「妥協なきエンタメ精神に感動すら覚えます」ライジング・ドラゴン 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
妥協なきエンタメ精神に感動すら覚えます
ジャッキー最後のアクション超大作と銘打った本作。
アクションと笑いがこれでもかと満載されたエンタメ大作でした。
チームで奪回ミッションに挑む様は成龍版『ミッション:インポッシブル』……いや、
ギミックのブッ飛び具合やコミカルなやりとりを考えると、
シリアスさ極力控え目の『ルパン三世』みたいなノリ。
自分の格闘アクションだけでなく若手にもけっこう見せ場を持たせてたり、
格闘以外のアドベンチャー的なノリの部分にむしろ力を注いでたりなので、
ジャッキーアクションの満漢全席を楽しみにしてる方には少し物足りないかもね。
(タマに入る愛国心溢れるシーンに拒絶反応を示す方もいるかも……)
けど、エンタメ映画である事に違いは無い訳です。
犬との追っかけっこやパイレーツ・オブ・カリビアンなノリで展開される中盤のドタバタでは
周囲の観客も一緒にクスクス笑いっぱなし!
ベタなネタだなぁと思いつつ、マンガ顔負けのコミカルなアクションについつい笑ってしまう。
お爺様の大腿骨と安過ぎるジャック・スパロウ(爆)。
観客を隅から隅まで楽しませよう、そして後世のアクション俳優も育ててゆこうという
老エンターテイナー、ジャッキー・チェンの気概がビシバシ感じられて非常に好印象。
それにジャッキー自身も、還暦目前というのが嘘のような体の張り方!
壮絶に痛そうなクライマックスとNGシーンでは――
んなバカなと笑う人もいるだろうが――不覚にも泣きそうになってしまった。
だって、僕ら観客を楽しませ笑わせる為だけにこれだけの痛い痛い想いをして
真摯に必死にこれまで何十年も頑張ってくれたんだなと思うと、
やっぱりなんだかちょっと涙ぐんできてしまう。
演技が特別巧い俳優さんとは思えない。
演出が特別巧い監督さんとも思わない。
けど、自分の持てる力でトコトン人を楽しませようという精神は……やっぱ一級の映画屋だよ、この人。
ありがとう、さようならジャッキー・チェン!
貴方は偉大なアクション野郎だ!!
……と書いた所でナンなんですが……
鑑賞後に知ったんですがね、ジャッキー、
「大作」には出ないだけでもう少しアクションは続けるとか……。
しかも某映画誌の記事によると「本作の続編とかで復帰したい」みたいな事言ってたらしいし……。
……まだまだやる気十分かいッッ!
涙を返せジャッキー!!
でも次回作待ってますんでお体大切に!!!
〈2013/4/14鑑賞〉