「母と息子の変奏曲」嘆きのピエタ arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
母と息子の変奏曲
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母親は娘を亡くしたとしても、ここまでして復讐しようとするだろうか?
冷酷な取立屋で荒んだ暮らしをする息子は自分を捨てた母親をこうもあっさり(それなりのテストは課すものの)受け入れ依存するようになってしまうのだろうか?
誰かの息子でもなく、息子を持つ母親でもない私には、母親と息子の間の愛と憎しみについて理解することは難しい。
本当の母親だと信じた女は自分が自殺に追い込んだ男の母親だった。
復讐を誓う母親は、生まれてすぐに男を捨てた母親だと名乗って男の前に現れる。
母親を知らずに生きてきた男。
母親の存在を知り、彼の他人の母親と息子、家族に対する見方も変わっていく。
この作品では様々な母と息子の関係が変奏のように描かれる。
取り立て屋と復讐を誓う母親の擬似関係。
借金と不自由な身体を苦に命を絶つ息子と残された母親。
借金を抱えてビニールハウスで暮らすようになる夫婦。障害者となり妻に依存する夫。この二人の関係も母と息子の変奏なのである。
この作品には、現代社会の拝金主義、人間とお金の関わりに対する批判も込められているようだが、これはまた別の話ではないかと思う。
これは、残酷で普遍的な大人のための寓話。
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