「嘆きたくなる」嘆きのピエタ ミツマメさんの映画レビュー(感想・評価)
嘆きたくなる
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天涯孤独で生きてきた男ガンド(イ•ジョンジン)の仕事は債務者に重傷を負わせその保険金で借金を返済させるという取り立て屋。ガンドの前に母を名乗る女が現れる。始めは疑っていたが徐々にかけがえない存在になってゆく。でもそれは女の計算しつくした演技だったのだ。
実は女ミソンはガンドに障害者にされて自殺した男の母親だった。狙いは自分を母親と信じこませ、そのうえで、ガンドを恨んでいる債務者に殺されたように見せかけて自殺して愛する人を失った苦しみを味わわせるという復讐劇だったのだ。
ミソンが誰かに殺されそうな一人芝居を見てガンドは自分を殺してくれと土下座までして偽りの母親をなんとか助けようとする場面はよかった。そんなガンドに息子を殺されたミソンも同情するが飛び降りて死んでしまう。
ミソンの遺言とおり松の木に遺体を埋めようとすると手編みのセーターを着たミソンの本当の息子の遺体が現れる。
愛を知り、ガンドは障害者にした男の家のトラックの下に潜り引きずられて死ぬことを選ぶのだ。
暗く悲しい話なのに見終わっても不思議に見てよかったと思えたのは、根底に母親の無償の愛の深さを描いているからか、と思う。
タイトルのピエタはミケランジェロのピエタをモデルにしていて、十字架から降ろされたイエス•キリストを抱く聖母マリア像であり、慈悲深き母の愛の象徴でもある。
映画中債務者の母達の嘆き悲しむ姿が多く見られた。タイトルも良いと思った。
最後のシーンは本当に心がえぐられる思いだった。
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