劇場公開日 2013年9月14日

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「ヨーロッパ旅行好きな人にはお薦めだけれども、以外と日本と縁が深くある国だったのだ」ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ヨーロッパ旅行好きな人にはお薦めだけれども、以外と日本と縁が深くある国だったのだ

2013年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

知的

難しい

寝られる

今、我が国では東京オリンピックの開催が決定するし、富士山が世界遺産に登録されるし、何かと世界各国から、注目を集めている日本である。
この映画「ポルトガル、ここに、誕生す」は、EU連合により、欧州文化都市と言うものに、ポルトガルのギマランイスと言う街が指定された。
そこで、このギマランイスと言う街を広く世界の人達に知って貰おうと言う事で、一癖も二癖も有りそうな、ポルトガルを初めとし、欧州では有名な4人の監督によるオムニバス映画が誕生した。
とは言っても残念だが、日本に於いては、この4人の監督作品の多くは公開されてはいないので、彼らの作品を私は余り知らない。
しかし、日本では一般的に知られていないだけであって、この作品を観るとやはり立派な作品もあった。中でも驚かされるのは、マノエル・デ・オリベイラ監督は、100歳を越えているのだ。そしてこの4作品の中でも、彼の作品は一番良かった様に私は思った。
日本で言えば、新藤兼人監督は100歳で他界される迄現役であったのだが、その彼の上をいく巨匠が、ポルトガルにいたとは、本当に驚きだった。オリベイラ監督作品では、「コロンブス永遠の海」や、カンヌ映画祭の60回目を記念して、映画界をテーマにした短編作品を世界中の、カンヌと縁の深い監督30数人がオムニバス作品を制作している「それぞれのシネマ」があるが、オリベイラ監督も短編を制作した一人である。
この映画には、日本からの監督としては、北野武監督が作品を出しているので、御存じの方も多数いると思う。

私などは、ヨーロッパを訪れた事が無いので、このポルトガルと言う国が、現在はどんな所なのか想像もつかない。それ故とても興味深くこの映画を観た。
だが、日本とポルトガルの交流の歴史は意外と古くからあった、その事に映画を観た後で、気が付いた。
そう、秀吉の時代の頃に、南蛮貿易が盛んに行われていた事を学校で習った事をすっかり忘れていたのだ。このポルトガル・スペイン・イタリアの3国との交易をまとめて確か、南蛮貿易と呼んでいたのだと思う。
日本が鎖国するまでの間、いち早くポルトガルは、アジアの最東方の日本へとよくぞ来たものだ。キリスト教を伝えた、宣教師達がポルトガルから来日していた事は有名な話だ。
カステラ・金平糖・カルタ・それにタバコ迄、結構ポルトガルの言葉がその間々外来語として日本語になったケースも有る。

ポルトガルの現在の産業の多くは、人件費の安い国々へと廻され、経済的にはかなり危機的な状態へと向かっている為、人々は頭を悩ませているのだと言う。その為か、映画も全体に暗い作品が中心的であったのは残念でならない。
この映画は、ヨーロッパ好きや、旅行好きの人、そして歴史好きの人に特にお薦めしたい。

ryuu topiann