演出。カメラワークでも、随所に小津の構図を取りいている。
しかし、もちろん完全に模倣するわけではなく、山田節は十分に加味してもいる。その辺が、どうにも中途半端にうつるのは、『東京家族』も『小さなおうち』も同様だ。小津の出来損ないという印象が、どうしても残る。山田洋次の悪い癖(例えば、必要以上に政治的メッセージを前面に出してしまう事による逆効果)が、あの窮屈な小津節によって、よりクローズアップされてしまう気がする。
この辺は、山田節をもっと抑えるか、逆に小津のオマージュをもっと整理するかしないと、解消しないだろう。80歳の監督に言うのも何だが、自作以降に期待するしかない。
また、山田洋次は、本作で昭和初期の日本社会を描きたい気持ちがあったことは明らかだ。それは、インタビューなどでも語っているし、そもそも本作の原作が(筆者は未読だが)、そういう意図で書かれているとの事である。
太平洋戦争に突入した以降の日本社会は、様々な映画やドラマで描かれているし、そこで描かれる時代の暗い雰囲気や社会の閉塞感は決して間違っていないだろう。山田洋次も『母べえ』などで描いてきた。
その一方で、満州事変前後の日本社会の雰囲気は、十分に現代社会に伝わっていないという批評は、以前からある。本作でも描かれているように、南京陥落をはじめとした日中戦争(支那事変)に対する日本全体の雰囲気は、厭戦ムードよりも、むしろ歓迎ムードであり、本作で松たか子が演じた「奥様」のように、日本の都市生活者は豊かな文化を享受していた。
そうした時代を描いたのは、山田洋次自身の原体験もあったことだろう。
この点は、山田洋次がしっかりと描いたことが評価されるべきだ。
さて、山田洋次が描こうとした「小津の模倣」「昭和初期の日本社会」という2つのテーマは、方や中途半端、方や成功ではあったが、では、肝心の物語がどうだったかというと……結論から言えば、凡作だった。
本作は、黒木華が演じる「女中」、松たか子が演じる「奥様」、吉岡秀隆演じる「青年」の3人が主要登場人物だ。女中の視点で語る奥様と青年の不倫関係が、物語の中心になるが、単純に不義密通がタブーだった昭和初期の不倫や背徳の恋愛物語ではない。この3人が、奇妙な三角関係であることが示唆されている。
ネタバレというか、これは筆者の解釈だが、たぶん女中と青年は、体の関係に発展している。そして、これは映像で描かれているとおり、終戦後、奥様が旦那様と一緒に戦死した後に、その関係を継続していたはずだ。そして、奥様へ裏切ったという思いから、二人は生涯結婚をせずに通した。
ここからは、完全に筆者の想像だが、二人は、青年の出征前日に体の関係になった。そして、青年は奥様の元に行かずに出征する。二人は戦後に再開し、再び肉体関係になるものの、女中が奥様への思いから結婚までは踏み切れず、間もなく別れた。やがて画家となった青年は、女中に「小さいおうち」を描いた絵を送り、女中は死ぬまで、奥様を裏切った後悔と、青年への思いを断ち切れないまま生きていた……そんな感じだろう。
しかし、これが正解かどうかは別にして、全ての観客にここまで脳内補完を求めるのは、あまりにも不親切だ。
年老いた女中(倍賞千恵子)は、自分を慕ってくれる妹の孫(妻夫木聡)から、女中時代の思いでを手記にまとめるように促され、当時を振り返る形でストーリーが展開する。
その最後の手記で、女中は「なぜ青年が奥様の元へ来なかったのか、今ではわからない」と断定する。その後、妻夫木聡演じる大孫は、年老いた奥様の「息子」(米倉斉加年)と出会うのだが、そこで二人は、青年と奥様の関係については言及するのに、女中との奇妙な三角関係には触れない。そして、物語はそのまま閉じて行く。女中と青年の関係性について、大事なラストシーンでほとんど何も匂わせないから、観客は「結局、奥様と青年の恋愛関係の話だったのね」と帰着するしかない。そして、年老いた女中が、この話をする時になぜ最後に嗚咽するほど号泣するのか、よく理解できない。要するに、「現代パート」が奇妙な三角関係に関して、まったく機能していない。これではダメだ。
