「限りなく大傑作に近い。」アナと雪の女王 lotis1040さんの映画レビュー(感想・評価)
限りなく大傑作に近い。
ああ、アメリカ映画なんだと見て思った。
アメリカ映画は本来こういう映画を撮らなきゃいけないんだ。
つじつま合わせとか、凝った作りがどうのこうのとかそういうことも確かに大事かもしれないが、それではない何かが忘れ去られている。
観客からしたら、映画館で2時間見なければならないという苦痛に耐えうるだけのエンターテインメント性である。
映画館で見なければならない理由でもある。
それがアメリカ映画にはあった。
かつて見た純真なアメリカ像というものがこの映画にある。
それはジブリからの借り物かもしれない。
昔あった映画へのオマージュなのかもしれない。
だけれども、アメリカ映画はこの純真さを以て作られていたのだ。
愛と夢と冒険だけでこの映画を語ることが可能だ。
しかし、その三つの単語を圧倒的な映像に置き換えただけで、素晴らしい映画になってしまうのだということをこの映画は証明してみせた。
それは逆にアメリカ映画とはいったい何なのかという問いを提示したことにもなると思う。
人々の思考が複雑化し、それを汲み取ったような作品が、アメリカでも日本でももてはやされるようになった。
もちろん、それがいけないわけではない。その映画タイプの映画でよくできているというように思う映画もなくはない。
今回アカデミー賞を獲ったそして夜は明けるなどもそのタイプの映画だろう。
しかし、単純明快で楽しいという映画を映像の魅力で引き込むというのは本来のアメリカ映画の力ではないのか?
むしろそれで何が悪いのか?
映画の長さもちょうどいい。飽きないで画面に釘付けにさせられる。
風立ちぬとどちらが上と感じたかはさておき、アメリカの持っている映画の力を存分に見せられたということでこの映画を評価したいと思った。