劇場公開日 2014年1月25日

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「戦争中の不倫話」小さいおうち Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0戦争中の不倫話

2015年5月30日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

悲しい

難しい

総合75点 ( ストーリー:70点|キャスト:80点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )

 昭和初期の日本らしい控えめな不倫と当時の人間模様の話であり、それほどたいした主題でもないのに、描き方がしっかりとしていた。大きな波乱万丈の話でもないから登場人物たちをどう演じるかはとても重要だが、心の内側がしっとりと伝わってくる演技だった。原作は未読だが直木賞受賞作品だそうなので、そちらもしっかりとしたものなのかもしれない。
 時子を演じた松たか子は流石で、板倉を訪ねた後で友人睦子の前で動揺する姿を隠そうとする場面は見物だった。布宮タキ役の黒木華も、役柄上はたいした見せ場がないわりに地味に良かった。一番幸せだった時代に残した罪悪感を表現した倍賞千恵子も安定した演技だった。室井滋等の脇役たちも丹念に周りを固めていた。

 まるで節制と抑圧というこの時代を反映したかのような慎ましい演出は、不倫の姿をはっきりと見せることが無く淡白。濡れ場は一切無い。でもそれはこのような時代背景を踏まえてるし、肉体関係よりも心の動きを中心にしているのだから、この作品にはそう悪くもないと思う。だけど雷の音をきっかけに使って不意打ちの接吻をするのは、その瞬間の顔や唇を引き伸ばして撮影するくらいの演出はあってもいいのではないか。

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Cape God