例えば、女中の最後の手記が「青年が奥様の元を訪れなかったのは……」と、何か匂わせて未完成のままになっているとか、あるいは、画家となった青年の記念館に、明らかに女中と思われる(もちろん、松たか子ではなく、黒木華でもなく、倍賞千恵子の面影)の肖像画を見せるだけでもいい。
昭和初期の日本の雰囲気が明るい描写であることに対して、大孫から「嘘を書いちゃダメだよ」と言われる年老いた女中だが、ところが女中が手記に書いた当時の様子が正しいという描写が映される。ここで、観客は女中は嘘を書いていないと思わされる。ところが、女中は最後の手記で嘘を書いていた。なぜなら、女中は青年が奥様の元を訪れなかった理由を知っているからだ。だったら、「女中はやっぱり嘘を書いていた」という描写を入れないといけない。むしろ、「女中から見ていた、小さなおうちの出来事は、実は女中が都合良く記憶していただけに過ぎず、別の視点からみたら、まったく異なった『真実』が浮かび上がってくる」というような描写にした方が、作品としては深みが出る。せっかく、最後に出てくる奥様の息子という面白いキャラクターがいるのに、活かしきれていないのだ。息子が見た「小さいおうちの出来事」が、女中から聞いていた話と違うと大孫が知るだけでもいいのだ。
そういう面白そうな設定があるにもかかわらず、効果的になっていないのは、決定的に本作が失敗している点だと評価せざるを得ない。
役者について言えば、何と言っても松たか子が良い。黒木華も良い。その一方で、吉岡秀隆と妻夫木聡が今ひとつ。
ということで、何となく面白そうなのに今ひとつという凡作の出来栄えという作品だった。
やむなきこと
奥様の気持ち タキの気持ち
どちらも分かるから
観ていて 切なくなる。
どちらもやむなきことゆえに。
晩年のタキの独白とも言えるノートは
やはり誰かに赦しを乞いたかったのだろう。
当時の奥様と同じ年代になりやがて越えていくその月日に若い時にはわからなかったものが輪郭を浮き立たせて迫り彼女を自責の念に苦しめたのだろう。
松たか子が良い。
慕う男が戦地に旅立つ直前の溢れ出す想い、心乱される機微が艶っぽい。貞淑な人妻であり、良き母の顔の内に潜むそれを自分でも抑えることは出来なかった。
時代が戦争へとまっしぐらの先が見えないトンネルへ入りこんだ一家族の小さな物語。
「はじめたものは いつか終わるものよ」そうタキに言い放った時子の表情が印象的だった。
深く、切ない物語
感動。素晴らしいストーリー、脚本。
松たか子の奥様はピッタリだし、
黒木華の初々しい、でもレベルの高い演技力のとりこになった。
滝ちゃんの板倉さんへの恋心が切なかった。
あの苦しさは奥様の不倫を隠してるからではなくて、自分の嫉妬心。渡せなかった手紙。
そしておばあちゃんとなったお部屋に掛けられた板倉さんの描いた小さいおうち。
二人とも独身を貫いたけど、2人は板倉さん帰国後あっていたのだと思う。
レビューをみると、その辺のその時代の女性心、全く分かってないで低い評価つけてる
薄っぺらい人多いのに驚きます。
改めて戦争時期の不条理さを感じた。
とても深く素晴らしい作品。
う〜ん・・。この手の作品、俺苦手だったんだな?ての見終わっ〜
見終わって、思い出したよ(つД`)ノ
136分。
・・長かったΣ( ̄。 ̄ノ)ノ
山も谷も無く、のんべんだらりと〜
粛々と話が進みます。
てか・・
吉岡秀隆君て?女子から見て魅力的なの???
何をしても同じ演技にしか見えないんだけど(つД`)ノ?
語りは倍賞ソフィー千恵子。
う〜ん。
やっぱり、この作品の良し悪し良く分からない。
分からないから星もつけられない。
つけられないから③で。
☆評価は・・
DVD100円基準で(*^^)v
DVD買う度 ◎
モ1回見たい度 ◆
おすすめ度 **
う〜ん。・・分からない(=´∀`)人(´∀`=)
『ハウル!必ず迎えに行くからぁ!待っててねぇ!』
家政婦は見た×NHK朝の連続テレビ小説?
最初から最後までほっこりとした印象の映画で、ゆっくりと丁寧に描かれていました。
普段はどちらかというとパルプフィクションとか、ショーンオブザデッドとかが好きだから、それと比べたら対極にある映画w
でも黒木華や松たか子の演技がすばらしく、楽しむことができました!
たまにはこういうのもいいね♪
山田洋次監督だから・・
山田洋次監督という事でみました。
松たか子は、どうなんだろう・・。
北の国からの吉岡秀隆さん、どうも苦手で・・。そんなにイイ役者なのかな?
で、晩年のタキさんの部屋に、板倉の小さな家の絵画が掛けられていたのがミソなんでしょうね^^;
タキさんの、苦しみは、実は、板倉に恋して、嫉妬で手紙を届けなかった事じゃないかしらん。
で、戦後、板倉とタキさんは、会っていて、だから、二人独身を通したって言うのは、想像し過ぎかな^^;
消化不良
どこか、演技がうわっ滑りというか、松たか子の空気感か綺麗だけど、少し淡々としてるような感覚もあり、誰にも感情移入出来ず消化不良気味。悪くは無いけど良くもないなぁ。映像として昭和初期の時代表現は中々良かったと思うけど、どうせならもっと人物描写の細かい機微の演技、シーン・カット割り・アートワークで魅せて欲しかった。唯一倍賞千恵子さんの演技は良かった。
黒木華さんに釘付け♡タキを観る作品♡
「小さいおうち」題名だけでは、まったくストーリーの想像ができなく・・・観てみたらなるほど!って感じです。
今でいう「お手伝いさん」。タキは「小さいおうち」に女中として働くんですが・・。
タキを演じる黒木華さんがとっても良かった。
女性らしく、所作が美しい。
物を扱う姿、人に接する姿、会話、しぐさ、全てが凛としていて素晴らしかった。こんなに女性らしく振る舞えるなんて羨ましい。
タキはすっかりおばあちゃんになり、孫役?の妻夫木聡くんがいいナビゲーター役で見やすかった。
「昭和」はこんな時代だったのかなー。と、しかし戦争だけは心が痛い。
「小さいおうち」燃えた時は・・・せつなくなってしまった。
ストーリーはトキコの不倫と、タキの隠していた真実にクローズアップしていくが
私は、それよりも女中だったタキの「小さいおうち」での働きぶりに終始釘付け。
時代を感じながら・・・タキがここで努めてきた姿を見れて納得。
「長く生き過ぎた・・・」と号泣するタキの老後も涙をそそる。
シニア世代にもウケる作品なのではないかと思う。
松たか子さんより黒木さんのほうが光ってました。
正統派で素敵な作品です。
うーん。。。
ちょっとこれはまずいっすよ。
チラシ、ポスター、予告編などの事前情報から昭和を背景にした質の高いドロドロ人間関係向田邦子的ドラマを期待して、2時間ドキドキで過ごせると思っていたが、かなり様子が違った。
ストーリー、配役、演技、セット、編集 全て"特に。。。。"って感じ。
小さいおうちは大きいおうち
小さいおうちと言いながら、中の印象は大きな感じ。
なかなか立派。
不倫なお話しながら、汚れた感じがせず。
原作では時子の子供は前夫の子らしいが、映画では分からず。
空襲シーンは要らなかったような(実際、安っぽい映像)。
甥の戦時中に対する見解を当事者に説教するシーンは原作通りとはいえ、イラつく。
黒木華の出世作と言えると思う。
原作の肝が抜けてる気がする、と、原作ファンは思った。
タキちゃんが好きだったのは、時子奥様であって、板倉さんではないのよ。タキちゃんはもう少し腹黒でいて欲しかったし、時子奥様の夫は女が嫌いで、奥様はさみしい思いをしていて、しかも、恭一ぼっちゃんは奥様の連れ子で、旦那様とは生さぬ仲…
と、原作の肝と思っていたエピソードが削れていて、ファンとしてはハンカチ噛み締めたくなる部分があったのは事実。
あと、東京家族とキャストかぶりすぎじゃね?ってところに既視感あり(鑑賞時期が近かったせいでもあるけれど)
でも、わがままで楽しいことが好きな奥様、素朴で可愛いタキちゃん、おばあちゃんの面倒を、自分がみているつもりだけど、ほんとは自分が甘えている妻夫木くんが、印象的でよかった。松たか子、黒木華、うまい。
それと、恭一ぼっちゃんの贖罪が、完全に割愛されたのは、尺的に仕方なかったんだろうなーと思う。残念ではあるけれど。
中島京子さんの、独特の毒を忍ばせて欲しかったけど、山田洋次の映画にしたんやねぇ。
松たか子のあの髪型、前髪くねくねしたまとめ髪、よく映画でみるけど、あれやってみたい!
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